リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

東京五輪中止による「損失」1兆8000億円を気にしなくていい理由

2021-05-27 | 一般
東京オリンピックの開催を中止すれば1兆8108億円の損失という試算を野村総研がまとめた(朝日新聞2021-5-26)。だがこれは、以前も書いたように、見込んでいた経済効果が得られなくなるというものが大半で、運営費で1兆2070億円、チケット販売900億円などが含まれている。(ちなみに、以前の「4.5兆円」という情報との落差が大きいが、施設建設などですでに支出された分は、無駄になるとはいえ業者に金が回ったので経済効果になった、とされているからだろうか?)無観客開催の場合の損失は一桁少なく1468億円だそうだ。

だが中止の場合の損失額は、昨年度の名目GDPの0.3%であり、「景気の方向性を左右するほどの規模ではない」という。これに対し、緊急事態宣言による経済損失は、初回は約6.4兆円、2回目は約6.3兆円に上る。
今回の3回目の緊急事態宣言も延長は不可避の情勢だ。五輪開催で人が動いて感染が広がり、新たな緊急事態宣言(または今回の宣言の延長)となれば、開催中止よりもはるかに大きな損失になる。
朝日社説もいよいよ五輪中止を求めるまでになったが、私はまだ中止無観客開催かでゆれている。なお、そこでも紹介したように、ある推計によれば、五輪開催による感染拡大は、海外からの入国者よりも国内での人流拡大の影響のほうが大きいという。仮に開催するなら、国内の人もみなテレビ放送で観戦するようにし、五輪のために人の集まりを生まない徹底的な対策が求められるだろう。

えいやっと開催してしまえば無観客でもそれなりに盛り上がることは想像に難くない。コロナ対策が後手後手と批判を浴び、ワクチン接種も進められない菅政権にとって、もはや五輪のお祭りムードしか支持率回復のすべはないのはわかる。だが(医療従事者に過度な負担をかけないことはもちろん)開催しても感染拡大につながらないというある程度合理的な見通しが立つのでない限り、やはり開催はあきらめるべきだ。国民の健康と安全を政権浮揚のための「賭け」に使われてはたまったものではない。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ランチで外したマスクをどう... | トップ | 野党も必要性を認めている土... »
最新の画像もっと見る

一般」カテゴリの最新記事