結婚式の後ぼんやりと虚空を見つめ、何かを諦めた様にジェーンが舞台奥へ消えて一幕は終了しました。
このお芝居の舞台セットはコの字型をしていて、コの字の開いた方が客席を向いていました。
それが前後して(客席から遠のいたり近づいたりして)、場面転換の一部を担うんです。
場面転換には他に、農民達が投石する時に上から降りて来る壁や、やはり上から降りて来る王家の紋章の入った大きなタペストリー・・・と言うか幕。結婚式の時には美しい十字架も降りて来ました。
舞台の仕掛けは観ていて凄く面白いですね。そして全てに説得力があって美しい。
二幕の最初はコの字型セットの上手側端にベッドが置かれ、上から柔らかそうな生地のカーテンが下りて来ました。
片側だけ。
それはベッドと反対側の下手側に落ち着きました。上品な深い紺色で、確か金色のタッセルが結ばれていたんじゃないかと思います。
新婚夫婦の寝室。
ブラックバードの奏でるメロディが、移ろいゆく時間の中をゆらゆらと漂います。
空想の中を泳ぐ様なメロディと共に舞台のあちらこちらからメアリーやエドワード他、登場人物達が出て来てはゆっくり歩きまわり、またどこかへと消えて行きました。
それは多分、各々が各々の人生を生きている象徴なのかなと思いました。ひとりひとり同じ時間の中で、ひとりひとり違う自分の人生を生きている。
ジェーンがベッドに横になります。扉からギルフォードが入って来て、ジェーンの横へと。
彼女の頬へ手を伸ばし、体ごと顔を寄せた瞬間、ジェーンが悲鳴をあげてギルフォードを突き飛ばしてしまいます。
「やっぱり無理です!!」と言って、ベッドから飛び降り離れるジェーン。
そりゃぁそうだよねぇ・・・・。
16歳だもの。そんな、よく知りもしない男とさぁ・・・可哀想だよ。
なんて、思っているとベッドの上には怒り心頭のギルフォードが・・・。
あ、こっちの人の方が可哀想か・・・などと。
ベッドから降りて”俺ら政略結婚したんだろー、立場的にはおんなじなんだよ、自分だけ頑張ってますみたいな態度取ってんじゃねぇーよ!”
みたいな事でギルフォードがキレて、”ごめんなさい・・・”とジェーンが言っても”謝るな!悪いなんて思ってもいないくせに!!”と、プンスコ。
「どぉーすんだよ!!!」とジェーンに詰め寄る。
「どぉーしちゃうのっ!?」と客席で思うアタシ。
ジェーンは「はぁっ。」と大きく息を吐くと一度ベッドの上に座り、ギルフォードの顔を睨むみたいに見てから横になります。
そしてひとこと。
「どうぞ。」
ここで客席から笑いが起きてましたね。
まるで棒切れみたいに横になってるジェーンのそばへ一度は行こうとしたギルフォードですが、「こっちだってお前様じゃ無理だっ!!」と部屋を出てゆこうとします。
女を買いに行って来るっ、と拗ねるギルフォードに「そんなっ・・・」とジェーンが言った瞬間、何者かが部屋に石を投げ込みました。
もうすぐそこまで農民達の武装集団は来ている。
どうしてそんな事になってしまうのか、自分達の親がどんな風に関わっているのか、また、農民達との戦いとはどんな物なのか。
若い夫婦は先ほどの喧嘩も忘れ、ベッドの上に座って話します。
二人の寝室の前では、兵士達と農民達の戦いが起きています。彼らはスローモーションでゆっくりと動き、白い寝巻きを着た二人はその戦場の中を迷子の様に歩きながら話します。それは二人の想像している戦場なのでしょうね。
ベッドの上に並んで座っている時も、戦場の中を歩いている時も、何だか二人が本当に幼く見えました。
ジェーンと結婚した時、ギルフォードも若くまだ10代であったとどこかで読んだ気がします。
若くして結婚した二人。待ち受ける運命を背負うには若すぎました。
農民達の反乱の事をロジャーが教えてくれた、と言うジェーンに「もう、その先生には会わない方がいいよ。」とギルフォードが言います。
待ち受ける物がどんな運命なのか正確には掴めていなくても、いい事があるわけもない、とギルフォードは思っているようでした。
それはあの父、ジョン・ダドリーが絶対に何かを目論んでいると分っていたからかもしれません。
ジョン・ダドリー役・田山涼成さん。
普段、テレビで拝見する様なイメージとは違う悪役の田山さんでした。ジョン・ダドリーはとても冷酷で怖い人物でしたが、戦う場面で西洋の鎧が凄く似合っていてかっこよかったです
殺陣もかっこ良かったです
開幕前にテレビ出演した際稽古場の事を聞かれて、「お芝居はチームでやる物。この舞台の役者達の雰囲気がとってもいいんです。」と言う様な事を仰ってた田山さん。
息子のギルフォードとの関係は大分屈折してしまっていますが、息子が嫌う程ジョンはギルフォードの愛し方を間違えてはいないと思えて、”田山さん演ずる”とはそう言う事なのかもなぁと勝手に思っていました。
