10 なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか 「 1リ ルーズベルト(FDR)を喜ばせた三国同盟の締結 」
第1章
ルーズベルト(FDR)が敷いた開戦へのレール 一部引用編集簡略版
本章は以下の内容を投稿予定です。
1イ まえがき
1ロ アメリカの決意、日本の一人芝居
1ハ ルーズベルト(FDR)による敵対政策の始まり
1ニ なぜルーズベルト(FDR)は、中国に肩入れしたか
目次漏れ項目 日独伊三国に向けられた「防疫演説」
1ホ 中国空軍機による九州来襲
1ヘ 日本の外交暗号をすべて解読していたアメリカ
1 ト 中国軍に偽装した日本本土空襲計画
1チ 日本を戦争におびき寄せた本当の理由
1リ ルーズベルト(FDR)を喜ばせた三国同盟の締結
1ヌ 着々と進む日本追い詰め政策
1ル 開戦五か月前に日本攻撃を承認した文書
1ヲ 「日本という赤子をあやす」
1ヨ 直前まで対米戦争を想定していなかった日本
1タ 日米首脳会談に望みをかけた近衛首相
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1リ ルーズベルト(FDR)を喜ばせた三国同盟の締結
9月27日に、ベルリンにおいて日独伊三国同盟条約が、調印された。
日本の新聞は三国同盟を喝采して、沸き立った。9月28日の朝日新聞は、一面に「日独伊三国同盟成る」という大見出しを掲げ、「外交転換こゝに完成 世界新秩序の確立へ」「歴史的御前会議」「支那事変の解決促進 帝国の地位更に強化」「同盟の世界史的意義」「いまぞ成れり ”歴史の誓”」という小見出しが、並んだ。
ルーズベルト(FDR)大統領は、日本がドイツ、イタリアと三国同盟条約を結んだとの報せを聞くと、破願して、微笑んだ。そして、側近に「これで、日本をわれわれとの戦争に誘い込める」と、語った。
三国同盟条約は、アメリカが日本に対する圧迫を強めつつあったのに、対抗するものとして結ばれた。ドイツ、イタリアと結べば、アメリカを牽制して、対日圧力を弱めることができると、期待したものだった。
(日本の)陸海軍の多くの中堅幕僚が、ナチス・ドイツの挙国一致体制に心酔し、ドイツ軍による電撃戦の目覚ましい戦果によって、すっかり眩惑されていた。
これらの中堅幕僚は、ドイツがイギリス本土に上陸作戦を行なって、じきにイギリスを屈服させることができると予想して、ドイツと手を携えることを求めた。陸海軍が三国同盟を推進したうらには、ドイツの一時的な勝利に目がくらんで、「勝利バス」に乗り遅れてはならないという、便乗心が働いていた。
外務省では、広田弘毅(こうき)、吉田茂、東郷重徳、重光葵(まもる)の重鎮や、現役の大使が三国同盟に反対した。海軍では、米内(よない)光正をはじめ、1940(昭和15)年に駐米大使として起用された野村吉三郎、山本五十六をはじめとする将官が反対した。親独派将校の言動には、目に余るものがあり、蔭で「日系独人」とか、「独系日人」などと呼ばれていた。
だが、三国同盟にはアメリカを牽制する効果は、まったくなかった。かえって、ルーズベルト(FDR)政権を硬化させた。それにしても、戦争状態にある国と同盟条約を締結するのは、異常なことだった。
三国同盟によって、世界が日独伊の枢軸国と、それに対するイギリス、アメリカなどの民主諸国に二分された構図を、つくってしまった。
天皇は日独伊三国同盟が、対米戦争を招くことになるのではないかと、不安を隠されなかった。
9月16日、天皇は近衛首相が日独伊三国同盟条約締結を奏上した時に、
「海軍はどうだろうか? よく自分は海軍大学の図演(図上演習)で、いつも対米戦争に負けるということを聞いているが、大丈夫だろうか?
まことに、自分は心配だ。万一、日本が敗戦国となった場合、いったいどうだろうか? その場合、近衛は自分と労苦をともにしてくれるだろうか」
と、語っておられる。
参考:加瀬英明著「なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか」
加藤英明氏は「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長
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