今日もまた、「ひたすら」の日だった。
選挙チラシの証紙貼り。
今日から衆院選挙が始まったわけだけれど、立候補者の顔がドデーンと載っているいわゆる選挙チラシは、選管から配布される証紙が貼ってないと配布してはいけないことになっている。
それは立候補の届け出日に配布されるので、つまり選挙初日に全てのチラシに貼って配る、ということになる。
それで、それを1枚1枚貼り付けるためのボランティアというのが、何十人も必要になる。
私が人足に駆り出されたところでは、10万枚のチラシを新聞折り込みに入れて配布するということだった。
で、それをひたすらやったというわけ。
選挙事務所の取材はテレビ時代に何度か経験があったけれど、事務所の1要員になって何時間もその場にいたのは初めてだった。
それで思ったの。
選挙というのは、不思議なものだなぁ~って。
まず、ものすごく選挙に長けた何人かの男の人たちがその場を仕切る。
業界でいえば政界ということになるのかな。聞けば、現職議員さんや議員事務所の人たちらしい。
みんな同じ雰囲気なのがまず不思議。
次にボランティアのおじちゃん、おばちゃん達は、見るからに近所の人たち。もしくは親戚の人たち。
私はおばちゃん達とは別の場所で作業していたので最もホットな雰囲気は味わっていないのだけど、部分的に眺めていた限りでは、ある種の遠足みたいな感じで、ちょっと楽しそうだった。
なんだか、いいなあ。
それはそうと、印紙貼りの前に、私は続々と集まってくる支援者の駐車場案内を担当した。
そこで道路脇に突っ立っていたら、「せっかくだから手振ってくれる?」と言われ、手振りマネキン係に。
白い軍手をはめ、通り過ぎる運転手めがけてひたすら手を振ること1時間半。
はじめは間抜けなヒッチハイカーの気分でやるせなかったが、次第に手振りのコツが掴めてきた。
腕はピンとのばし、手首の左右運動にゆだねるのが一番疲れず、かつ美しいみたい。
顔はやや笑顔で。あまり笑いすぎるのも気持ち悪いだろうと思うから。
そして20人くらいのドライバーをゲット。つまり手を振り返してくれ、私も個別笑顔で応答した。
私は数年前に八丈島でうぐいす嬢のアルバイトをしたことを思い出した。
あの時も軍手をはめて一心不乱に手を振り、見知らぬ人と一瞬一瞬のコミュニケーションをとったんだった。
選挙を手伝うというのは、ノッテくれば意外と楽しいもんです。
つい先日、台湾でも地方一斉選挙が行われ、現政権の国民党が大敗した。
決して少なくない数の若者たちが、今年の春に起きた学生運動に触発され「政治を変えよう」と動いたらしい。
本当に、今アジアで一番熱いのは台湾ではないかとさえ思う。
いいなぁ、すごいなぁ。
今回の衆院選は全くなんでいきなり選挙なのか訳が分からないが、これがもし台湾だったら、「こうなったらこれを好機に変えよう!」とばかりに盛り上がるんだろうか。
ロスジェネ世代の私は、もうそんな言い訳なんか通用しなくなっているにも関わらず、やはりロスジェネ感を引きずったままだ。
政治の仕組みや市民運動なんかに、なんとも言えないけだるさを感じている。
こういうのも、台湾に何年か住んでみたら変わるだろうか。
それでも選挙には行かなきゃね。
夜、一緒にご飯を食べた大学生のNにも「とにかく絶対に行きなさい!」と半ば脅迫的に促した。
選挙を手伝う人たちは、ある人は自分の職をかけて、ある人は恩義のため、ある人は国政へのパイプを確保するため、またある人は政治に対する信念を貫くために、今日からの12日間を必死にガンバル。
私は、とにかく自民党のひとり勝ちになったら嫌だなぁと、それは強烈に思うもののイマイチ台湾の若者みたいに熱くはなれず、生木がプスプスと燃え損なっているみたいな気分だ。
熱くなれるって、いいなぁ…なんてことを思う。
(選挙事務所の横の畑はすばらしかった)
(これが印紙。チラシの右下にひっそりとある)
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