らいちょうのあし日記

山登りが大好きで今日も日本のどこかで歩いています

北鎌尾根

2009年09月24日 | バリエーション
9月連休は、爽やかな秋晴れに恵まれましたね
今回は、長い間ずっと目標にしていた北鎌尾根に行って来ました

「山の総合力」が試される第一級ルートといわれている所で、
今までの練習の成果を活かすことが出来るのか!?
不安と期待が半分ずつの気持ちのまま、ついに本番が来てしまった
「もう、行くしかないわ!」と気持ちを奮い立たせました





初日は、中房温泉までの移動のみ。2日目、朝6時に出発してまずは燕山荘へ向かう
お天気最高の中、予定よりも1時間早く順調に山荘に到着
連休とあって、燕岳は多くの登山客で大賑わい
少し紅葉が始まっていましたよ




休憩の後、表銀座の登山道を大天井に向かう
気持ちの良い稜線が延びる先には槍ケ岳がくっきり見える
「明日、あのてっぺんまで行くのかぁ~スゴイや~ん」
ここからはとっても遠くに見える槍ヶ岳




大天井ヒュッテを上部より見下ろす
右手に延びる登山道は牛首山展望台に登るコース
私たちは、左手のコースを進む




ヒュッテから20分程歩いた所で、貧乏沢入口の標識を発見
いよいよここからが、スタート
「頑張るぞ~」気合満々で、先を行く




貧乏沢に沿って標高差770mを一気に下る
出だしのハイマツ帯でかなり往生させられ、途中からはガレ場の急な下り
かなりの体力消耗で、予定よりも1時間以上遅くなってしまった




天井沢を遡行して、ようやく北鎌出合に着くと既に10張ほどのテントがあった
しかも、みんな焚き火をして楽しそうにしているではないか!
早速、私たちも真似をしてやってみるが中々うまくいかず、
結局諦める・・・




3日目、ついに北鎌尾根アタックの日がきた
朝5時20分に出発する
北鎌沢出合からコルまで標高差640mを約2時間で登りきる予定。だったのに。
どのルートガイドを見ても、基本は右俣に進路を取るように書いてあったので
いつも「右、右・・」と進んでいった




な~んか、本当にここなん!?こんなに垂直壁ばっかりのはずじゃないよ?
おかしいな、と思ったがかなり登ってきて戻るにも危険すぎる
そんな時、ちょっと古い残置スリングがあったので「まぁ、行ってみよう」
となった。あぁ、今思えばあの時が戦いの始まりだった




北鎌のコルに到着したのは10時20分。なんと3時間も垂直壁と戦ってしまった!
この行き詰った箇所は「北鎌の罠」、「クライマー・ホイホイ」と言うらしい
ザイル組んでなかったら、即・滑落間違いナシ!みたいな場所でした




コルからヤセ尾根を行くと展望の良い天狗の腰掛P9
手前が硫黄尾根、後方右から水晶岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳と一望




独標の基部手前から全容を見る
なかなか手強そうだけど、慎重に行けば大丈夫だろうと信じて進む
無雪期なので、トラバースルートを歩いてゆく




踏み跡のついたルートをしばらく行くとオーバーハングの岩が
頭上に突き出し、足元はスッパリ切れ落ちた箇所に出た
ロープは使わず通過したが、天気の悪い日は無理かもしれない感じ




ここから稜線めがけて岩場を登る
せっかく来たんだから、独標頂上を踏まなくっちゃね




独標2899mからは、槍ケ岳が大きく目の前に現れた
「槍や~まだまだ遠いぞ~」




独標を超えたあたりから、だんだんと足場はさらに不安定になる
岩が脆く、あちこちから「ラク~っ」の声と共に岩の落ちる音が・・
慎重にクライムダウンする




後ろを振り返り、今まで歩いてきた岩峰を見ると左上方向に
穴あき岩がハッキリと分かった




P12辺りから、白くザレた岩は更に脆くかなり注意が必要
相方が先にクライムダウンして行ってしまい、私の取ったラインがかなりザレて
行き詰っていると後から来た男性Tさん、Mさんがロープをだして下さいました
懸垂下降で無事に着陸。ありがとうございました!




どんどん槍ヶ岳に近づいてきた
右から子槍、孫槍、曾孫槍、そして大槍
この辺りからは、巻き道ではなく稜線歩きが続く




尾根上の最終ピーク、P15への登攀
岩峰も大きく安定してきたので歩きやすい




北鎌平に着き、北鎌尾根を振り返る
いくつものピークを越え、やっと一息つける。と、言いたいところだが
時間が残り少ない!日没までに登頂しなければ・・先を急ぎます




頂上直下の最後のチムニーまで来た
ここで、前回5月の前穂北尾根で一緒だった山岳会メンバーの方々に追い付く
さぁ、いよいよ槍に向かって最後の力を出し切るぞ~




標高3180m、槍ケ岳山頂に着いた!
18時到着。出発から、なんと12時間半かかってしまった!
山頂で、Tさん、Mさんと一緒に記念撮影後、
すっかり陽が落ち真っ暗な道を肩の小屋まで下りる




翌日は、朝から小雨がぱらつき肌寒い
昨日までの快晴が奇跡のように思える
今日は上高地までゆっくり下山
途中、赤く色づき始めたナナカマドを眺めながら、辛くも楽しかった
北鎌尾根を思い出しつつ「来年、もう一度来よう」と自分に誓う



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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おめでとう!! (コーボタイシ)
2009-09-25 20:25:43
北鎌尾根踏破おめでとう!「北鎌の罠」は多くの人が入り込むそうですが、前進して壁を無事直登したのですね。ご苦労さまでした。
次なるステップに向け頑張って下さい。
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祝・キタカマ達成! (Mさん)
2009-09-30 22:56:10
キタカマお疲れ様でした。
ご一緒させて頂いた東京・阿佐ヶ谷のMです。

天候に恵まれた北鎌尾根登攀。槍の頂上では真っ暗でしたが、感謝と感動の瞬間でしたね。そうそう、梅酒もなかなか良かったでしょ?
高瀬-北鎌-槍-水俣乗越-高瀬。僕はTさんに助けられっぱなしの山行でした。疲れた~、でもまた来たい北鎌でした。
また会える日を楽しみにしています!
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楽しかったです! (らいちょうのあし)
2009-10-01 20:33:00
東京・阿佐ヶ谷のMさん、コメントありがとうございます。

天候に恵まれた北鎌尾根登攀、苦楽を共に出来、とっても楽しく充実した山行になりました。
また、山でお会い出来る日を楽しみにしていますね!
エツ?梅酒?
ワタクシ、大好きなんですよ。
美味しかったです~ご馳走様でした。


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感服しながら拝見しました (加藤です)
2009-10-21 11:13:38
2009/09/09 扇沢からタクシーでご一緒した一人です。山頂からこの「鎌尾根」見ていますので、より恐怖感が湧いて来ます。
何時も楽しみにhpを拝見しています。
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見て下さってたんですね! (らいちょうのあし)
2009-10-23 10:40:11
加藤様、こんにちは。
タクシーでお渡しした名刺がご縁で、ブログを見て頂ける事をとても嬉しく思っています。
これから山は雪の降る厳しい時期になっていきますが、らいちょうのあしは年中無休です!
冬山の美しい姿を、またブログを通じて発信していきたいと思っています。
また、どこかの山でお会いしましょうね。
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