※前回の仙台の記事はこちら(26節・金沢戦、1-2)
※前回の藤枝の記事はこちら(25節・甲府戦、1-4)
※前回対戦時の記事はこちら(11節・藤枝 3-2 仙台)
<仙台スタメン> ※()内は前節のスタメン
- ヘッドコーチの渋谷洋樹氏が退任。伊藤彰氏に続く格好で、ある意味当然か。空いたコーチ枠にはジュニアユース監督だった西洋祐氏が就任。
- 前節(ヴェルディ戦、3-4)からフォーメーションを4-1-4-1へと変更。浦和監督時代の堀孝史氏の基本フォーメーションであり、早くも自分色を前面に出す姿勢か。
- 26節で負傷交代した内田が、今節復帰して即スタメン出場。
- 加入決定していた松崎が前節から登録され即スタメン出場、今節も連続してスタメン。
<藤枝スタメン>
- 前節(金沢戦、1-1)出場停止だった川島がスタメンに復帰。
- 渡邉がJ1・セレッソへ完全移籍となり、今節をもって登録抹消。
- 久保がJ1・名古屋へ完全移籍となり(以下同文)
- 田中宏武の(J1・札幌から)レンタルでの加入が決定。今節には登録間に合わず。
- 中川が(J3・今治から)完全移籍で加入が決定(以下同文)
前年J3で見事に結果を出した「超攻撃エンターテイメントサッカー」が、J2の舞台に上がっても立派に通用する事を証明しつつある藤枝。
しかし一般層に近い位置にも周知されるようになった結果、待っていたのは引き抜きという触手であり。
前年オフの熊本を彷彿とさせる抜かれぶりですが、異なるのはこれがシーズンの真っ只中という事。
渡邉も久保も移籍が決まる間近まで出場を重ねていた事実からも(オファーのニュースは以前から真偽不明ながら色々流れていた)、次の手を用意する余裕はJ2初年度の状況ではままならず。
いきなり主戦力が2人も居なくなったという格好で、慌てるように田中・中川の獲得を決定させたものの、登録自体は間に合わずに今節を迎えました。
試合前インタビューで気丈に振る舞う須藤大輔監督でしたが、そうした状況すら一気に吹き飛びかねない事件が開始直後に起こります。
仙台のキックオフでスタートした前半、ショートパスを回しながら藤枝のラインを引き込みにかかる仙台。
そして左サイドから前進し、縦パス→スルーパスと連続して早いボールを送り込むと、綺麗に裏を取って氣田のスルーパスを受けたホヨンジュン。
たまらず山原が後ろから腕でホヨンジュンを倒す格好となると、反則を告げる笛が鳴り響くとともに、主審がカードを突き付け。
そしてそれが赤色だった事でいきなり退場処分となり、実質全時間を数的不利で戦う事が決定してしまった藤枝。
まさかの事態に、須藤監督も必死にピッチサイドから異議を飛ばすものの当然実る事は無く。
これで得た仙台の直接フリーキックは、中島が直接シュートしたものの壁を直撃し、ビハインドは何とか避けられた藤枝。
以降布陣をどうするか思案を巡らせた結果、採った策は4-3-2というものでした。
アンデルソン・岩渕の2トップで、中盤3人全てがボランチというような恰好のものに。
一方、数的優位を存分に生かさんとする仙台。
前半5分に敵陣でFKを素早くリスタートさせ、ホヨンジュンが中央からミドルシュートを放つもゴール右へ外れ。
10分にはロングボールの跳ね返りを繋ぎ、氣田が左ハーフレーンをドリブルしたのちミドルシュートを放ちますが、これも川島のブロックにより決まらず。
まるでシュート練習かのようにポンポンとフィニッシュを重ねましたが、同時に遠目からのシュートのため「11対10だから、完璧に崩さなくても決められる」といった浅はかな思考も邪推してしまうものでした。
それを覆すかのように15分、退場のシーンを彷彿とさせるように、藤枝のハイラインを突いて左から氣田のミドルパスを中央裏で郷家が受けてGKと一対一の決定機に。
そしてエリア内からシュートした郷家でしたが、ボールは北村の正面に終わりキャッチされてしまいます。
当然ながら防戦を強いられていた藤枝。
誤魔化しながらも、ボールを確保した際は得意手であるボールポゼッションによる攻撃を展開。
一人少ないため、GK北村も前に出っぱなしという攻撃ターンであり、仙台のプレッシングはホヨンジュンの周囲との連携不足もありかわしていく事は容易となり。
