<清水スタメン> 4-1-2-3
GK 権田
RSB 原 CB ヴァウド CB 鈴木 LSB 片山
DH 竹内
IH 後藤 IH 中村
RWG 中山 CF チアゴ・サンタナ LWG カルリーニョス・ジュニオ
<福岡スタメン> 4-4-2
GK 村上
RSB エミル・サロモンソン CB ドウグラス・グローリ CB カルロス・グティエレス LSB 志知
RSH 金森 DH 前 DH 重廣 LSH 石津
FW 山岸 FW ブルーノ・メンデス
5年ぶりにJ1の土を踏んだ福岡。
といっても過去は、5年毎に上がっては、1年でJ2へ舞い戻るというサークルを繰り返す事3度。
無限ループからの脱出を図るため、テコ入れは大幅に進められているようです。
放送内で「強化費を増大」と語られており、その通りにユニフォームのスポンサーも一新。
3社が新たに名前を刻み(日本パーク・DMMほけん・ユーピーエス)、胸ユニフォームには新日本製薬(前年は背中上部)の名が。
この下地を軸に、開幕直前まで補強が進められ陣容を整えていきました。
それでも開幕節(名古屋戦・1-2)は、J1の壁を痛感するような敗戦。
ルヴァン杯1節(札幌戦・2-3)を経て、この日はフアンマ・デルガドがベンチ外(詳細は不明)となり、カウエがベンチ入り。
微調整に余念が無く、早く勝ち点を得たいという強い思いが窺えます。
前回のJ1である2016年は、初勝利は9試合目という遅さ。
その前(2011年)に至っては14試合目(開幕9連敗)と、ある程度は仕方無いとはいえこの初動の遅さが降格の要因となってしまっただけに、あの時との違いを見せ付けたい所。
2016年には、逆に清水がJ2に居た(1年で昇格)という事で、このカードの実現は2011年以来。
立ち上がり、清水はショートパス主体のビルドアップに、ロングパスも交えつつの攻撃。
「攻守両方でゲームを支配」というのが今季のテーマらしいので、相手にペースを掴ませない事を重視したような展開を描きます。
それでもファーストシュートは福岡で前半7分、右サイドから重廣のロビングがエリア内へ送られ、こぼれ球が山岸に渡りエリア手前右からシュート。(ブロック)
清水の初シュートは12分。
右サイドバック・原が中央に絞ってのビルドアップから、中山が右サイドをドリブルしてクロス。
これが逆の左サイド奥のカルリーニョスへと渡り、彼から受けた中村が左ハーフレーン・エリア手前でキープののちヒールパス、そしてすかさずシュートしたカルリーニョス。
コースを突いたシュートがGK村上の手を弾きつつゴール右へと突き刺さり、先制に成功した清水。
そして再びJ1の洗礼を浴びる事となった福岡。
その後福岡も反撃に出ますが、前年J2で繰り広げた「フアンマ目掛けてのロングボール攻勢」は(フアンマ不在もあり)影を潜め。
しっかりとパスを繋ぎつつのビルドアップに、サイドチェンジも交えた攻撃で相手を崩さんとします。
18分、左サイドから前が右へとサイドチェンジのパス、受けたサロモンソンが低いクロス。
これをメンデスがポストプレイ、エリア内右で拾った金森が左へパスを送ると、石津がシュートを放つも清水・片山に頭でブロックされゴールならず。
飲水タイム(22分)が挟まれると、次第に個人技で勝る清水の攻勢が目立ち始めます。
サンタナのセンターフォワードとしての存在感と、カルリーニョスの突破力が、J2上がりの福岡にとっては脅威的。
それに加え、3トップ(4-1-2-3)から後藤が前へ出ての2トップ(4-4-2)へと可変する、清水のシステマティックな攻撃にも手を焼かされます。
28分、左サイドでのスローインからカルリーニョスのクロスが上がると、後藤がヘディングシュートしますがゴール右へと外れ。
その後は福岡も攻撃機会を増やしていったものの、アディショナルタイムに再び清水が攻勢。
決定機は今度もスローインからで、後藤がエリア内へロビングを上げると、裏を取ったサンタナがボレーシュート。
しかしGK村上が右足でセーブし、追加点は許さずに前半終了となります。
前年は降格制度は無かったものの、存在していたらまたも「最終節で降格回避」という歩みであった清水。(入れ替え戦枠の16位でしたが)
決してビッグクラブとはいえない規模ですが、オフには大補強を敢行し、低迷打破に必死な姿勢を見せました。
そして新監督には、セレッソの監督の座を辞したミゲル・アンヘル・ロティーナ氏の招聘に成功。
従来とは全く別のクラブへと進路をとっている最中、そんな状況でしょうか。
静岡は、通称「サッカー王国」「日本のブラジル」などと呼ばれて久しい土地柄ですが、プロであるJリーグでは衰退色を隠せていない。
