新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長らが東京オリンピックの観客についての提言を発表した。本音は「無観客以外はありえない」だったが、有観客にこだわる菅政権に配慮して観客を入れる場合についても条件を示した。だが政権は尾身提言について早くから警戒感を強めており、単なる「自主的な研究の成果」などと突き放す発言をしていた(朝日新聞2021-6-19)。だが政府・都・組織委・IOC・IPCの五者の会議では1万人までの観客を入れることで合意し、しかも組織委はIOCや競技団体の関係者は「観客ではない」から1万人とは別枠で入場するという認識だという(朝日新聞2021-6-22)。
専門家の意見を顧みない政府の態度は許せない…と思ってしまったのだが、「専門家が出した意見と、政府が決めた政策に違いがあっても構わない」(朝日新聞2021-6-22夕刊)という専門家の言葉にはっとした。もちろん、「その判断について政府がきちんと説明すれば」という条件がつく。
専門家が無観客を提言しても政府は観客を入れたければ堂々とそうすればいい。ただ、「1万人+アルファ」の観客を入れても「安全・安心」の大会ができると判断したのはなぜか、今後感染状況がどうなったらどう変えるのか、といったあたりの説明が欠かせない。
今さら言われるまでもなく、これまで多くの人が指摘してきたことだと思う。それなのに政府は尾身提言になぜあれほど身構えていたのか。やはり自分で説明することができず、お墨付きを与えるだけの専門家がほしかったからだろう。そんな政府がこの国の安全を担っているかと思うと背筋が寒くなる。
わずかな希望はWHOだ。ブラジルのオリンピックの際にはジカ熱の流行でWHOが安全性を評価したという。今回もそうすればいいのにと思っていたが、WHOとIOCが東京五輪の観客について協議することになったという(朝日新聞2021-6-22夕刊)。ただ、WHOの緊急対応責任者は記者会見で、最近1週間の日本の感染率についてアメリカ、ブラジル、イギリスなどに比べてはるかに低いことを引き合いに出して「大規模イベントを催している他の多くの国々と比べても、感染状況が良好であることに留意することが大切だ」と述べたという。WHOがすでに「有観客ありき」に取り込まれてしまっていると聞こえたのは私だけだろうか。
専門家の意見を顧みない政府の態度は許せない…と思ってしまったのだが、「専門家が出した意見と、政府が決めた政策に違いがあっても構わない」(朝日新聞2021-6-22夕刊)という専門家の言葉にはっとした。もちろん、「その判断について政府がきちんと説明すれば」という条件がつく。
専門家が無観客を提言しても政府は観客を入れたければ堂々とそうすればいい。ただ、「1万人+アルファ」の観客を入れても「安全・安心」の大会ができると判断したのはなぜか、今後感染状況がどうなったらどう変えるのか、といったあたりの説明が欠かせない。
今さら言われるまでもなく、これまで多くの人が指摘してきたことだと思う。それなのに政府は尾身提言になぜあれほど身構えていたのか。やはり自分で説明することができず、お墨付きを与えるだけの専門家がほしかったからだろう。そんな政府がこの国の安全を担っているかと思うと背筋が寒くなる。
わずかな希望はWHOだ。ブラジルのオリンピックの際にはジカ熱の流行でWHOが安全性を評価したという。今回もそうすればいいのにと思っていたが、WHOとIOCが東京五輪の観客について協議することになったという(朝日新聞2021-6-22夕刊)。ただ、WHOの緊急対応責任者は記者会見で、最近1週間の日本の感染率についてアメリカ、ブラジル、イギリスなどに比べてはるかに低いことを引き合いに出して「大規模イベントを催している他の多くの国々と比べても、感染状況が良好であることに留意することが大切だ」と述べたという。WHOがすでに「有観客ありき」に取り込まれてしまっていると聞こえたのは私だけだろうか。