それでもカウンターをケアしながらの運びを強いられ、縦パスを送る時も全体の上がりを自重してだったり、横山の単騎突撃に賭けたりと苦しさが滲み出ます。
長めとなるであろうアディショナルタイムを考慮してか、遅めの26分に挟まれた飲水タイム。
30分に藤枝が、運ぶ姿勢から一旦GKまで戻す事でプレスを誘引し、そのGK北村の縦パスを受けた岩渕がドリブルからミドルシュート。(枠外)
依然として苦しいながらゴールを狙う姿勢を見せたものの、非情にもここから仙台のターンが持続する事となり。
第1クォーターは、ミドルパスでサイドを揺さぶる事が多かった仙台でしたが、この時間帯はひたすら敵陣でグラウンダーのパスを繋ぐ事でサイドを揺さぶる姿勢を取ります。
32分には繋ぎ続けて左→右へとサイドを移した末に中央からの攻めを選択、鎌田縦パス→松崎ポストプレイ→ホヨンジュンと経由して右サイド裏へと展開。
受けた真瀬はオフサイドを取られるも、数的不利な相手を走らせる事で専守を強いるという、有利な者の立ち振る舞いを続け。
それでも守備を固める藤枝の前に、相変わらずミドルシュートが多めとなるフィニッシュ。
38分の中島のミドルシュートは、あろう事か前方の松崎の鳩尾に入るという具合に、依然未勝利が続く仙台のチーム状況を暗示するようなシーンも生んでしまい。
しかし41分に仙台がカウンターに持ち込みかけた所、氣田のドリブルが久富に反則で止められるなど、苦しいのが藤枝の方なのは歴然であり。
そしてそのシーンの直後、菅田の持ち運びから松崎→真瀬と経由して右奥を突いて真瀬がクロス。
上がったこのボールをホヨンジュンが綺麗にヘッドで合わせ、ゴールネットを揺らします。
有利な立場を決定付ける、待望のリードを奪った仙台。
スコアが動いても試合絵図は変わらず、ビハインドとなっても藤枝は凌ぐ事が続き。
迎えたATはやはり5分と長く、その中でコーナーキックを得た藤枝でしたがフィニッシュは生まれず。
逆にリードした仙台はビルドアップにも安定感が生まれ、最終ラインでの繋ぎで藤枝のプレッシングを呼び込んだうえで、送られた菅田のロングパスで最終ラインを突く攻撃。
ホヨンジュンのフリックを経てエリア内で持つ松崎、彼の戻しから中島のミドルシュートがゴールを襲いましたが、ゴールバー直撃と惜しくもモノに出来ず。
とどめを刺し損ねた、というシーンで(正確には、その後ボールを顔面で受けた新井が倒れ込んだ事で)前半は締められました。
具体的な調整の時間をようやく迎えられた藤枝。
即ち選手交代であり、岩渕→河上へと交代、フォーメーションはそのままに後半に臨みました。
そして始まった後半。
戦術を調整とはいっても、数的不利をカバーすべくより走る事が第一な藤枝。
その思想は、後半1分に久富が前に出てボールカット、3分に戻ったアンデルソンがボール奪取とディフェンス面で表れます。
一方で勢い余って、横山がスライディングで氣田を倒してしまい警告を貰うシーンもありましたが。(1分)
仙台はプレスの連動性が相変わらず今一つであり、その間隙を突かんとする藤枝。
中途半端に前に出た所に、アンカー鎌田の脇を狙うような縦パスを通した際は好機が生まれ。
12分には榎本縦パス→アンデルソンポストプレイを経て、受け直した榎本のドリブルが阻まれた所を、拾った河上がミドルシュート。(郷家がブロック)
数的不利による運動量の低下も懸念し、ベンチも早めに動く藤枝。
13分に横山・新井→永田・矢村へと2枚替え、これにより永田が左サイドバックに入る事で、榎本が2列目に。
一方仙台は、相変わらず多い攻撃機会ながら、前述のように藤枝の高まった走力の前に阻まれる事が多く。
14分にはエリア内へのスルーパスに走り込んだホヨンジュンでしたが、川島と交錯してしまい受けられず。
倒れた際右足を嫌な捻り方をしてしまい痛んだものの、何とか無事に起き上がり冷や汗を掻く仙台サイド。
それでも、ミドルシュートに傾倒していた前半の姿勢を改め、アタッキングサードでの崩しを目立たせ。
19分、左から氣田を軸に運ぶと見せかけて中央→右へと展開し、松崎のスルーパスに走り込んだ真瀬が奥からマイナスのクロス。
ブロックで方向が変わるも、中央で氣田が合わせたシュートはこれも(河上の)ブロックに当たった末にゴールバーを直撃。
