ワシントン・ポストよ、お前もか ― 大富豪がメディアを牛耳る実情

大富豪によって政治的スタンスが左右されるメディアは、イーロン・マスク氏に買収されたツイッター（現X）だけではなかった。
マスク氏は、連邦議会襲撃事件のような暴力行為を扇動するおそれがあるとしてツイッター社が凍結していたトランプ前大統領のアカウントの凍結を、同社買収後に解除していた（BBC）。今回の大統領選ではトランプ候補支援のための団体に約７５００万ドルを寄付したほか、保守派の有権者に直接現金を支給することまでしてトランプ氏を応援している（yahoo）。銃器所持などを支持する請願に署名して有権者登録した住民から（毎日！）抽選で１人に１００万ドル（約１億５０００万円）を渡すというのだ。米国司法省は違法の疑いがあるというが（CNN）、すでに実際に当選者が発表されているらしい（Newsweek, Oct 21, 2024）。
一方、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏はハリス候補の支持団体に約５０００万ドルを寄付したそうだ（yahoo）。
マスク氏の現金支給は論外と思うのだが（それとは別に、投票の秘密は守られるのだろうから、リベラル派が懸賞金をもらうために登録することも可能なのではないだろうか？）、富豪が寄付をするというのはこれまでもあったことだと思う。だが、ツイッター（現X）のようなメディアの方針が、金で企業が買収されることによって一変してしまうということに危惧を覚えていた。
そして、買収により新聞の政治的意見表明の機会が奪われるという事態が２つもあったことを知った（朝日新聞2024-10-27）。
ワシントン・ポストとロサンゼルス・タイムズの２氏は、ハリス候補を推薦する社説の準備をしていたが、オーナーの判断で特定候補の推薦を見送ることになったという。
ワシントン・ポストのオーナーはジェフ・ベゾス氏（アマゾン創業者）だ。富豪となった起業家がメディアを買収してその政治的な意見表明の機会を奪うというのはなんとかならないものだろうか。