仕事とは関係なくプライベートで行なった活動が政府の方針に合わないからと勤め先の会社が「国の事業を発注しない」と脅され、取締役辞任に追い込まれる――そんなサスペンス映画のようなことが日本で行なわれていた。東京高裁は「民間企業への威嚇」であるとして、一審の判決を変更して国に約530万円の損害賠償を命じた(朝日新聞2019-4-11)。
訴えていたのは建設コンサルタント会社の元社長の男性。仕事とは関係なく、東京湾に海上要塞として造られた人工島「海堡」の保存活動をめぐり、保存を求める要望書を国交省の関東地方整備局に提出した。すると同整備局の幹部がコンサルタント会社の別の取締役を呼び出して「国の事業を発注しない」と言い、その結果、男性は取締役辞任に追い込まれた。判決はこの幹部のやり方を「民間企業の経営や個人の進退に対する、法律に基づかない介入」だと指摘し、請願権を保障した憲法16条にも違反するとしたという。
政府にとって都合の悪い活動をすると勤め先などに手が回って不利益を受ける。「ペリカン文書」など、ハリウッドのサスペンス映画のような話だ。今回の話はそれほど政治色はないと思うのだが(たぶん)、それでもこれだ。
森友・加計問題や先日の塚田副大臣の「忖度」発言のような首相身辺への利益誘導も困るが、都合の悪い相手を裏から手を回して追い込むというやり方はもっとこわい。
関連記事:
「公権力による脅しの横行」
「権力の源泉:人事権は司法をも支配するか?」
訴えていたのは建設コンサルタント会社の元社長の男性。仕事とは関係なく、東京湾に海上要塞として造られた人工島「海堡」の保存活動をめぐり、保存を求める要望書を国交省の関東地方整備局に提出した。すると同整備局の幹部がコンサルタント会社の別の取締役を呼び出して「国の事業を発注しない」と言い、その結果、男性は取締役辞任に追い込まれた。判決はこの幹部のやり方を「民間企業の経営や個人の進退に対する、法律に基づかない介入」だと指摘し、請願権を保障した憲法16条にも違反するとしたという。
政府にとって都合の悪い活動をすると勤め先などに手が回って不利益を受ける。「ペリカン文書」など、ハリウッドのサスペンス映画のような話だ。今回の話はそれほど政治色はないと思うのだが(たぶん)、それでもこれだ。
森友・加計問題や先日の塚田副大臣の「忖度」発言のような首相身辺への利益誘導も困るが、都合の悪い相手を裏から手を回して追い込むというやり方はもっとこわい。
関連記事:
「公権力による脅しの横行」
「権力の源泉:人事権は司法をも支配するか?」