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TV観戦 天皇杯 第104回全日本サッカー選手権大会ラウンド16 ヴァンフォーレ甲府vs鹿島アントラーズ

2024-08-23 18:27:51 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

前回の天皇杯の記事- 3回戦・柏vs筑波大

運命・定めに従うかのように、3年連続で相対する事となった両クラブ。

2年前は、甲府がまさかのJ2クラブでの優勝という栄光に登り詰めた際の過程で、準決勝で対決。(その時の記事
この時鹿島は監督交代して間もない(レネ・ヴァイラー氏→岩政大樹氏)状態で、新監督はポゼッションスタイルを掲げている道半ばで挑む事となり。
その結果、先手を取られてからは見るも無残に、1点を守り切らんとする相手に対し「ボールを持たされている」状態の域から抜け出す事が出来ず敗戦へのレールを進むしかありませんでした。

前年は、J1vsJ2のぶつかり合いが幕を開ける3回戦で相対し。(その際の記事
この時も鹿島はボール保持力にいささか疑問符が付く状態ながら、前年の二の舞を演じる訳にはいかない、という意地でビハインドを跳ね返し。
同点のままがっぷりよつを組む……事は無く、延長戦に入ると徐々に押され気味となってしまうなど、精神力に頼ったサッカーだったのは否めず。
そして最後はPK戦で、一巡する長丁場となった末に枠外シュートでの失敗により敗戦。
表面のスコア的には五分なものの、格上らしさを演じる余裕は何処にもありませんでした。

そして今季。
甲府が監督交代(篠田善之氏→大塚真司氏)もあり低迷、逆に鹿島は優勝争いと、カテゴリーは違えど明確に鹿島優位なリーグ戦の状態。
会場こそ甲府のホーム(JITリサイクルインクスタジアム)ですが、今度こそ負ける訳にはいかない試合となりました。

立ち上がりからサイド攻撃に精を出す鹿島。
海外から日本へ出戻りとなった期待の田川を中央に張らせ、彼にクロスを届ける事を第一とする思惑が表れたものの、成果としては今一つ。
その間に甲府が、前半6分に右スローインから1タッチでの繋ぎの連続を経て木村が持ち運んでミドルシュート(GK早川キャッチ)とファーストシュートに辿り着き。

むしろ7分、植田のロングパスで一気にエリア内を突いた所に、田川が走り込んでポストプレイと少ない手数で脅かす鹿島。
これはフィニッシュにはならずも、直後に空中戦でのこぼれ球をミロサヴリェヴィッチが1タッチでの縦パス、受けた樋口がさらにエリア内へスルーパスと素早い縦への運びでの好機。
そして走り込んだ田川のシュートに繋げる(GK渋谷キャッチ)という具合に、こちらの方が有効打に結び付いた立ち上がり。

甲府はリーグ戦での戦いの通り、守備時は5-4-1のブロックを敷くという基本姿勢で、ハイプレスに出る事は稀な立ち上がり。
しかし攻撃時は、本来の関口が右サイドバック化する繋ぎから一変し、シャドーの位置から張り出して来る三沢が右サイドアタックの軸となり。
18分に関口の裏へのロングパスを受けた三沢は、そのまま右奥からカットインでポケットに持ち込んでシュート(GK早川キャッチ)と、相手の対応の裏を取るのに一役買い。
彼を前面に押し出しながら、関口が最終ラインに残り普通の3CBの形からの繋ぎの形で、好機と見るや上がってくるという関口の立ち回り。

そして飲水タイムが挟まれたのが24分。
三沢の働きに光明を見出した甲府は、ブレイク明けはハイプレスへと意識を切り替え。
27分、それが奏功して縦パスをカットに成功した関口が、その勢いのまま藤井のチャージを受けて反則を奪い。
これでペースを掴むと、28分にGK渋谷からの組み立てで鹿島のプレッシングをいなし、右からの前進で飯田が須貝を剥がしてドリブル突破。
この際関口は彼に並走してパスを受ける事で攻撃参加すると、戻しを経て三沢のポケットへのミドルパスに走り込んでクロス(クリアされる)と最前線で絡むなど、流動性を発揮して多彩となってきた右サイドアタック。

そして29分、左からの攻めで宮崎がドリブル突破を経てポケットへスルーパス、走り込んだ木村のクロスがニアに低く入り。
これを三平が合わせシュートに持っていくも、関川のブロックに阻まれ決められず。
しかし尚もクリアボールを拾って最後方(ヘナト)から攻め直すと、またも宮崎の前進で今度は三平とのワンツーで左ハーフレーンを突き進む形。
そしてポケットから上げられたクロスを、ファーサイドで三沢がヘディングシュートで締めてゴールネットを揺らします。
攻勢の切欠となった三沢が先制点を記録するという、極上の流れでリードを奪った甲府。

