リベラルくずれの繰り言

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JASRACの映画上映使用料の値上げ要請がわからない

2017-12-21 | 一般
JASRACが映画音楽の創作者に対する著作権使用料(映画上映使用料)の値上げを求めています.私も11月11日に「映画上映使用料」なるものの法的根拠についてあれこれ書きました.上映権は著作権法22条の2に規定されたもので,映画の場合,著作権の帰属は29条1項により基本的には映画製作者(映画会社やプロダクション)のものになるものの,作曲家・作詞家などの著作者が「映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているとき」以外にはその著作権の部分は映画製作者のものにはならず,上映権が作曲家・作詞家などの著作者に残る,ということのようです.JASRACが徴収している映画上映使用料というのはこのように法的根拠があることが理解できます.
ただ,報道を見ていると大ヒットした「アナと雪の女王」の場合でも上映使用料が定額の18万円だったということがクローズアップされていますが,「アナ雪」がなぜ今回の値上げ要求に該当するのか,ネット検索してもわからないので,どなたがご教示いただければと思います.

私の理解では,作曲家・作詞家(俳優などもそうですが)が「映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているとき」には著作権は映画製作者のものになるので,上映権は作曲家・作詞家などには残らないのではないでしょうか.JASRACの案内ページにも,「その映画のために新たに書下ろされた楽曲(委嘱曲)、JASRAC非管理楽曲・著作権消滅楽曲のみの場合は、ここで手続き完了です。JASRAC管理楽曲がある場合は、請求書・許諾書を発行します。」とあって,(邦画の場合ではありますが)その映画のための書き下ろしの楽曲(委嘱曲)の場合には上映権は映画製作者のもになっている,という理解と整合します.
私は(法律の専門家ではないし,ましてや著作権法の専門家でもありませんが)上記のように解釈していたのですが,多くのメディアは「アナ雪」の事例などにも作詞家・作曲家に上映権が残っているかのような書きぶりです.冒頭でリンクしたJASRACのページでも坂本龍一氏の「楽曲提供された主な映画」の欄に『戦場のメリークリスマス』(1983)などがありますが,私はこれは「委嘱曲」だと思っていました.私の理解はどこで間違っていたのでしょうか.
ネット検索しても「上映権」が作詞家・作曲家に残っているのがどういう場合かについて論じたものがみつからなかったので,著作権法や映画音楽に詳しいどなたかご教授ください.

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