※例によってあまり込み入った事は書いていません
今季を最後に、新レギュレーションへ移行するのは周知の通り。未知なる航海に放り込まれる……という表現はいささか暴力的なものの、不透明かつ手探りの状態を強いられては、J1昇格ならびに定着への予想図も一層作り辛くなる。
そんな訳で、無風(?)状態での昇格のラストチャンスとなる今季。札幌が北端・大分が南端という「J2オリジナル10」の初期状態でそれを迎えた事で、乱世の直前という状況に相応しいノスタルジックな雰囲気を醸し出しつつある……というのは考えすぎか。
※ポジションの凡例
GK=ゴールキーパー。そのまんま。
CB=センターバック。3バックの際は()内に左右中を表記。
SB=サイドバック。4バックのみ記述。()内に左右を表記。
WB=ウイングバック。3バックのみ記述。()内に左右を表記。
DH=ディフェンシブハーフ。要はボランチ(2人)ないしはアンカー(1人)。
SH=サイドハーフ。4-4-2のみ記述。()内に左右を表記。
IH=インサイドハーフ。3バックの際はシャドーないしはトップ下、4-3-3の際はボランチを除いたMF。
OH=オフェンシブハーフ。4-2-3-1の2列目。()内に左右中を表記。
WG=ウイング。3トップのみ記述。()内に左右を表記。
FW=フォワード。セカンドストライカーの役割にはSSを追記。
CF=センターフォワード。3トップのみ記述。
R=右サイド C=中央 L=左サイド
「パワーサッカーの東北」の色合いが定着するなか、そのさらに北側へと光臨(?)した札幌の存在感。やろうとするサッカーも、新監督の下しっかりとボール保持に取り組まんとしているとの事で、そんな表現が相応しい。
対抗する東北勢、前年4クラブ全てがトップハーフという快挙を成し遂げたものの、プレーオフ圏にのし上がったのは仙台・山形とバランス型の方。成績面ではパワーサッカーで駆け抜けるには旗色が悪いといった図式だが、今季も気丈に中途半端なポゼッションスタイルを蹴落とす体制は維持できるか。
<北海道コンサドーレ札幌>
岩政大樹氏を新監督に迎え、心機一転やり直し……というクラブの立場。鹿島で迎えた初の監督業(2022~23年)は、常時鹿島というブランドに縛られていたようなものだったので、岩政氏本人も本来の理想を追求するためクラブと同様の心境だろうか。
補強は(レンタルバックを除いて)高嶺1人と、コンセプトがハッキリしすぎて逆に怖さを醸し出していたオフの動き。降格クラブにおけるネガティブぶりは、引き抜きの数も少なかった(岡村・浅野)事で抑えられただろうが、同時に高嶺獲得への費用の掛け方から新社長(石水創氏)の道楽的な運営にも映り素直にプラスに働くかどうかは不透明。
その一方で、去就が注目されていた福森は今季も(レンタルのまま)横浜FCに残り、J1を戦うという選択。これにより彼の左足に頼れなくなったなか、新監督の理想を愚直に貫くか否か。(基本布陣は3-4-1-2との事だが、個人的には何処かのタイミングで3-4-2-1に変わりそうな気がする)そういった意味で、仙台・山形よりは安定性に欠けると予想。
予想順位=3位~13位
予想フォーメーション 3-4-2-1
GK 菅野 高木 児玉 中野
CB 高尾(R)家泉(CR)パクミンギュ(L)中村(L)馬場(R)西野(R)岡田(?)(宮澤C)(大﨑C)
DH 大﨑 宮澤 荒野 高嶺 深井 (馬場)(青木)(長谷川)
WB 近藤(R)田中宏(RL)(パクミンギュL)(白井R)(青木RL)(原L?)
IH 青木 長谷川 スパチョーク 白井 原 カン キングロード?(荒野)(バカヨコ)
FW キムゴンヒ バカヨコ サンチェス 中島 (白井)
<ベガルタ仙台>
あと一歩のところで昇格を逃した昨季。プレッシングサッカーに舵を切り、選手数を減らしかつ新卒選手を活用して図られたリフレッシュ効果は抜群だったが、1年経った事で何時までもそれに頼る訳にいかなくなりどうなるか。前年大きかった新人選手のウェイトも、今季は高卒中心で即戦力とは言い難いものなだけに果たして。
J1から獲得した選手達(武田・井上・荒木)は、既にJ2で文句無いキャリアを築いており後はフィット次第。プレイメーカータイプの武田が、「走るサッカー」に合うかどうかという懸念はあるが。彼らと石井・GK堀田により、全てのポジションで一段層が厚くなれば(小出が抜けたセンターバックが若干厳しそうだが)、後はFW次第つまり「決めるだけ」といった編成か。
そのFWも、中島・中山が抜けた分をグスタボ・宮崎で埋めるという堅実な補強。ポストプレイヤー(宮崎・梅木)をしっかり組み込んだうえで、助っ人(グスタボ・エロン)のパワーが炸裂すれば……といった思惑が伺えるが、エロンが献身性に特化したタイプなだけに巧くいくかどうかはグスタボ次第か。
予想順位=5位~9位
予想フォーメーション 4-4-2
GK 林 堀田 松澤 梅田
CB 菅田 モラエス 實藤 井上 (石尾)
SB 真瀬(R)石尾(L)高田(RL)奥山(LR)石井(L)(實藤R)
DH 工藤 松井 鎌田 武田 湯谷? (荒木)
SH オナイウ(R)相良(L)有田(R)名願(L)荒木(?)横山(?)(郷家R)(武田RL)
FW 郷家 エロン 梅木 宮崎 グスタボ (荒木)
<ブラウブリッツ秋田>
最高順位を更新した前年、その報酬はセンターバックの総替えと、「出る杭は打たれる」を地でいく状況を強いられたオフ。
ともかく、この穴を埋めるべき既存戦力の岡﨑・星キョーワァンがともに故障離脱ばかりなため、新たな強度が必須であるポジション。J3からの個人昇格かつ、前年3バックのクラブからの移籍である井上・深港の飛躍に賭ける状況なのは心許なく。その分サイドバックは層が厚いので、尾崎は前年の愛媛から一転しCBで育てられる可能性が高いか。
そんな危急存亡の秋、といった後方とは裏腹に攻撃陣は堅実。前年(自分達より)下位の他クラブで目立った人材を完全移籍で獲り、層を厚くして臨む今季。佐藤・小野原の完全移籍という要素も大きく、安定度は前年から増した感があり。
しかし生き残りのためには、新たな人材中心で堅守を築けるかどうか。これまでのシーズンとは裏腹に、大味な試合が増えるかもしれない。
予想順位=9位~18位
予想フォーメーション 4-4-2
GK 山田 ラドティッチ 矢田貝 堀内
CB 岡﨑 井上 深港 星 (尾崎)(長井)(村松?)
