ムカデとことこ

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美学 と 恥ずかしさ 

2014-02-24 10:36:22 | ひとの幸福
中学3年の時、転校生がクラスにやって来た。

この人はそれまでの私の友人たちとは全然違う感じがした。

たまたま家が近かったこともあって、急激に親しくなった。

彼女は本が好きで、よく笑って、お喋りで、歌が上手で、

生きることに自覚的な感じがした。

彼女をすごく好きになってしょっちゅう彼女の家で放課後を過ごした。

当時の英語の流行り歌を一生懸命覚えたり、

家族には内緒で時々赤玉ポートワインという甘いお酒を二人で飲んだり、

いろんなことを時間を忘れるほど話したりして、

本当にそれまでに経験したことがないような刺激的な楽しい時間だった。

当時の私にとって彼女は特別な友人になった。

その彼女が他のクラスメートと親しくしていたのを見たとき、

生まれて初めて嫉妬という感情を味わったことがあった。

そういう感情が湧いてきたことが恥ずかしかった。

恥ずかしかったから隠した。

まるでそんなこと気にもしてないように振舞った。

(嫉妬なんかするのは美しくない)・・・そういうのが確かにあった。

だから意識的に自分を律した。

いわばそれは自分なりの美学だったと思う。

また、初めて子を出産したとき、普段そんなことしてないのに、

産んだ晩から腹筋運動をしたり、腹に晒しをぎゅっときつく巻いていたのも、

(お産したからお腹がたるむのもしょうがないのよ、みたいな怠惰な感じは美しくない)

・・・こんな私なりの美学があったからだった。

出産関係の本に載ってた腹筋運動を毎日やった。

産後一日目はこういう腹筋運動、二日目はこういう腹筋運動、

三日目はコレコレ、四日目はコレコレと実に真面目に

入院してる間それを実行した。

人生で一番本腰入れてやった体操かもしれない。

それも自分なりの美学に基づいていたから、

ちっとも面倒でもなければ苦痛でもなかった。

まぁ、それはあくまで当時の私なりの美学で、

今はひとの産後のお腹のたるみを怠惰な感じとは捉えてないんだけどね。

美学も人それぞれ勝手なもんだろうと思う。

でも、どんな自分なりの美学であっても、それを持っていると、

“そう在りたい”という意志が働くものなのかと思う。

善悪の規範を持っていることより、

自分なりの美学を持っている方が

そう在りたいという意志が強く働くんじゃないだろうか・・・・???


美学の基準である“美しいか、美しくないか”じゃ無くて、

“善いか、悪いか”だったなら、

その善悪の規範に反することをしてしまった時に

恥ずかしいという思いをするだろうか?

例えば人を殺してしまった時には恥ずかしいという思いより、

もっと違う別の感情が芽生えるんじゃないかと思う。

あ、でも恥ずかしさを覚える場合もあるかもしれない。超少ないと思うけど。

陰口を言っているときに当の本人がそれを聞いていたとわかったら、

決まりの悪い思いをするのも、

そういう美学を無意識のうちに持っているからなんじゃないかと思う。

陰口や悪口は悪いというより美しくない、という感じは誰にでもあるんだろうと思う。

善悪の規範は恥ずかしさを呼ばないけど、

美醜の規範は恥ずかしさを呼ぶんじゃなかろうか・・・・???

この恥ずかしさというのは内的なものだ。

誰かが見ているから恥ずかしい、という外側を意識して

恥ずかしいというのもあるけど。

顔にご飯粒をつけたまま街を歩いていて、

見知らぬ人にご飯粒が付いてますよなんて言われたら超恥ずかしいけど、

家の中で誰も見てなかったら恥ずかしいというより、

なんでこれに気づかなかったんだろう??

皮膚感覚が鈍くなったのか??・・・なんていうふうになりそうだもの。


そういう外側に対する恥ずかしさではなくて、

誰も見てなくても恥ずかしいという、自分の内側に対しての恥ずかしさがある。

それは行為行動の恥ずかしさじゃなくて、

そう思った、という事自体が恥ずかしいというもの。


大袈裟に言えば「こころ美しく在りたい」という気持ちが

“恥ずかしさ”を生むのかと思う。

それは悪いことだからしない、というより、

それは美しくないからしない、という方が

“自分を律しやすい”のではないか・・と思った。

日本人は恥の文化、欧米人は罪の文化、という説も聞いたことがあるけど、

欧米人が罪の文化だとしたら、

それは善悪の規範によって成り立っているということだろうし、

恥の文化というのは元々美学を規範にしている、ということなのかもしれないと思った。

飛躍しすぎか???
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