過去2戦同様、先手を取られる形となった鹿島。
31分に関川が持ち運んでのロングパスでエリア内の田川に届ける攻めで、落としを経て師岡のシュートが放たれるも、左ゴールポストを直撃してしまい同点ならず。
その後、無理に縦パスを届けんとしては遮断されるという具合に、田川を活かす立ち回りは不発に終わる流れへと突入します。

それでも暫くは鹿島の攻撃が続き、凌ぐ体勢を余儀なくされた甲府。
それを変えたのは再び三沢で、38分に飯田のボール奪取でのこぼれ球を拾って右サイドをドリブル。
藤井の反則気味のアタックで倒されるも、関口がカバーして継続(その後クロスもクリアされる)と、右サイドアタックの分厚さを見せ。
すると39分、最後方からの繋ぎで鹿島のハイプレスを呼び込み、GK渋谷のロングフィードが最前線の宮崎に収まるという疑似カウンター。
宮崎はそのまま中央を持ち運んでミドルシュートに持っていくも、GK早川がセーブと惜しくも追加点はならず。

何とかその流れを切り、終盤再び攻勢を掛ける鹿島。
しかし、田川が決められなければそれで終わりという流れは変えられず。
突入したアディショナルタイム、左から藤井がドリブルで仕掛け、カットインの姿勢から上がったクロスを田川がヘディングシュートに持ち込み。
これも枠外に終わり、このままハーフタイムならびに戦術変更を余儀なくされる状況が過ります。

しかしその直後でした。
GK渋谷のロングフィードを植田がヘッドで跳ね返すと、これがヘナトのクリアミスも絡んで藤井が抜け出す決定機を呼び込み。
そのまま左ポケットでGKと一対一に持ち込んだ藤井、ファーサイドを切りに来たGK渋谷の股を抜くシュートで制し、無事モノにする事に成功。
堅かった甲府ディフェンスの、最後の緩みを突いた形で同点に追い付きました。

その後は何も起こらず、1-1のまま前半終了。
しかし恐らくビハインドの状態で用意していたと思われる、交代策をそのまま敢行した鹿島。
田川に代えて鈴木を投入(同時にミロサヴリェヴィッチ→名古に交代、樋口がボランチに回る)、本来のリーグ戦でのサッカーを取り戻さんというような采配。
一方の甲府、リーグ戦2試合出場停止となったアダイウトンを何処で使うかという采配が試される状況ですが、HTでは動かず。

後半も立ち回りは大きく変えない甲府、関口が後方に残ったままのビルドアップから、三沢が張り出す動きを軸とする右サイドアタックを貫き。
お互い中々好機が生まれない、我慢を強いられるような入りとなります。
すると冴え渡るのが鹿島の立ち回りの巧さで、後半6分に敵陣での右スローインから、細かいパスワークによる組み立て。
その最中でパスを受ける際、寄せに来る佐藤の眼前に足を入れる事で、ボール確保とともに反則をも呼び込む動きを見せる三竿。
その通り佐藤は三竿を倒してしまうも、濃野が拾ったため継続となりそのまま右奥を突きに掛かる鹿島、ディフェンスに遭うもコーナーキックに持ち込み。
時にはこうしたマリーシアを絡め、セットプレーも交えながら優位さを保たんとします。

しかし9分、ここも師岡が木村に反則を受けた事によるフリーキックからの攻め。
右サイド遠目という位置で、クロスと見せかけて短く繋いだのちに、濃野が逆サイドへ展開したものの読まれて関口にカットされ。
そのまま関口のドリブルで甲府がカウンターに持ち込む所、藤井が反則で止めてしまうと、これに対して飯田がヒートアップし詰め寄る事態となり。
これに対しても、飯田に応戦したのが鈴木という具合に、相手の苛立ちを増幅させる術を知っているような百戦錬磨の鈴木。
結局カードの類は出ず、甲府サイドが不満を貯めるような査定に終わります。

11分に甲府ベンチが動くも、初手は三平→マクーラ。
直後の右スローインで、投げられたボールを右ポケットで収めたマクーラ、そのまま反転シュートを放つも枠を捉えられず。
あくまで新戦力のマクーラに場を積ませ、この試合ならびにのちの爆発を期待する采配を見せる甲府サイド。