SB 村松(R)才藤(L)尾崎(R)長谷川(L)石田(RL)(藤山R)(水谷L)
DH 諸岡 小野原 藤山 長井 水谷
SH 中村(R)畑(RL)佐藤(L)大石(RL)吉岡(R)(水谷L)(石田RL)
FW 小松 梶谷 川本 佐川 鈴木 (畑)
<モンテディオ山形>
周囲(というか、ほぼ秋田といわき)のパワーサッカーの空気に呑まれる事無く、保持型のスタイルを攻撃に昇華させる貴重なクラブ。これで昇格まで辿り着ければ言う事無かったのだが、(岡山の)ハイプレスに捕まる格好で悲願はならずまたもやり直し。
正GK(後藤雅明)の移籍が追い討ちを掛け、新たな秩序を固めるため、またもシーズン序盤を費やすのは必至な予感が膨らむ状態に。そこでの傷を最小限に留め、過去2年のような追い込みを見せられるかどうか……と、定番の流れが出来つつあるが仕方無い。
その他のポジションはほぼ前年通りで迎えられるなか、2年ぶりに助っ人を獲得。それもGK(トーマス)とストライカー(ミケルタゼ)という、最後方と最前線の人材。かくして無事戦力に加わり、安定感抜群ながらもややマンネリ化しつつある状態を(良い方に)変えられる存在に成り得るだろうか。4年ぶりにJ2に君臨となった、吉尾の復権にも密かに期待。
予想順位=3位~11位
予想フォーメーション 4-2-3-1(4-2-1-3)
GK 長谷川 寺門 上林 トーマス
CB 西村 安部 城和 熊本
SB 川井(RL)山田(LR)岡本(R)吉田(L)野嶽(RL)(安部L)
DH 高江 小西 南 中村
OH 土居(C)イサカ(R)國分(LC)氣田(L)坂本(L)加藤(CR)吉尾(R)田中(C)(野嶽R)(高橋C)
FW ディサロ 藤本 高橋 ミケルタゼ 大森
<いわきFC>
前年は大幅な選手の入れ替え。新たな秩序を構築するのに時間が掛かると思われたが、五十嵐・大西といった意外な方面からの抜擢もあり、直ぐさま持ち味の屈強ぶりを発揮。そしてそのままシーズンを駆け抜けた。
トップスコアラーの谷村が残り、遠藤がレンタル在籍の縁で再加入と、相変わらず入れ替わりが激しいなかでそれなりに好循環も生まれつつあり。今季は一安心という傍らから見た印象だが、逆に危機感の欠如は無いだろうか。個人的には近藤を(鹿児島へ)レンタルに出したのは悪手だと思い、五十嵐に受け継がれた「特別指定からの成り上がり」という存在をあっさり戦力外とする(戻ってくる可能性はあるが)のは、その流れとともにチームの好循環自体も途切れてしまうような気がする。
最終ラインに目を向けると、「筋肉系クラブ」での育成を期待される人材で目を引くのが広島からの木吹。身長2m超えという規格外のスケールで、彼がスタメンを勝ち取る事になれば絵的にも面白そうだがどうなるか。
予想順位=10位~19位
予想フォーメーション 3-3-2-2(3-1-4-2)
GK 早坂 ジュヒョンジン 松本
CB 堂鼻(RC)生駒(CRL)五十嵐(R)石田(LR)遠藤(CL)白井(?)山田(?)ヒョンウビン(?)木吹(?)
DH 山下 大西 柴田 石渡
WB 加瀬(R)坂岸(L)(五十嵐RL)(山下L)(白輪地?)
IH 山口 鵜木 加藤悠馬 白輪地 加藤大晟 (山下)(谷村)(石渡)
FW 谷村 熊田 ブワニカ (加藤大)
4-4-2の場合
GK 早坂 ジュヒョンジン 松本
CB 堂鼻 生駒 遠藤 白井 山田 ヒョンウビン 木吹
SB 五十嵐(RL)石田(RL)(山下L)(加瀬R)
DH 山下 大西 柴田 石渡 (山口)
SH 加瀬(R)加藤悠(R?)坂岸(L)山口(L?)鵜木(R)白輪地(?)(谷村L)
FW 谷村 熊田 ブワニカ 加藤大