「ラストサムライ」と言う映画で、トム・クルーズが日本の”サムライ達”と共に日本政府軍と闘うアメリカの軍人を演じました。
ひょんな事から日本のサムライに命を救われ共に暮らす程になったアメリカ人の”オールグレン”は、欧米化し軍事化する日本に抵抗する侍達のリーダー、渡辺 謙さん演ずる”勝元”と深く交流するうちに「武士道精神」を理解します。
彼は戦場にてサムライ達と共に戦い、”勝元”の最期を看取りました。
”サムライ達”の中で一人生き残ったオールグレンに、日本の若い天皇は「勝元はどんな死に様だったのか。」と聞きます。
「どんな生き様だったのかをお話ししましょう。」
とオールグレンは言い、天皇は感慨深げな笑顔を見せるのです。
遠く、16世紀のイギリスで9日間だけ女王の座につき、断頭台でその生涯を閉じた女の子の物語が日本で舞台化されました。
その女の子、ジェーン・グレイを堀北真希さんが演じました。
断頭台に上ったジェーンは16歳。
「悲劇」として伝わるこのお話もまた、今回の舞台では彼女が「いかに死んだのか。」ではなく、「いかに生きたのか。」を描いていました。
「9days queen」。読んで字の如く、9日間の女王様。それがこのお芝居のタイトルです。
イギリスの、しかも、何百年も前の話のどこが面白いんだろうか。
最初はそう思いましたけども・・・。
終わってみれば、客席にて大拍手の自分がおりました。
そしこの公演が全て終了して今思うのは、アタシは「堀北真希」と言う女優さんを少し誤解していたんだなぁと。
この舞台を観るまでは見た目の綺麗なだけの・・・人形の様な女の子だと思ってた。
しょっちゅう、テレビで目にする他の女の子達とさほど変わらない・・・。
でも、違っていた。彼女の中には強い意志がありました。
そして、表現する事でその意思を”伝えることの出来る”立派な表現者でした。
誤解していた事を心から謝りたいと思います。
堀北真希さん、ごめんなさい。
いや、でもしかし、綺麗だった本当に可愛らしかった
共演した上川隆也さんが「その佇まいがお客様へのおもてなしになる。」と仰ったのが本当によく分りました。
嬉しい事にこのお芝居には、観客達に少し物語の説明をしてくれる人物が登場します。
それが、上川隆也さん演ずる”ロジャー・アスカム”です。
このお芝居で「ストーリーテラー的役割」をはたす彼はジェーンの家庭教師ですが、彼女と心の深い所で繋がりを持ちます。
登場人物達同士の関係性がよく掴めない観客達のために、”9days queen”公式サイトにも、パンフレットにも、配布されたチラシ類の中にも、色んなところに「関連略系図」なる物が提示されていました。
たいへん親切でありがたかったです。
当然ながら、そのどこにも”ロジャー・アスカム”の名はありません。
彼とジェーンは親愛なる、信愛なる、そして深愛なる、ひじょうに近しい友人なのです。
ロジャーはお芝居の冒頭から登場します。”ブラック・バード”と呼ばれる、もう一人の「ストーリーテラー」と一緒に。
青葉市子さん=ブラックバード
フードのついた黒っぽい丈の長い衣装を着て、ついぞお芝居中にはかぶったフードを取る事はありませんでした。
台詞はなく、ハミングや歌う歌詞、奏でるギターの音が彼女の存在を示します。
お芝居中は舞台の端(お客さんから見える位置)にギターを抱えて座っていて、場面場面で歌ったり、ギターを弾いたりしていました。
でも、最初にロジャーと登場する時には、舞台の上を少し歩きまわります。
ロジャーが台詞を言うと、ブラックバードがそれに答えるようにハミングをしていました。
高い、子供の声のようでもあり大人の声のようでもある、天から授かった神秘的で心地よい声で。
ロジャーとブラックバードがまるで会話をしている様なその場面から、舞台はエドワード6世の戴冠式へと流れます。
高らかに音楽が鳴り響いて、エドワード王の登場です。一団の頭上の肖像画がエドワードの父、ヘンリー八世。奥さんを6回も取替え、自分の都合で次々に処刑した王。この人が死んだので、息子のエドワードが王様になったのですね。
エドワード6世を演じたのは浅利陽介さん。”エドワード6世”と検索して見つかる立ち姿の肖像画とイメージがぴったりですよね!
