この前、僕の両親と親戚の叔父と叔母がお店に食事に来ました。
実は、僕が働いているお店に来るのは、初めてのこと。
僕ももう良い年になっているのに…
信じられない話かもしれませんが本当です。
そして、僕が作った料理を食べたのも2度目。
1度目は、かなり昔に実家にて、スーパーで買ってきた食材を簡単にフレンチにして…。
その時の事は、よく覚えていません。
僕は、複雑な家庭環境に生まれ育ちました。
今…思うと、その環境は…
僕の食育に大きな影響を与え、料理人という職業を選んだ僕にとって、利となったことは確かだと思います。
その生まれ育った複雑な環境について書くとかなり長くなるので、今回は省かさせていただきます。
僕は、好きなことばかりをやってきました。
別に苦手なものから逃げていたわけではありませんが…。
好きな職業を選び、可能な限り自由にやってきたかもしれません。
両親は、そんな僕を認めたことはありません。
認められなくても、そんなことは意にも介さず…
不器用に自分の思った生き方を貫いてきたつもりです。
僕の仕事にも別に関心を持ったこともなく…
お店のことや場所なども聞いたこともなかったのに…。
突然、自分から親戚の人達に声をかけて、僕のお店に訪れたのです。
これまでの親子の関係からみれば、これは大変な出来事でした。
その日…
タクシーで店前まで来たので、出迎えた僕を見ると…
いきなり…
「ほぉ~!コックさんの格好が、良く似合ってるな!!!」
…これが父の第一声…(笑)
『あ~ そういえば、この姿さえ見るのは初めてなのか…』
…と複雑な心境になりました。
コックコートは、僕の今までの人生の中で一番長く着用している服装です。
料理は、僕のおまかせコース。
作る料理、作る料理にビックリ驚いていました。
「いつこんな料理を覚えたんだ?」
…とか… ^^;
「なんでこんなのが作れるの?」
…とか… ^^;
「テレビで観たような料理ばかりじゃないか!!!」
…とか… ^^;
「親父が言ってたでしょ?『遊んでばっかりいないで…』って、親父がそう思っている時に覚えたんだよ…」
…と僕は、その時に答えていました。
「美味しい~!」
…この言葉も連発でした。
あんまり一同が「美味しい美味しい…」と連発するもので…
「あのぉ~…。ここは一応レストランなので美味しくなかったら、ヤバいんですけど…」
そう言うと…
一同は、爆笑していました。
フォアグラのソテーにトリュフを散りばめたものには…
「おぉ~!腕あげたなぁ~!」
…だって… ^^;
腕をあげたもなにも…
僕が作った料理は、初めて食べているのに…。
そう思いましたが、何も言いませんでした。
でてくる料理、でてくる料理がおそらく想像を遥かに超えたものだったのでしょう。
フレンチやイタリアンの高級店にわざわざ自分で足を運ぶことは恐らくなかったと思います。
誰かの結婚式に…
会社関係の人達との食事会に…
おそらくそういった機会にふれたくらいの経験だと思います。
店内にある僕が描いた絵、僕が選曲したBGMなどを褒めまくり…。
「おまえは、本当に好きなことばっかりをやってきた。そうか…この店には、おまえがやってきた好きなことが詰まっているのか。そうだったのか…おまえのやりたいことって、こういうことだったのか…」
「好きなことばっかりをやって、それを貫き通す人生もあるんだなぁ~。でもそれをやるのは大変だろ? 絶対に折れずに曲がらない夢がなければ出来ないな…」
父は、ポツンとそう言いました。
こんなことを僕に言ったのは、もちろん初めてのことでした。
1杯のグラスのビールも飲めないはずなのに…
ワインを数杯も飲んで、すべての皿の上の料理は綺麗に食べつくされていました。
食べている時に顔を下に向けて目頭を押さえて動かなかったのを見たとき。
『もっと早く食べに来ていれば、もっともっと色々なことが話せたのに…』
そう思いました。
店でのあの数時間、本当に嬉しそうに…
父のその笑顔は、輝いて見えました
今まで、あんな嬉しそうな父の顔をみたことがありません。
仕事一筋で頑固で曲がったことは大嫌い。
趣味は、500円の馬券を3点買いの競馬の予想。
趣味と割り切って、その予想に自信があったとしても決して500円以上は買わなかった人。
そんな父が4月30日の午前2時48分に逝きました。
享年76歳。
突然の出来事でした。
僕がお店を休める可能性のあるゴールデンウィークにあわせるかのように…。
お店に訪れたのは、ひと月ちょっと前。
本当に元気に見えました。
