リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

「安保破棄」の真意を米大統領に問いたださない安倍外交は現実逃避でしかない…か?

2019-07-01 | 政治
トランプ大統領は2016年の大統領選で在日米軍の経費を日本が全額負担しなければ米軍撤退もありうると発言していた。大統領就任後は控えていたが、このところまた日米安保条約を「不平等」だと言い出した。その直後にG20で来日して日米首脳会談。普通ならここで日本の首相は大統領の不見識を正すはずなのだが、安倍首相はその真意をただしたりはしなかったようだ。しかも、トランプ大統領は記者会見で、条約は「不平等」であり、その「片務性」を「変える必要がある」と安倍首相に伝えたとすっぱぬいた。安保条約から撤退することは「全く考えていない」としたものの、「日米蜜月」を自慢する安倍首相の面目は丸つぶれだ。
ところが、安倍政権幹部はこの「伝えた」ということを「全くない」と述べたという。(朝日新聞2019-6-30同社説)安倍首相自身は「日米同盟を破棄する考えはないと述べているのだろうと思う」(朝日新聞2019-7-1)というもので、安保破棄は「ない」と言ってるからいいじゃないか、ということなのだろうか。
日米関係の根幹にかかるこれほどの重要な論点について、首脳会談できちんと意見交換しなかったのだとしたら、何のための首脳外交か――と安倍首相を批判したくなるが、相手があのトランプ氏となると話はそう簡単ではない。
そもそも日々事実誤認のツイートを連発しているトランプ大統領の発言の信憑性はさだかではない。それにトランプ大統領は強硬な脅しをちらつかせて貿易交渉での譲歩を迫るといった手法を常套手段としている。米政府筋からも安保破棄はありえないと確言されていたことだし、正式に要求をつきつけられたのでなければ、あたふたせずに無視を決め込めばいいというのは理解できる。だからメディアも国民もトランプ大統領の攪乱戦術に乗らずに、日本が膨大な負担をしていること、安保条約がアメリカにも利益になっていることを冷静に説明し続けるにしくはない。

だが話はこれで終わりではない。今回のトランプ発言に限っては安倍首相の「ほおかむり」にも一分の理はあると思うが、安倍政権が問題を直視しようとしないことは問題だ。年金だけで暮らせないことは何年も前から指摘されているのに「2000万円不足」が話題になると報告書を「存在しない」ことにしてしまったり(過去ブログ)、保育の潜在需要についての民間試算を無視して、幼保無償化を先行させても待機児童解消が可能だと言い張ったり(過去ブログ「待機児童」カテゴリーの記事一覧)、アメリカとの貿易協定を「FTA(自由貿易協定)ではなくTAG(物品貿易協定)」と言い張ったり、そもそも将来世代の負担に目をつぶって放漫財政を続けたりしている。
安倍政権の真の問題点は、今回の「安保破棄」の対応ではなく、不都合な真実から目を背け続けることにある。


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