野田政権の無定見ぶりは、それこそ想像を絶する。
≪野田首相は19日夜のテレビ朝日の番組で、尖閣諸島国有化に対する反日デモなど中国の激しい反発について、「一定の摩擦が起こることは考えられた。ただ、この規模は想定を超えている」と述べた≫=読売ONLINE=。
なんという言い草か。双方が対立する案件で、ある行動を起こせばリアクションが起きるのは当たり前である。行動の成果とリアクションを天秤にかけ、さらに先々まで見通して決断するのが政治であろう。野田首相のこの発言は、「考えなしにやってしまいました」と言っているのと同じだ。いったい誰がこんな振付を行っているのだろう。
民主党政権が尖閣諸島の国有化方針を明確にしたのは7月7日。盧溝橋事件勃発の日である。野田首相と胡錦濤総書記が顔を合わせた二日後には国有化の登記を済ませた。柳条湖事件81周年の1週間前というタイミングである。
領有権の当否は別にして、野田政権がやっていることは中国の古傷を掻きむしるやり方に見える。国内向けの「弱腰と見られたくない」などという論理で、火遊び外交を行うなど理解しがたい。
かつて小平は「(尖閣問題は)10年でも100年でもわきに置いておきましょう」と述べた。油ガス田の開発など実務面では協調し、領有権そのものには触らない。これぐらいのことができなくて、何が外交か。
国有化に当たって、政府はどれほどの瀬踏みをしたのだろう。米中の腹を探るなどということはやっていなかったのではないか。
気になるのはアメリカの思惑だ。パネッタ国防長官は日本で「尖閣は日米安保の対象」と従来の見解を繰り返しているが、額面通りには受け取れない。
沖縄駐留の米軍は輸送機の更新すらままならない隘路にある。しかし、尖閣がきな臭くなれば、この状況は一挙に覆る。やはり機動力のある海兵隊は欠かせない―の声が高まると予想されるからだ。
中国の攻勢が本格化するのはこれからだ。中心となるのは経済制裁である(あからさまに政府が主導するかどうかは別にして)。既に自動車販売には陰りが見える。
≪日本車が韓国と中国で苦戦している。8月の販売台数は前年同月比で減少した。一部では韓日、日中間の領土問題をめぐる外交葛藤が反日感情につながったためという分析が出ている。
11日の中国自動車工業協会(CAAM)によると、8月の中国市場の日本車販売台数は前年同月比で2%減少した。今年上半期は平均10%増だったが、こうした増加傾向が変わったのだ。同じ期間、中国全体自動車販売台数は11%増え、韓国・ドイツ・米国自動車の販売は2けた増加率となった≫=韓国・中央日報=。
領土問題は民族感情そのものであり、双方とも安易な妥協はできない。つまり落としどころがないのである。「毅然としたところを見せよう」などという甘い考えが残したツケは、あまりに大きい。
≪野田首相は19日夜のテレビ朝日の番組で、尖閣諸島国有化に対する反日デモなど中国の激しい反発について、「一定の摩擦が起こることは考えられた。ただ、この規模は想定を超えている」と述べた≫=読売ONLINE=。
なんという言い草か。双方が対立する案件で、ある行動を起こせばリアクションが起きるのは当たり前である。行動の成果とリアクションを天秤にかけ、さらに先々まで見通して決断するのが政治であろう。野田首相のこの発言は、「考えなしにやってしまいました」と言っているのと同じだ。いったい誰がこんな振付を行っているのだろう。
民主党政権が尖閣諸島の国有化方針を明確にしたのは7月7日。盧溝橋事件勃発の日である。野田首相と胡錦濤総書記が顔を合わせた二日後には国有化の登記を済ませた。柳条湖事件81周年の1週間前というタイミングである。
領有権の当否は別にして、野田政権がやっていることは中国の古傷を掻きむしるやり方に見える。国内向けの「弱腰と見られたくない」などという論理で、火遊び外交を行うなど理解しがたい。
かつて小平は「(尖閣問題は)10年でも100年でもわきに置いておきましょう」と述べた。油ガス田の開発など実務面では協調し、領有権そのものには触らない。これぐらいのことができなくて、何が外交か。
国有化に当たって、政府はどれほどの瀬踏みをしたのだろう。米中の腹を探るなどということはやっていなかったのではないか。
気になるのはアメリカの思惑だ。パネッタ国防長官は日本で「尖閣は日米安保の対象」と従来の見解を繰り返しているが、額面通りには受け取れない。
沖縄駐留の米軍は輸送機の更新すらままならない隘路にある。しかし、尖閣がきな臭くなれば、この状況は一挙に覆る。やはり機動力のある海兵隊は欠かせない―の声が高まると予想されるからだ。
中国の攻勢が本格化するのはこれからだ。中心となるのは経済制裁である(あからさまに政府が主導するかどうかは別にして)。既に自動車販売には陰りが見える。
≪日本車が韓国と中国で苦戦している。8月の販売台数は前年同月比で減少した。一部では韓日、日中間の領土問題をめぐる外交葛藤が反日感情につながったためという分析が出ている。
11日の中国自動車工業協会(CAAM)によると、8月の中国市場の日本車販売台数は前年同月比で2%減少した。今年上半期は平均10%増だったが、こうした増加傾向が変わったのだ。同じ期間、中国全体自動車販売台数は11%増え、韓国・ドイツ・米国自動車の販売は2けた増加率となった≫=韓国・中央日報=。
領土問題は民族感情そのものであり、双方とも安易な妥協はできない。つまり落としどころがないのである。「毅然としたところを見せよう」などという甘い考えが残したツケは、あまりに大きい。