地元神戸が舞台。主演の女性4人は演技素人。おまけにその人たちがロカルノ国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞したと言えば見ないわけにはいかない。
但し長い。5時間17分もある。録画して覚悟して見ました。長い映画は「風と共に去りぬ」「七人の侍」以来です。監督は先日、「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介。監督の映画は初めてです。海外で数々の映画賞を受賞。評価の高い監督です。
物語は4人の30代後半の女友だち。主婦の桜子に純。バツイチの看護師あかり、既婚で子供のいない学芸員芙美。時どき会って絆を深めている。あるワークショップに参加し打ち上げの中で、純が突然離婚裁判中だと話し出す。あかりが知らんかったと言い、桜子が知っていたこと。分かっていた芙美。無関係な人の中で大事なことを話した純。何でこんな大事なこと話してくれなかった。何でも話せるのが友だちやろ。許せないあかり。バランスが保たれていた4人の関係がゆらぎ始める。純の離婚裁判。桜子の夫婦関係。あかりの不安定さ。夫に疑心暗鬼で冷静な芙美の乱れる心。おまけに純が失踪する。友だちと言えどもすべて話すわけではない。最後に決めるのは自分自身だから。
それぞれの問題を描きながら一人一人が自分を見つめていく。それぞれの場面がとても丁寧に描いているのでまるでそこにいるようだ。ぎこちなかった台詞や動きも自然になって来る。ワークショップや朗読会のシーンがとてつもなく長い…。正直言ってこの二つは伏線であり意味深いシーンなのだと思うけれど興味がなく入って行けずに早送りしそうになった。濱口監督がちょこっと出演しています。 摩耶ケーブル、有馬温泉、三宮界隈、海があって坂道があってすぐそこに山がある。神戸の情景がいい。濱口監督はこの映画の撮影で、しばらく神戸に滞在されていたそうだ。監督が脚本の「スパイの妻」も神戸が舞台です。
4人がいろんな経験を経て動き出す姿が眩しかった。みんなまだ30代でしょ。がんばれ~。ハッピーアワーって、悩み苦しみ、喧嘩や孤独、アドバイスや温かさ、いろんな経験することが大事な時間なのかもしれない。それがやがて幸せにつながっていく。
壮大な物語の「風と共に去りぬ」人間ドラマ「七人の侍」は全く時間を感じさせずいつまでも心に残る。映画はこうでなくちゃあ。私のベスト映画10です。見て感じたままがいい。好きな映画は色あせない。何度見ても新鮮。何度でも見たくなる。映画は娯楽性も無くては。深く掘り下げて考えるのはちょっと…しんどい。濱口監督の描き方は苦手。是枝監督やポン・ジュノ監督も苦手です。