今年中に必ずある総選挙に向け、野党の間で消費減税を公約にする動きがあるという(朝日新聞2021-6-4)。後手後手のコロナ対策や遅々として進まないワクチン接種のみならず、政権浮揚のために科学的知見に基づかずに「結論ありき」で有観客五輪に向け突っ走る姿勢など、菅政権は問題が多い。政府に私権を制限する大権を与える土地規制法案を衆院内閣委員会で強行採決するなど(過去ブログ)、強引な政治手法も安倍政権を踏襲している。
菅制権が世論に見限られつつあるのは野党にとって絶好のチャンスなのだが、野党は相変わらず存在感を発揮できていない。そんななかで出てきたのが消費税率の引き下げだ。かつて政権にあった民主党が当時野党だった自民党と合意してようやく決めることができた消費増税。そのために民主党は選挙で大敗して政権を失い(それだけが理由ではないのはもちろんだが)、8%から10%に上げるときには安倍首相は好景気をうそぶきながら決断できずに先送りを重ねた。そこまで苦労して実現した10%の税率を今下げれば、また元に戻す機会を失うことになりかねない。コロナ禍で苦しむ人々への支援は必要だが、消費減税に頼るべきではない。
それにしても、菅政権にこれだけ失点が多いというのに、野党のウリが消費減税しかないとは情けない。こんな野党では一票を託そうという気になかなかなれないではないか。
立憲民主党の枝野幸男代表は消費減税には慎重らしく、この態度を貫くべきだ。「早く打ち出さないと、そのうち与党からも消費減税が出てきかねない」という声があるのは嘆かわしい。与野党が財政を顧みずに減税ばかりを競うようではこの国に未来はない。
それにしても、野党が存在感を発揮するにはどうすればいいのだろう。国会ではどんなに正論を言っても多数決でねじふせられてしまう。影の内閣のようなものを作って、その時々に政府の政策について対案を示すのが理想だが、弱小野党ばかりでは官僚組織をフルに政策立案に利用できる与党には太刀打ちできない。野党連合の政権構想くらいまとめてほしいものだが、そもそも「共産党がいる政権には加わらない」など話し合いの座にもつこうとしない一部野党の存在が壁になっている(共産党のほうでも、天皇制や自衛隊に関して化石のような主張が党綱領に残っていればいい加減改めてほしいが)。
いつも同じ結論になってしまうのだが、有権者が、財政健全化を無視した減税にはそっぽを向くくらいにならなければ、不毛な争いはなくならない。
関連記事:
「「お金くれるから投票」をやめないと日本はダメになる」
「責任ある野党なら「消費増税反対」を選挙に利用するな」
「共産党へ:「消費増税反対」は時代遅れで無責任だ」
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