7月3連休は、奥又白池から前穂高北尾根登攀縦走という計画をK氏から頂いた。
想像しただけでも心躍る素晴しい夏山山行だ。
前穂高北尾根は、2年前の5月に登っていたが今回の奥又白経由は初めてである。
初めて行く未知の場所は、いつも楽しみいっぱいだ。
この山行は、初日に上高地から奥又白池までは約1,000mの標高差を登らなくてはいけない。
また、翌日は生活道具一式を担いでの北尾根登攀であるから体力勝負である。
そして当日、天気予報では曇りのち雨と梅雨明けはしていない様子。
それでも、もしかしたら・・・と一縷の希望を持って出発する。
7/14 上高地を12時前に出発。
梅雨明け前のためか、観光客・登山客ともに少ないようだ。
徳沢を過ぎて、新村橋を渡る。
パノラマコースから中畠新道分岐までは、ゴゼンタチバナの群生が多く見られる。
高山植物が豊富に見られるのも夏山の楽しみのひとつだ。
雪渓が出てきて、しばらく登っていくと左手に松高ルンゼが見えてくる。
正面が、中畠新道取付きである。
さぁ、ここからが本日の核心部。奥又白まで急登2時間コースである。
途中で降り出した小雨が本降りになり、合羽を着用。
暑いのに合羽を着ているので、もう体はサウナ状態。
そして急登はずっと続く。
振り返ると、ガスの中に薄っすらと梓川が見下ろせる。
随分、登ってきたようだ。そろそろ、奥又白じゃないかと話していたら・・・
16時50分、奥又白池に到着。想像していたよりも大きな池だ。
今日は、ここにビバークして明日の前穂高北尾根登攀に備える。
私たちよりも2時間早く到着していたK氏と、同じ山岳会の方2名とここで合流する。
雨が一旦上ったので、明日の北尾根5・6のコルへのルートを遠景で見ておくことにする。
ガスが懸かって尾根がスッキリ見えないがコルは確認できた。
コルへは雪渓をいくつかトラバースしてルンゼを登り詰めていくか、もしくは途中で尾根通しに行くかだろう。
しかし、明日の天気が心配である。なんとか、雨だけでも上って欲しいものだ・・・
再び雨がポツポツ降ってきた。
この日は、各々のテント内で宴会する。
今回は、荷物軽量化のためいつものようなご馳走ではない。
アルファー米にあぶら麩丼(卵2個と玉葱入り)と切干大根サラダである。
ウイスキーで程好く酔って、19時就寝。
しかし、夜中に激しい雨音で目が覚めてしまう。
7/15 翌朝は、ザザ降りの雨。しばらく待機するも、この日は停滞決定。
雨降りの中、1日中テント内に閉じ込められて気持ちが重くなるワタシ。
退屈しのぎにラジオで音楽を聞いていたがじきに飽きた。
今度は過去に100名山をどれだけ登ったかを順番に思い出して書いてみたりして時間を過ごす。
15時過ぎ、やっと雨が止んだ。
水汲みのついでに散歩に行くと、高山植物満開でこの日の暗い気分が吹き飛んだ。
7/16 3時起床。ガスってはいるが雨は止んでいる。登攀準備を整えて、5時15分出発する。
この日は、ともかく行けるかどうか分からないが5・6のコルまで登ることにする。
足元に気を付けながら雪渓をトラバースする。
12本爪アイゼンがよく効いて歩きやすい。
いくつかのトラバース後、5・6のコルへのルンゼへ出た。
この辺りはかなり不明瞭で、ルートファインディングが重要である。
行く先をよく確認しながら慎重に進む。
また、昨年の一部崩落で落石にもかなり注意しなければいけない。
雪渓から今度は岩場の登攀になりアイゼンを外す。
所々足元が、急斜面で滑りやすいためピックを差しながら登る。
ガスで視界が効かないため自分が今どの辺りにいるのかよく分からない。
それでも、時間的にそろそろコルかと思う頃傾斜が少し緩くなった。
7時25分、5・6のコルに到着。
相変わらず雲が厚く、今にも降り出しそうな空模様。
この日の前穂高北尾根登攀は諦めてここから涸沢に下りることにする。
5峰を目の前にして登れないなんて、モッタイナイ・・・
でも、こんな天気だから諦めもつくものだ。北尾根は、また次回のお楽しみとなる。
涸沢までは、次回の山行に備えてコンテで下りる練習をする。
コルから1時間で涸沢に無事に下ることが出来た。
今年は、残雪が非常に多く7月半ばでこのくらいの雪があった。
この後、涸沢からは一般登山道で上高地まで行き帰路についた。
前穂高北尾根登攀は中止になったが、奥白又からコルへのルートファインディング、
コンテや滑落停止などの雪上訓練も出来て有意義な山行となった。
もう一度、チャレンジして次こそは登ってみせるぞ!