リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

援助の名目で高金利の融資をする「中国式援助」はかつての日本の援助とどう違う?

2018-07-29 | 政治
武力による「世界制覇」なんて古い.中国は今,「援助」という名の高金利の融資によって途上国の首根っこを押さえて,「合法的」に着々と世界での影響力を強めつつある.朝日新聞2018-7-29ではエクアドルが石油の主権を巻き上げられた例が挙げられていたが,中国は同様の手法で世界中にその手を伸ばしている.ヨーロッパまでもが中国の影響を受けていることを昨年紹介した.
だが,「援助」により途上国から権益を巻き上げる中国のやり方を批判する前に,日本はどうだったかも振り返るべきだ.かつて日本の途上国援助も,結局は日本の大企業を利するものと批判されていた時期があった.上記記事の「解説」はまさに,中国による開発協力はかつての日本がモデルと言われていることを紹介している.ただ,欧米から「ひも付きだ」との批判を受けて,当時の日本は先進国の一員であることを重視して,公正さや貧困削減に重きを置く欧米流の理想を受け入れたのだという.
だが今の中国にはそういう「理想」を受け入れる様子はない.逆に,日本を含む先進国のほうが中国流の融資競争に突入しているという.援助の受け入れ国から,人権だとか環境だとかうるさいことを言わない中国の融資の提案のほうが,どうしても魅力的に見えてしまうらしい.
記事では日本の国益にもかなうミャンマーへの援助の成功例も紹介されていたが,チャイナマネーが世界を席巻する大局的な流れを思うと気が塞ぐ.

追記:マレーシアが中国の融資を受けて進める予定だった鉄道建設を中止した(朝日新聞2018-8-22).それにより中国に対し27兆6千億円もの巨額債務を抱えることになることを危惧した上での決断だ.かなりの補償金を中国側に支払う必要があるが,「我々が愚かだった責任を中国に負わせるわけにはいかない」と潔い.前首相との政治的立場の違いもあるようなので即断はできないが,借金のかたに中国に何もかも奪われる前に目を覚ましたのはよかったのではないか.

追記2:中国による「債務のわな」を扱った朝日新聞2019-2-4は、中国の援助は「援助」というわりには高金利だと指摘していた。日本との比較はないが、かつての日本の援助の金利は今の中国よりはましだったと信じたい。

関連記事:
「中国の援助による借金漬けから各国が目を覚ます援助を


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 戦時賠償問題:ドイツとポー... | トップ | モリカケ問題:忘れてしまっ... »
最新の画像もっと見る

政治」カテゴリの最新記事