勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

ヴィンセント・ギャロ的憂鬱

2005-05-21 | 映画のお喋り
ヴィンセント・ギャロの「バッファロー'66」は優れた恋愛映画だった。
そういう括りでいいのだと思うが、私はラブコメよりこんな感じの恋愛映画が好きだ。
だからギャロの新作(単館上映)「ブラウン・バニー」を観る気になった。
観た後で、こんな言葉が浮かんできた。

「誰でも一生に一度は小説を書ける。自分の半生の物語だ」

「バッファロー」はギャロの自伝的映画だったらしい。
彼が映画で表現したかったことは、この一作に集約されてしまったのかもしれない。
両親の家を訪ねていった時の、あの何とも言えない雰囲気こそ、彼の自伝だ。
ラスト、誘拐した女性とベッドで並んで寝てるいる時の、微妙に変わる距離感。
あれが彼の恋愛観だ。
ギャロは他にも絵画や音楽で自分を表現してるから、映画はこれだけでよかったのだ。

「ブラウンバニー」
この映画をどう表現したらいいか迷う。
多くの人が最初の30分で眠ってしまうような映画なのだ。
私は基本的にロードムービーが好きなので、かなり楽しみにしてた。
そしたらホントにロードだけのムービーだった。
ニューハンプシャー(アメリカ大陸のカナダに近い東海岸の州)からカリフォルニアまで、ギャロはひたすら車を走らせる。
まさしく大陸横断の旅だ。
その間3人の女性と浅い関係を持つ。
それ以外、カメラは車内からの景色、車内のギャロのアップしか映さないのだ。
無言のまま、ギャロを傷つけたのが「デイジー」と言う名の女性であることがわかる。
誘ってはそれ以上の関係に踏み込むことが出来なかった3人の女性の名は「マーガレット」「リリー」「ローズ」
ストーリーはこれだけだ。
ラストに問題の(衝撃の)シーンがあるにはあるが、そこは映画的付け足しに過ぎない。
ギャロが描きたかったのは、オートレーサーの男の孤独と、底知れない憂鬱だけだ。
余り底知れないので、観てるうちにすっかり憂鬱になってしまった。
憂鬱な気分を疑似体験したい、ポジティブ人間にはお勧めの映画かもしれない。
Comments (2)
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