リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

改憲「緊急事態条項」は「国難」による首相の終身化に道を開く

2017-12-23 | 政治
自民党は相変わらず改憲に向けて執念を持ち続けている.「日本人には改憲はそぐわない」(10月9日)にも書いたように,私は実は「リベラル」を名乗りつつも「9条」にはこだわっていないのだが,自民党が目指す改憲は国民を「お国のため」に駆り立てる方向性が強く,自民党ペースでの改憲はすべきでないと思っている.
今日は先日自民党の憲法改正推進本部が示した「論点取りまとめ」(朝日新聞12月21日)のうち「緊急事態条項の創設」について.要は緊急事態に際して政府が行動しやすくしようというものだ.具体的には次の2案が記載されたという.
(1)国会議員の任期延長や選挙期日の特例などを規定.
(2)政府への権限集中や私権制限を含めた条項を規定.
たしかに北朝鮮や中国のことを考えると緊急事態に対応できる態勢は必要だ.だが「緊急事態」とは何だろう? 先般,北朝鮮によるミサイル発射が迫って「Jアラート」が発され,交通機関等に影響が出て,安倍首相は「国難」と称して衆議院を解散した.これも「緊急事態」なのだろうか.政府が「国難」なり「緊急事態」なりを宣言すれば国会議員の任期を延長できるというのでは,際限のない人気延長に道を開きかねない.そうすれば衆議院で選ばれる首相の事実上の終身化も夢ではない.
議員は落選でその身分を失うことを最も恐れる.任期延長は議員にとってはこの上ない魅力だろう.現に,国会議員たちは,最高裁で一票の格差がたびたび「違憲状態」と指摘されても,一向に抜本改革をしようとしないではないか.ひとたび「国会議員の任期延長」を認めたら,何を口実に際限のない任期延長を図るかしれたものではない.
これまでの安倍政権のやりたい放題を見ると,「国会議員の任期延長」,「政府への権限集中」,「私権制限」はきわめて危険なものと思わざるを得ない.

追記:「(憲法を考える)国の非常時権限、乱用防げるか トランプ米大統領、国境の壁強行へ非常事態宣言」(朝日新聞2019-3-26)では、トランプ大統領が、議会で認められなかった移民流入防止のための壁の建設費を捻出するため、「国家非常事態」を宣言して予算の組み換えを行なったこととの関連で、自民党がもくろむ緊急事態条項についても論じている。アメリカには「たとえ国家の緊急事態にあっても、大統領がとった措置が正当なのか、チェック」する伝統があり、「権力分立」が強調されていることを日本の政治家、国民は真剣に受け止めるべきだという識者のコメントを紹介している。


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