つづく。
このお芝居の舞台セットはコの字型をしていて、コの字の開いた方が客席を向いていました。
それが前後して(客席から遠のいたり近づいたりして)、場面転換の一部を担うんです。
場面転換には他に、農民達が投石する時に上から降りて来る壁や、やはり上から降りて来る王家の紋章の入った大きなタペストリー・・・と言うか幕。結婚式の時には美しい十字架も降りて来ました。
舞台の仕掛けは観ていて凄く面白いですね。そして全てに説得力があって美しい。
二幕の最初はコの字型セットの上手側端にベッドが置かれ、上から柔らかそうな生地のカーテンが下りて来ました。
片側だけ。
それはベッドと反対側の下手側に落ち着きました。上品な深い紺色で、確か金色のタッセルが結ばれていたんじゃないかと思います。
新婚夫婦の寝室。
ブラックバードの奏でるメロディが、移ろいゆく時間の中をゆらゆらと漂います。
空想の中を泳ぐ様なメロディと共に舞台のあちらこちらからメアリーやエドワード他、登場人物達が出て来てはゆっくり歩きまわり、またどこかへと消えて行きました。
それは多分、各々が各々の人生を生きている象徴なのかなと思いました。ひとりひとり同じ時間の中で、ひとりひとり違う自分の人生を生きている。
ジェーンがベッドに横になります。扉からギルフォードが入って来て、ジェーンの横へと。
彼女の頬へ手を伸ばし、体ごと顔を寄せた瞬間、ジェーンが悲鳴をあげてギルフォードを突き飛ばしてしまいます。
「やっぱり無理です!!」と言って、ベッドから飛び降り離れるジェーン。
そりゃぁそうだよねぇ・・・・。
16歳だもの。そんな、よく知りもしない男とさぁ・・・可哀想だよ。
なんて、思っているとベッドの上には怒り心頭のギルフォードが・・・。
あ、こっちの人の方が可哀想か・・・などと。
ベッドから降りて”俺ら政略結婚したんだろー、立場的にはおんなじなんだよ、自分だけ頑張ってますみたいな態度取ってんじゃねぇーよ!”
みたいな事でギルフォードがキレて、”ごめんなさい・・・”とジェーンが言っても”謝るな!悪いなんて思ってもいないくせに!!”と、プンスコ。
「どぉーすんだよ!!!」とジェーンに詰め寄る。
「どぉーしちゃうのっ!?」と客席で思うアタシ。
ジェーンは「はぁっ。」と大きく息を吐くと一度ベッドの上に座り、ギルフォードの顔を睨むみたいに見てから横になります。
そしてひとこと。
「どうぞ。」
ここで客席から笑いが起きてましたね。
まるで棒切れみたいに横になってるジェーンのそばへ一度は行こうとしたギルフォードですが、「こっちだってお前様じゃ無理だっ!!」と部屋を出てゆこうとします。
女を買いに行って来るっ、と拗ねるギルフォードに「そんなっ・・・」とジェーンが言った瞬間、何者かが部屋に石を投げ込みました。
もうすぐそこまで農民達の武装集団は来ている。
どうしてそんな事になってしまうのか、自分達の親がどんな風に関わっているのか、また、農民達との戦いとはどんな物なのか。
若い夫婦は先ほどの喧嘩も忘れ、ベッドの上に座って話します。
二人の寝室の前では、兵士達と農民達の戦いが起きています。彼らはスローモーションでゆっくりと動き、白い寝巻きを着た二人はその戦場の中を迷子の様に歩きながら話します。それは二人の想像している戦場なのでしょうね。
ベッドの上に並んで座っている時も、戦場の中を歩いている時も、何だか二人が本当に幼く見えました。
ジェーンと結婚した時、ギルフォードも若くまだ10代であったとどこかで読んだ気がします。
若くして結婚した二人。待ち受ける運命を背負うには若すぎました。
農民達の反乱の事をロジャーが教えてくれた、と言うジェーンに「もう、その先生には会わない方がいいよ。」とギルフォードが言います。
待ち受ける物がどんな運命なのか正確には掴めていなくても、いい事があるわけもない、とギルフォードは思っているようでした。
それはあの父、ジョン・ダドリーが絶対に何かを目論んでいると分っていたからかもしれません。
ジョン・ダドリー役・田山涼成さん。
普段、テレビで拝見する様なイメージとは違う悪役の田山さんでした。ジョン・ダドリーはとても冷酷で怖い人物でしたが、戦う場面で西洋の鎧が凄く似合っていてかっこよかったです
殺陣もかっこ良かったです
開幕前にテレビ出演した際稽古場の事を聞かれて、「お芝居はチームでやる物。この舞台の役者達の雰囲気がとってもいいんです。」と言う様な事を仰ってた田山さん。
息子のギルフォードとの関係は大分屈折してしまっていますが、息子が嫌う程ジョンはギルフォードの愛し方を間違えてはいないと思えて、”田山さん演ずる”とはそう言う事なのかもなぁと勝手に思っていました。
つづく。