その後荒れ加減ぶり落ち着けるように、ペース配分を重視する鹿島。
それにより甲府がボールを握る展開へと入り、同時にどう崩すかという状況に。
18分、左サイドでマクーラが溜めを作りながらの繋ぎを経て、クロス攻勢に持ち込むもシュートには繋がらず。
クリアボールを拾って後方から攻め直しとなると、今度は中央突破を選択、それも林田がドリブルで持ち運ぶという大胆な手段を採り。
これが奏功し、彼のパスを三沢が脚でフリックした事で生まれた紛れから、木村が中央からミドルシュートを放ち。
GK早川がセーブした所を、上がっていた林田が詰めにいったものの早川の足でのクリアが一瞬早く、寸での所でモノに出来ません。

これを逃したツケは大きかった甲府。
以降徐々に失速し、そうなっても25分に小林・宮崎→荒木・武富へ2枚替えと、アダイウトンの投入は見送る運びに。
24分に三竿へのアフターチャージでマクーラが警告を受けるなど、その停滞感は再度荒れる展開への傾倒も生み出さんとします。

しかし鹿島も良い流れを築く事は出来ず、相手の出方を窺いながら徐々にダメージを与えていくという姿勢は変わらず。
26分に飲水タイムが挟まれてからも同様で、甲府が好機を殆ど作れない状態に陥っても、積極的に仕掛ける事はせずに時間を潰していきます。

そして32分に動き、柴崎の投入でゲームチェンジを果たさんとし。(藤井と交代、樋口が右サイドハーフに・師岡が左SHに回る)
しかしその矢先に、師岡が足を攣らせてしまい再度動く事を余儀なくされてしまう(34分、師岡→仲間)等、決して流れは良くなく。
それでも37分、主体的な攻めで好機を生み出す鹿島、左での前進の姿勢から戻して逆サイドへ展開する地上からの繋ぎ。
樋口の右ポケットへのパスが鈴木に渡り、ボックス内での狭い局面での攻防が生まれた末に、名古がシュートを放つもブロックに阻まれ。
甲府ボールとなった所を須貝が奪い、そのまま左ポケットに進入してシュートを放つもこれもブロックに阻まれ。
相手がじれた所で攻勢を掛ける、という流れになるも決められず。

そして38分、甲府はようやくアダイウトンの投入に踏み切り。(三沢と交代、同時にヘナト→井上へと交代)
一方鹿島も同時に、樋口→安西へと交代し、これにより須貝が右SBに・濃野が右SHに回りました。

こうして突入した終盤戦。
40分に早速アダイウトンがシュートに持ち込むも、威力が足りずGK早川がキャッチ。
直後の41分に、甲府ベンチに警告が付き出される(対象は岩崎通訳との事)など、白熱する内容を象徴する絵図も生まれ。

鹿島は交代に伴い、アダイウトンを抑えるように右サイドの選手を揃って入れ替える形に。
狙い通りに、左サイド奥を突きにいくアダイウトンにしっかり付くという形で、古巣の野望を沈めにいく須貝。

そして43分中盤での空中戦を制した鹿島が、浮き球を繋いでいった末に右ポケットへ運び、走り込んだ濃野のクロスがブロックされて右CKに。
最初のニアへのクロスがクリアされて2本目になると、今度は中央を選択するキッカー柴崎。
そして植田のヘディングシュートがゴールネットを揺らし、セットプレーをモノにする格好でついに勝ち越しを果たします。
神経戦を粘り強く制したその姿は、強くて嫌らしい鹿島のスタイルそのものであり。

これで追い掛けなければならなくなった甲府。
しかしその手段となるべきマクーラを悲劇が襲い、鹿島がヘッドでのバックパスをGK早川が抑えた所に、前向きのベクトルを止められなかったマクーラは早川の足を掛けてしまう格好に。
倒れ込む早川とともにたまらず反則を告げる笛が鳴ると、いち早くマクーラに詰め寄ったのが鈴木という具合に、ここでも神経戦に持ち込まんとする鹿島。
主審(山下良美氏)が警告を突き出さんとするその前でそうした絵図を描くのは、正直醜悪の域を出ないものの、これまでの荒れ模様な展開(度重なるノーファウルのジャッジ)もありそれを止める手段は無く。
結局マクーラは2度目の警告により退場となり、以降は林田が前線に上がってアダイウトンと2トップを組む、4-3-2の布陣となった甲府。

何とか1点を……という姿勢は見せた甲府ですが、それが実を結ぶ事は無く。
荒木の左ワイドからのロングパスで、武富がエリア内で脚から跳び込むも撃てずという場面を作ったものの、結局惜しいシーンはそれだけとなり。
1-2のまま試合終了の笛が鳴り、鹿島がついに甲府を破る事に成功。
過去の2敗も含め、この結果に持ち込むのに多大な労力を要したというような褒められない試合内容でしたが、ようやく悪夢を振り払う事となったのも事実。
これによりリーグ戦も勢いが付き、逆転優勝が果たせられれば……といった所でしょうか。

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