酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

関電「節電」の意図

2011-06-11 06:47:22 | Weblog
 この夏の電力不足は、東日本にとどまらず関西にも波及することが必至となった。美浜原発などの再稼動が難しい状況から、関西電力が「15%の節電が必要」と需要家に呼びかけている。

《関西電力は10日、管内の企業、家庭などに対し、電力需要が増える7月1日から9月22日まで、昨夏のピーク時に比べて15%程度の自主的な節電を要請すると発表した。停止中の原発の再稼働が遅れ、夏場に電力不足に陥る恐れがあるため。関電が節電を要請するのは第1次石油危機の1973~74年以来。節電の時間帯は平日の午前9時~午後8時で、企業や一般家庭などすべての利用者が対象。お盆の8月12~16日は除く。東日本中心だった節電の動きが関西にも波及した形で、企業の操業計画見直しは避けられず、西への生産シフトの動きにも影響しそうだ。記者会見した八木誠社長は「停電を回避するための苦渋の決断だ」と説明。東京電力に実施している電力融通を7月以降は中止し、中国電力に関電への融通を求めたことも明らかにした》=共同=。

 関電の説明はかなり胡散臭い。原発の再稼動が難しい状況なら、まずこれを動かす方策を考えるべきだろう。そうしないで、停止を前提とした節約に訴える。大阪府の橋下知事が言うように、「原発がないと大変だ」とアピールするための戦術に思える。

 《関西電力の節電要請について、大阪府の橋下徹知事は10日、報道陣に、関西広域連合が夏季の5~10%の節電方針をすでに決めていることに触れ「この期に及んで15%カットはありえない。お願いするなら好きなようにやってほしい。大阪府は協力しない」と述べた。「15%カットしなければ停電するのか、関電は何も根拠を示していない。(節電を強調して)原発の必要性を訴えようという意図を感じる」と不快感を示した》=毎日jp=。

 国内の原発は現在35基が定期検査などで停止中だ。現在動いている炉も順次、定検入りしていくので、再稼動がない限り来年の夏までにはすべての炉が止まってしまう。こうなると、経済や家庭生活の大きな影響が出るのは避けられない。

 電事連が目論んでいるのは、この夏、電力不足がいかに大変かを味わわせ、「やっぱ原発いるよね」の世論を喚起することではないか。再稼動への動きの鈍さは、こうした事情によるとも考えられる。

 それもこれも、政府が機能していないからだ。

 菅がいま打ち出すべきは「30年後(15年後でも20年後でもいいが)には原発を全廃する。再生可能エネルギーの創出に総力を上げる。そのためには、今ある原発のうち、立地条件や老朽度に問題のない炉については、安全性を確立した後フル稼働させる」という大方針だろう。

 全廃までの筋道をはっきりさせることが肝心だ。

 政界の菅降ろしの動きには、エネルギー政策を含め大きな国家戦略上の思惑が絡んでいそうだ。その意味で、橋下の嗅覚はなかなか鋭い。これで政治センスがあればいいんだが…。

  
コメント
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