リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

中国がヨーロッパをも牛耳る日

2017-12-30 | 政治
中国が世界に影響力を及ぼす勢いが止まらない.東南アジアでは南シナ海の軍事拠点化を批判する動きがすっかり抑え込まれてしまった感がある.アフリカにも積極的に資金や人を投入し,インド洋沿岸でも「真珠の首飾り」(ウィキペディアCERON)として拠点確保が進む.2016年には,オーストラリアでも北部ダーウィンの港湾が中国企業に99年間貸与されることになった(産経新聞).
そしてヨーロッパ.財政危機のギリシャはEUから支援を受ける条件として国営会社や国有資産の売却を求められ,国営だったピレウス港が中国マネーによって整備されるなどして中国の影響力が増している(朝日新聞産経新聞).こうしてEU圏内に橋頭保を得た中国がEUの行動を左右する事態もあったことを朝日新聞のコラムで知った.反体制派の民主活動家でありながらノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏が7月に中国で事実上獄死したことに関し,EUが人権問題で中国を批判する声明を出そうとしたのだが,ギリシャの反対で不発に終わったのだという.2010年にオスロのノーベル賞委員会がそのノーベル平和賞授与を決定したときは,中国が猛反発して,ノルウェーの養殖サーモンを事実上締め出すなどの報復措置を取った.数年後に制裁を解除してもらったノルウェーでは漁業相が「中国大好き」を公言しているというからなさけない(上記産経に詳しい).

もちろん富める国が影響力を増すこと自体をとがめるわけにはいかないのだが,気に入らない相手に対する中国のやり方はどうも乱暴に思える.2008年にはチベット問題でフランス系スーパーのカルフールに対する営業妨害が行われた(BB NEWS朝日新聞).尖閣諸島での中国漁船の体当たり事件(2010年9月,ウィキペディア)に際しては,日本への報復としてレアアースの事実上の禁輸をしたこともあった.その後,中国の輸出規制措置はWTO協定違反と認定されて2015年に撤廃されたが(経済産業省),数年後に取り消せば何をやっても許されるというものではないだろう.そういえば南シナ海問題で対立したフィリピンからのバナナに対して検疫を強化して,足止めされたバナナが大量に腐って廃棄されたという問題もあった(日経新聞Record China).そしてアフリカでの開発については「ルール無視」と批判的な報道もある(週プレNEWSasahi.com).
上記朝日コラムによれば,昨年,中国からドイツへの投資は前年比で10倍以上になり,ロボットメーカー大手KUKAが中国企業に買収されたあたりからドイツの中国への見方が変わってきたという指摘があるという.地政学的な遠さから中国への警戒感があまりなかったドイツでも,まだ日本のような「反中本」があふれる状況ではないとはいえ,警戒する声が出てきたようだ.
安易に反中にくみするつもりはないが,中国に行儀のいい大国になってもらうための仲間が増えてくれるといいのだが.

関連リンク:
朝日新聞2018-5-1「(チャイナスタンダード)幅を利かす中国的価値観 「カラー革命」敵視で共鳴」にも「欧米の人権外交にも影響」という小見出しで上記のエピソードが繰り返されている.


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