5月9日 11:10 GMT (日本時間5月9日午後8時10分)、水星はトランジットとして知られる太陽面通過を始めるだろう。世界の多くで通過の一部が見えるこのトランジットの間に、水星は太陽に対して小さな黒い点として見えるだろう。水星は、最も速く最も変わった軌道を持ち、太陽系で最も小さく最も内部の惑星である。水星は、無数のクレータ、隆起、高地、平原、山、谷を含む、魅力的な地表を誇っている。このイメージは、NASAのメッセンジャが見た、ケルテス(Kertesz)クレータの視界である。「マジックアイ」を想起させる錯視、このイメージでは、惑星表面から膨れ出るまたは水星の地殻の中に沈むクレータの、何れかを見るだろう。しばらくして、イメージの方向が逆転して見えるかもしれない。この効果はクレータ錯視(crater illusion)と呼ばれる。これは、我々の頭脳が、影を、頭上からの光の源から生じると解釈することから起きる。しかしながら、多くの衛星写真は光の源が地表にほぼ水平であり、これが我々を光と陰のパターンを誤って解釈するように導く。
<出典>: 「Space in Images;欧州宇宙機関」
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<ひとこと>: ① 今回の太陽面通過は日本では直接は見られません。NASAの中継放送をご覧ください。昨日の「お知らせ」を参照。② このイメージでは“クレータが盛り上がり中央峰が窪んで(本来とは全く逆に)”見えていると思います。これが錯視です。この現象は火星からの写真ではしばしば起きます。参考までに最近の発表された冥王星の例もご覧ください。円形の多数のクレータが盛り上がり、中央やや左の孤立した塊が窪んで見えると思います。この錯視は常に起きるわけではなく、正しく見えたり、目をそらして再び戻したときに逆に見えたりします。