そして跳ね返りをダイレクトで松崎が詰めたものの、シュートはゴール左へ逸れてしまい、結果的に痛すぎる決定機逸となりました。
気落ちするのは避けられないといった所で、21分に動く仙台ベンチ。
松崎・郷家→オナイウ・加藤へと2枚替えを敢行し、アタッカーの顔を新しくします。
命拾いのシーンが頻発する藤枝ですが、この状況でも最終ラインはしっかりとショートパスでビルドアップを敢行。
仙台はホヨンジュンが自重する事で何とか連動性を保たんとしますが、そうしたうえで掛けられるプレッシャーはパスコースを切る事が出来ておらず。
仙台2トップ(守備時は郷家(加藤)が前に出る)の動きを見たうえで、規制の無いコースへパスを通すという巧みなプレーを貫く事で、抗戦姿勢を維持します。
そして24分、最終ラインからの繋ぎで左サイドで山田将・永田がパス交換の体勢に。
この際オナイウが内を切ったのを見るや、山田将はすかさず永田へ渡し、ワイドをドリブルする永田という具合に対応力を発揮した末にチャンスエリアに。
榎本が左ポケットを突いて中央へ送り、アンデルソンのボールキープはこぼされるも、後方から走り込んだ河上が果敢にシュート。
これが右ポスト内側を叩いてゴールに突き刺さった事で、不利を跳ね返す同点弾が齎されました。
同時に飲水タイムが挟まれ、迎えた第4クォーター。
再びリードを奪わんと攻め上がる仙台ですが、時間が進むとともにその攻撃は流動性を欠いていき。
左右のサイドとも「偽SB」への固執が目立つようになり、ワイドにオナイウ・氣田、ハーフレーンに真瀬・内田という立ち位置が固定化されるようになります。
何度も奥を突いてクロスに辿り着くもフィニッシュには繋がらず、角度の厳しい所からオナイウがシュートを狙うに留まるなど、その影響が少なからず見られ。
37分に双方選手交代が敢行され、仙台は氣田・ホヨンジュン→フォギーニョ・中山へと2枚替え、これでフォギーニョ・鎌田のドイスボランチの4-2-3-1へ。
一方の藤枝はアンデルソン→徳永へと交代、榎本が最前線に回り。
しかし藤枝は直後にアクシデントに襲われ、河上がフォギーニョと交錯した際、倒れた所足を捻ってしまい激しく痛み。
仙台サイドのホヨンジュンと類似したシーンながら、こちらはすかさず続行不能のサインが出され、交代を余儀なくされる藤枝ベンチ。
鈴木が投入され、これで3バックへのシフトが過る顔ぶれとなりましたが、鈴木はそのまま左SBに入りフォーメーションを維持します。
藤枝は流石に二重のアクシデントには耐えられずといった格好で、以降試合終了まで仙台の攻撃が続く事に。
(GK以外)全員敵陣に入り込んでボールを回し続けるも、開き直って守る藤枝に対しこじ開ける難易度も上がり。
そして未だチームの完成度が高くない状態の仙台にとってそれは望まざるもの、という典型的な展開だったでしょうか。
決定機は45分の右CKからで、キッカー鎌田のクロスをファーサイドで菅田が合わせにいき、GK北村が飛び出してパンチング。
これが右ポケットという中途半端な所に落ちると、加藤のダイレクトでの折り返しから中山がヘディングシュートを放ちますが、ゴールバー直撃でさらに跳ね返り。
そしてゴール前にフォギーニョが詰めにいきますが、矢村・GK北村と交錯しながらのヘディングはゴール左へ外れと、先程の松崎の枠外シュートが思い出される結果に終わってしまい。
以降もひたすらポケットを突きまくる攻勢も、ゴールを奪えない仙台
最後のシーンもCKからで、GK林も前線に上がりまさに全員攻撃。
そしてキッカー鎌田のニアへのクロスを、その林がフリックで繋ぎ実るかと思われましたが、その後の中島のヘディングシュートは枠外に。
それと同時に試合終了となり、結局勝つ事は出来なかった仙台。
試合終了から数日経ち、藤枝は一発退場となった山原の処分が発表。
これが今季2度目という事で2試合出場停止、かつ罰金という重いものとなり。
一方の仙台には、元日本代表の齋藤の加入が決定というビッグニュースが。
既に晩年という年齢でドリブラーにはキツい状況ながらも、何とか一花咲かせてほしい所です。
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