今週も始まりました、パチンコ工場。
今日のチームは7人。日本人2人、ブラジル人1人、ペルー人1人、フィリピン人3人の構成。
そして、その時はきたのでした。
部長か社長か工場長らしき、いつもウロウロしている波平さんみたいなオヤジ風上司が来て、作業中の私たちに向かって一言。
「ちょっと手を止めて!みんな、今の分だけやったら手を止めてください!」
私たちは、すぐに止めた方がいいのか、すぐでなくてもいいのか戸惑い、少々オロオロッと顔を見合わせていた…ら。
「こら、止めなさいと言っているじゃないか!」
とペルー人の女性に向かってペチッと叩く真似をして皆に正面を向かせ、説明し始めました。
「このカードをつくってきたから、休憩の前にはきちんとジコウテイを終わらせて、そうしてるでしょ? 休憩行く時には自分の分を済ませて、確認して、ってやっていると思うけど、それをやったらこのカードを上に乗せて、ここにちゃんと書いてあるから…ウンヌンカンヌン…」
…はあ? と思ったのは恐らく私だけではなく、皆がきょとんとして佇んでいました。
その「カード」に書かれてあったのは。
『作業終了済み
①休憩前は、自行程を必ず修了する
②休憩後は、自行程の確認をする』
…あの、これ、ここにいる全員が読めると思ってるんですか?
…しかも『自行程』って、何?
しらける私の前で、ペルー人の彼女はさらに眉をしかめ、首を突き出してカードを覗き込んでいました。
そうしたら!
「この人が一番分からんのだな、いつも! ペルーの、ミセスペルー!」
とまたもや彼女の肩を叩く真似をし、なぜか顔は私の方を向いて、わっはっはーという素振りを見せるのです。
私、怒り心頭…。
コノヤロウ…(怒)の思いを込めて、私はみんなに向かってゆっくりと言いました。
「休憩の前、終わったら、カード置く」
休憩時。
私は我慢し切れず、ペルー人の彼女に愚痴爆発。
「あのオトコ、ひどいね! あなたのこと、ミセスペルーだって! ちゃんと名前があるのに!」
「そうねぇ。でも私、分からなかった」
「私も分からなかったよ! 説明が下手なのよ!」
「なんで分からない、あなた日本人」
「日本人でも分からなかったよ、あなたのせいじゃない!」
「ほんとう!?」
そんなことをロッカールームでこそこそ話した後、昼食を食べに食堂に出ました。
そして彼女がお弁当を温めている間に、やかんの温かいお茶を注いでグビッと一杯。
「あなたも飲む?」と聞くと、
「それは多分、社員だけ」
「本当?大丈夫よ」
「あなたは日本人だから大丈夫。私は外国人だから怒られる」
「怒られたことあるの?」
「ないけど、怖い」
…そっか。
こんな風に壁っていうのは横たわっているんだな。
と私は納得しました。
きっと、その波平上司に悪意はなかっただろうし、差別しているなんても思っていないと思う。
もし自分が反対の立場で「ミスタージャパン!」と(同じ状況で)言われたら…なんて想像もできないんだろうし、想像してみたところで彼女たちの気持ちは分からないかもしれないとも思う。
実際その上司は、普段は外国人労働者の彼女たちに優しく接し、仕事がしやすいようにと細かい作業環境改善をしてくれているんだから。そう、あの『カード』みたいに。
ただ一つ、外国人とコミュニケーションする時のコツを、彼(もしくは多くの社員)は知らなさすぎるし、配慮してなさすぎて、実にもったいないなぁと思うのです。
せっかく皆さん優しい人たちなのに、喋る日本語が早すぎて(しかも無駄に多すぎて)分かりづらいんだもの。
それでも外国の人たちは、恐らく五感をフル活用して状況と命令を把握し、労働にいそしんでいる。朝礼も全く意味不明だと思うけれど、それはそれで朝礼らしくコトは済み、ノープロブレムなスタートを切る。
いやぁ~、これでよくトラブルや混乱なく回ってるなぁ~と、心底感心しているんです、私。
明日もまた、そのノープロブレムな職場を体験するために早起きします。
がんばっぺし。
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