地震が能登半島を隆起させる
2024年1月1日、日本の各地で大惨事が起った。日本時間午後4時10分(世界時間7時10分)、本州北西部の能登半島の陸地が揺れ始め、約50秒間激しく揺れた。マグニチュード 7.5 の本震後、何十回もの強い余震が続いた。
この地震は、石川県では1885年以来、日本本土では2011年の東日本大震災以来の最強の地震となった。震源地から南東に約300キロ離れた東京を含む本州の大部分で揺れが感じられた。最も揺れが激しかったのは、能登半島北部の震源地に近い、珠洲、能登、輪島、穴水であった。インフラの損傷は火災を起こし、コミュニティを燃やした。地震の後の大雪が緊急対応を困難にし、一部のコミュニティでは支援物資が届くのが難かしくなった。
救急隊員が地上から災害に対応する中で、科学者達のいくつかのチームが衛星を使って状況を追跡した。左上のマップは、地震に起因する陸地の移動の量を示している。赤のエリアは北西に向かって上に押された。空港の周辺(注:図の中央やや右上の色の変わった部分)および半島全体の他の鮮明なエリアの撒き散らされたダークブルーと赤エリアは、恐らく、建物または他の地形がレーダー信号の反射に起因する可能性がある疑似信号である。
「能登半島の北海岸の一部では4メートルもの隆起があった」NASAのジェット推進研究所の地球物理学者は言った。「隆起が大きいのは、断層が地表近く、つまり深さ約10キロメートルで破壊したためである。傾斜角が急な断層で発生し、断層の南側が上方に移動した、いわゆる thrust earthquake(推力地震?:専門用語)である。」
地震は様々な深さで起こる。0~70キロメートルの間で起こるものは浅く、70~300キロメートルは中間、そして、300~700キロメートルは深部である。このような浅いところで起きる地震は、発生する地震波が震源から地表に伝わるのにエネルギーを失う時間が少ないので一層破壊的になる傾向がある。
このマップは、ジェット推進研究所とカリフォルニア工科大学の地震学研究室の先進的高速画像分析(ARIA)チームからのデータに基づいている。ARIA チームは、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の ALOS-2 (陸域観測技術衛星2:だいち2号)の PALSAR-2 センサーからの合成開口レーダーのデータを使った。
国土地理院の科学者達による「だいち2号」の観測の追加分析によると、地震によって海岸線に沿って85キロメートルの陸地が隆起したことが示されている。これによって、最も隆起が見られた海域の一つである水無月湾(Minazuki Bay:下の図の左半分、明るい図の中央やや右下の湾:大判参照)の海岸線の位置が約200メートル海側にシフトした。彼らはまた、輪島などに大量の隆起と新しい土地を報告した。
広島大学の地形学者 Goto Hideaki は、日本地理学会の仲間と共に、航空写真と衛星データを使って、地震が半島の海岸に沿った長方形の合計 4.4 キロメートル露出させたと推測した。
湾周辺の海岸線の変化の一部が、このランドサット・イメージのペアに見える。左のランドサット9のイメージは、地震の前、2022年1月10日にOLI-2(オペレーショナル陸地画像装置2)から得られた。右側のイメージは、地震後の2024年1月17日に、OLI(オペレーショナル陸地画像装置)で得られた。この湾は、一般より非常に高く乾いた、二つの小さな漁港を有している。 朝日新聞によると 、石川県の15以上の漁港が上昇を報告した。
衛星データは、最も深刻な被害を受けた地域を迅速に特定するために使用でき、災害発生直後の緊急支援組織にも役立ち、また、当局が将来の災害の可能性に備える際の、より長い期間にわたる復旧と再建に関する多くの情報に基づいた決定にも役立つ。
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<ひとこと>: 大判はイメージをクリック。右下のイメージは動画(.mp4)です。リンク先からご覧ください。
<出典>: Earth Observatry
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