9歳で王になった彼はジェーンと同い年で仲が良く、一緒にダンスの練習をする場面もありました。
きらびやかな戴冠式をジェーン、母親のフランシーズ、乳母のエレンも見つめます。
ロジャーとブラックバードも見つめています。
思えばブラックバードの存在は、ロジャーとジェーンしか認めませんでした。
ロジャーとジェーンにはブラックバードが「鳥」に見えている様ですが、他の登場人物達は誰もブラックバードが見えていないようだし、声も聞こえないようでした。
アタシはブラックバードを、二人の内面的な存在なのではないかと思いました。
そしてそれは、二人が響き合う源の様な気がしていました。
つづく。
ひょんな事から日本のサムライに命を救われ共に暮らす程になったアメリカ人の”オールグレン”は、欧米化し軍事化する日本に抵抗する侍達のリーダー、渡辺 謙さん演ずる”勝元”と深く交流するうちに「武士道精神」を理解します。
彼は戦場にてサムライ達と共に戦い、”勝元”の最期を看取りました。
”サムライ達”の中で一人生き残ったオールグレンに、日本の若い天皇は「勝元はどんな死に様だったのか。」と聞きます。
「どんな生き様だったのかをお話ししましょう。」
とオールグレンは言い、天皇は感慨深げな笑顔を見せるのです。
遠く、16世紀のイギリスで9日間だけ女王の座につき、断頭台でその生涯を閉じた女の子の物語が日本で舞台化されました。
その女の子、ジェーン・グレイを堀北真希さんが演じました。
断頭台に上ったジェーンは16歳。
「悲劇」として伝わるこのお話もまた、今回の舞台では彼女が「いかに死んだのか。」ではなく、「いかに生きたのか。」を描いていました。
「9days queen」。読んで字の如く、9日間の女王様。それがこのお芝居のタイトルです。
イギリスの、しかも、何百年も前の話のどこが面白いんだろうか。
最初はそう思いましたけども・・・。
終わってみれば、客席にて大拍手の自分がおりました。
そしこの公演が全て終了して今思うのは、アタシは「堀北真希」と言う女優さんを少し誤解していたんだなぁと。
この舞台を観るまでは見た目の綺麗なだけの・・・人形の様な女の子だと思ってた。
しょっちゅう、テレビで目にする他の女の子達とさほど変わらない・・・。
でも、違っていた。彼女の中には強い意志がありました。
そして、表現する事でその意思を”伝えることの出来る”立派な表現者でした。
誤解していた事を心から謝りたいと思います。
堀北真希さん、ごめんなさい。
いや、でもしかし、綺麗だった本当に可愛らしかった
共演した上川隆也さんが「その佇まいがお客様へのおもてなしになる。」と仰ったのが本当によく分りました。
嬉しい事にこのお芝居には、観客達に少し物語の説明をしてくれる人物が登場します。
それが、上川隆也さん演ずる”ロジャー・アスカム”です。
このお芝居で「ストーリーテラー的役割」をはたす彼はジェーンの家庭教師ですが、彼女と心の深い所で繋がりを持ちます。
登場人物達同士の関係性がよく掴めない観客達のために、”9days queen”公式サイトにも、パンフレットにも、配布されたチラシ類の中にも、色んなところに「関連略系図」なる物が提示されていました。
たいへん親切でありがたかったです。
当然ながら、そのどこにも”ロジャー・アスカム”の名はありません。
彼とジェーンは親愛なる、信愛なる、そして深愛なる、ひじょうに近しい友人なのです。
ロジャーはお芝居の冒頭から登場します。”ブラック・バード”と呼ばれる、もう一人の「ストーリーテラー」と一緒に。
青葉市子さん=ブラックバード
フードのついた黒っぽい丈の長い衣装を着て、ついぞお芝居中にはかぶったフードを取る事はありませんでした。
台詞はなく、ハミングや歌う歌詞、奏でるギターの音が彼女の存在を示します。
お芝居中は舞台の端(お客さんから見える位置)にギターを抱えて座っていて、場面場面で歌ったり、ギターを弾いたりしていました。
でも、最初にロジャーと登場する時には、舞台の上を少し歩きまわります。
ロジャーが台詞を言うと、ブラックバードがそれに答えるようにハミングをしていました。
高い、子供の声のようでもあり大人の声のようでもある、天から授かった神秘的で心地よい声で。
ロジャーとブラックバードがまるで会話をしている様なその場面から、舞台はエドワード6世の戴冠式へと流れます。
高らかに音楽が鳴り響いて、エドワード王の登場です。一団の頭上の肖像画がエドワードの父、ヘンリー八世。奥さんを6回も取替え、自分の都合で次々に処刑した王。この人が死んだので、息子のエドワードが王様になったのですね。
エドワード6世を演じたのは浅利陽介さん。”エドワード6世”と検索して見つかる立ち姿の肖像画とイメージがぴったりですよね!
9歳で王になった彼はジェーンと同い年で仲が良く、一緒にダンスの練習をする場面もありました。
きらびやかな戴冠式をジェーン、母親のフランシーズ、乳母のエレンも見つめます。
ロジャーとブラックバードも見つめています。
思えばブラックバードの存在は、ロジャーとジェーンしか認めませんでした。
ロジャーとジェーンにはブラックバードが「鳥」に見えている様ですが、他の登場人物達は誰もブラックバードが見えていないようだし、声も聞こえないようでした。
アタシはブラックバードを、二人の内面的な存在なのではないかと思いました。
そしてそれは、二人が響き合う源の様な気がしていました。
つづく。