ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 アジアンタム ブルー 」 大崎 善生

2015-07-30 19:46:25 | 
  「 アジアンタム ブルー 」  大崎 善生

          

大崎さんの本は、前回の「 パイロットフィッシュ 」に次いで2作目。
アジアンタムブルーとは、パイロットフィッシュの時はアジアンタムの憂鬱と書いていましたが、
水不足で、葉がチリチリに丸まり、全体に広がっていくこと。
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雑誌編集者の山崎隆二(33才)は5才年下の恋人続木洋子を3か月前に亡くしたばかり。
葉子を失ってから、毎日、デパートの屋上で空を眺めていた。
そこで3年前に夫と友人を不倫の末の心中で亡くした中川宏美と出会う。

そこからは、隆二の回想。
中学時代、クラスメートの笠井に引き込まれ万引きをして捕まり、抑え込まれ周囲から浴びせられた蔑みの言葉による心の傷。
高校時代に所属していた美術部の美人で頭のいい先輩・石原美津子とのある体験。
エロ雑誌の編集者になりSM女王ユーカの紹介で知り合った、水たまりの写真ばかり撮っている新進カメラマン葉子との出会い。
二人は愛し合うようになり、一緒に暮し始めるが、葉子が突然倒れ、末期の癌性腹膜炎で余命1ヶ月と診断される。
隆二は仕事を辞め、葉子をニースに連れて行く。
以前、葉子とユーカと高木と4人で撮影旅行に行き、葉子が好きだと言ったニースを葉子の死に場所に決めて。
海沿いのペンション「ル・シャンピニオン」で、親切なオーナーのミッシェルと、
空港から乗ったタクシーで知り合った陽気な運転手のフレデリックに助けられ、精一杯生き、幸せな最後の時を迎える。
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恋愛小説や映画で片方が死んでしまい、悲しいのはよくありますが、この本は、優しくて美しかったです。
こんなに若いのに病気になって亡くなるのはたまりませんが、隆二の優しさが心にしみます。
葉子も、最後まで幸せだったと感謝して安らかに旅立ちます。
隆二が仕事に戻り、ディスカスを飼う準備をして前向きに生きようとするのでほっとしました。

2年前に息子がこの本を読んで、アジアンタムを買ってきましたが、アジアンタムブルーになる前に、
ジーンが少しずつ食べて、とうとう茎だけにしてしまったのを思い出しました。

心に残った言葉は、「永遠と無限の概念。中国の言い伝えで、天女が千年に一度舞い降りてきて三千畳敷きの岩を羽衣で一掃きする。
その岩が磨滅して無くなるまでの時間を永遠と言う。 無限とは、膨張し続けること。(宇宙は秒速4千キロのスピードで膨張している)」

今回も、作中に出てきたエルトンジョンの「ユア ソング」 キース・ジャレットと、ポリスを聴きました。

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  ありがとうございます

コメント (2)
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