下位に定着しつつある清水はまだ良い方で、お隣の磐田は現在J2。
藤枝・沼津はまだ発展途上であるJ3のクラブ。
かつて磐田が黄金時代を築いたのが、セピア色と化しつつある現状です。
果たして再び、この地域から覇を唱える時が来るのかどうか。
変革中の清水ですが、ある程度の結果が求められているであろう今季。
話を戻して、後半開始、の前に福岡はグティエレス→宮へと交代。
前年長期離脱を強いられたグティエレスのコンディションの問題か、あるいは宮投入で後方からのロングパス精度が欲しかったのか。
前半は右サイドから、サロモンソンのクロスを軸とした攻撃が多かった福岡でしたが、後半立ち上がりは左サイドから攻撃。
しかし有効打を放てずにいると、後半4分には再び清水の個の力が牙を向き。
カルリーニョスが左ハーフレーンをドリブルし、エリア手前で中央へと流れてシュートするも、惜しくもゴール左へと外れ。
その後の6分に、エリアすぐ手前での直接フリーキックのチャンスを得た福岡。
キッカー・サロモンソンが直接ゴールを狙うも壁に当たりモノに出来ず。
しかも直後にカウンターを浴びる始末(シュートまではいけず)で、反撃に手をこまねいているうちに、個人能力の高さで決壊させられるという負けパターンが過る展開を強いられます。
それでも攻撃権は握っている福岡、交代の狙い通りか、宮のFW(山岸とメンデス)目掛けてのロングパスを主体に組み立てます。
そして16分、左サイドで宮のライナーのパスがクリアされるもメンデスが繋ぎ、前を経由して逆の右サイドへ送られサロモンソンが低いクロス。
これをニアサイドで金森が頭でフリックの体勢でスルー、ファーサイドで山岸がワントラップからシュート。
スルーの効果覿面というゴールで、同点に追い付いた福岡。
一方追い付かれた清水、直後に中村→河井へ交代。
18分に再びスローインからの攻めで、サンタナのダイレクトでのエリア内への浮き球に片山が走り込んで受ける絶好機。
何とか福岡サイドがクリアするも、ここからセットプレーを交えて押し込む清水。
そして20分、左サイドから片山のロングスローからの攻勢。
一旦クリアされるもここから左からのクロスの連続となり、(ロングスロー含めて)3本目の片山のクロスがエリア内へ。
鈴木が合わせにいった落下点、GK村上が跳び出しキャッチにいくもこぼしてしまい、すかさず中山がボレーシュート。
グローリのブロックも及ばず、ゴール上部に突き刺さり勝ち越した清水。
尚も22分にカウンターで好機を掴んだ清水、カルリーニョスのスルーパスに抜け出してシュートしたサンタナ(枠外)は惜しくもオフサイド。
再び福岡は負けパターンに突入か、という思いを抱いているうちに飲水タイムに。(24分)
それと前後して福岡は石津→田邊へ、清水は後藤→ディサロ燦シルヴァーノへと交代します。
29分に福岡が、山岸がドリブルからエリア手前からシュート(GK権田キャッチ)を見せたものの、以降は清水にゴールを脅かされる展開に。
30分には決定機、右サイドでボールを受けたディサロが左へとサイドチェンジ、カルリーニョスが受けてパスワークののちクロス。
そしてファーサイドでヘディングシュートを放ったディサロ、GK村上がセーブした所を中山が詰めてシュート。
GK村上が弾くもゴールネットに突き刺さり、追加点かと思われたもののオフサイドでノーゴール。
命拾いした福岡は、31分に山岸→城後へと交代。
40分には重廣・金森→カウエ・湯澤と交代し、運動量を上げて反撃せんとします。
それでも好機は中々作れずに時計は進み。
ATに突入するという所で、空中戦からのこぼれ球を拾いにいった田邊が、清水・ヴァウドに倒されて反則。
再びゴール正面でのFKを得た福岡、キッカーは再びサロモンソン。
先程より遠目の距離でしたが、かえって狙い易い位置でもあり、ここでも直接狙いにいったサロモンソン。
壁を掠めたボールはGK権田の反対側へと方向が逸れ、ゴール左へと突き刺さり。
土壇場でセットプレーから追い付いた福岡。
残り時間は清水がロングパスで攻勢を掛ける展開に。
勝ち点が欲しい福岡はそれに屈する事無く、宮が警告を貰う一幕もありましたが何とか凌ぎます。
そして試合終了の時を迎え、手に汗握るゲームは2-2で引き分けという結果に。
J2では圧倒的な強さを誇った福岡守備陣も、カテゴリが上がると悪戦苦闘を強いられる。(レンタルバックでチームを離れた上島も、戻った柏では退場処分を受ける等苦心しているようで。)
この日はビルドアップからの攻撃姿勢も見せていた福岡、現状維持では生き残るのは難しいという意識が表れているようでもあり。
果たしてジンクスを打破する時はやって来るでしょうか。