錦織の銅メダルには、心の底から感動しました。同時に一つ勉強になりました。
気持ち=意識、でプレーが劇的に変わるということです。
ご存知の通り、錦織は第2セットで2つのブレークに成功し、サービスゲームを1つとれば勝利というところまで迫っていました。しかし本人が「意識してしまった」と振り返ったように、ナダルに2つのブレークを許し、タイブレークの末にセット落としてしまいました。
その時のプレーは、どこか、積極的すぎるというか、決めてやろうというものが多すぎた気がします。
えっという場面での、ドロップショットのミスは象徴的でした。
消極的になってはいけないけれど、積極的過ぎてミスをしてはいけない。最終3セット目は、その中間に錦織のメンタルは入らなければなりませんでした。
私がプレーしている、サッカーの話に飛びますが、大会の決勝のような大事な試合になると、ひどく積極的になってしまう選手をよく見ます。入らない距離からシュートを打ったり、守備で少し無理なチャレンジをして裏を取られたり。普通ならしないプレーをアドレナリンにさせられている感じです。
錦織は、見事に第3セット、彼の普通のゾーンでプレーしました。最後の1ポイントが終わるまで、メダルのことは頭の外に置いて戦っているように見えました。凄まじい粘りを持つナダルが相手だったことも大事に戦えた理由だったのかもしれません。
錦織の試合後のコメントで印象的なのがこちら。
「見てましたよ。バドミントンもそうですし、水谷君(卓球男子単銅メダル)の試合も見てましたし。あれだけメダルがかかって緊張する場面の、他の選手を見るというのも得られるものというか盗めるものというか、自分がモチベーションもらうだけかもしれないが、いろんな他競技の選手たちの振る舞いだったり、いろんなものを吸収したような気はする。すごく有意義な、得たものは大きかったと思います」
常に学んでいるから一流でいられるんでありましょう。
素晴らしいメンタルゲームでありました。