今思うと…
何で突然に自分から率先して僕のところへ来たのか…。
たぶん…
自分の人生の残りの時間がわかっていたのかもしれません。
父と僕との親子の間柄を知っている人たちは…
「良かったね~!最後に親孝行ができたじゃない…。本当に嬉しかったんだね!」
…と。
僕がなにをしても…
理解を示そうともしなかった父。
頑固なまでに自分の好きなことだけをやり続けてきた息子。
頑固な親と頑固な子供。
でも、親はいつも子を案じているものですよね。
それは、僕にもわかっています。
その後、お店に来たことが本当に嬉しかったらしく…
その時の食事の事を自慢げに話し…
「一緒に食べに行こう!」と皆を誘っていたそうです。
人は誰でもいつか逝きます。
魂は天にのぼり…
肉体は地にかえります。
僕は、大丈夫です。
悲しくないと言ったら嘘になりますが…
僕は、短時間の間に…
落ちる所まで落ちて…
悲しむだけ悲しんで…
次の日には、切りかえるようにしています。
美味しいものを作ること。
笑顔であふれるお店を作ること。
それが、父への供養だと思います。
*-*-*-*
GWの営業日程の変更などご迷惑をおかけいたしました。
そして、ご心配をおかけした皆さまへ…
とりあえずのご報告として書きました。
死因は、肺炎との診断。
危篤から死に至るまでの時間が11時間
納得が出来ない不可解な点が多く残っていることは確かです。
しかし…
納得が出来ても…
戻ってくるわけではありません。
病院での出来事。
お通や とお葬式での出来事。
火葬場での出来事。
今の時代、ありえないことが沢山ありますね。
正直、驚きました。
機を見て、皆さんの今後の参考になると思う。
そんなありえなかったことを書こうと思います。
長文にお付き合いくださり…
本当にありがとうございました。
今後とも宜しくお願いいたします。
実は、僕が働いているお店に来るのは、初めてのこと。
僕ももう良い年になっているのに…
信じられない話かもしれませんが本当です。
そして、僕が作った料理を食べたのも2度目。
1度目は、かなり昔に実家にて、スーパーで買ってきた食材を簡単にフレンチにして…。
その時の事は、よく覚えていません。
僕は、複雑な家庭環境に生まれ育ちました。
今…思うと、その環境は…
僕の食育に大きな影響を与え、料理人という職業を選んだ僕にとって、利となったことは確かだと思います。
その生まれ育った複雑な環境について書くとかなり長くなるので、今回は省かさせていただきます。
僕は、好きなことばかりをやってきました。
別に苦手なものから逃げていたわけではありませんが…。
好きな職業を選び、可能な限り自由にやってきたかもしれません。
両親は、そんな僕を認めたことはありません。
認められなくても、そんなことは意にも介さず…
不器用に自分の思った生き方を貫いてきたつもりです。
僕の仕事にも別に関心を持ったこともなく…
お店のことや場所なども聞いたこともなかったのに…。
突然、自分から親戚の人達に声をかけて、僕のお店に訪れたのです。
これまでの親子の関係からみれば、これは大変な出来事でした。
その日…
タクシーで店前まで来たので、出迎えた僕を見ると…
いきなり…
「ほぉ~!コックさんの格好が、良く似合ってるな!!!」
…これが父の第一声…(笑)
『あ~ そういえば、この姿さえ見るのは初めてなのか…』
…と複雑な心境になりました。
コックコートは、僕の今までの人生の中で一番長く着用している服装です。
料理は、僕のおまかせコース。
作る料理、作る料理にビックリ驚いていました。
「いつこんな料理を覚えたんだ?」
…とか… ^^;
「なんでこんなのが作れるの?」
…とか… ^^;
「テレビで観たような料理ばかりじゃないか!!!」
…とか… ^^;
「親父が言ってたでしょ?『遊んでばっかりいないで…』って、親父がそう思っている時に覚えたんだよ…」
…と僕は、その時に答えていました。
「美味しい~!」
…この言葉も連発でした。
あんまり一同が「美味しい美味しい…」と連発するもので…
「あのぉ~…。ここは一応レストランなので美味しくなかったら、ヤバいんですけど…」
そう言うと…
一同は、爆笑していました。
フォアグラのソテーにトリュフを散りばめたものには…
「おぉ~!腕あげたなぁ~!」
…だって… ^^;
腕をあげたもなにも…
僕が作った料理は、初めて食べているのに…。
そう思いましたが、何も言いませんでした。
でてくる料理、でてくる料理がおそらく想像を遥かに超えたものだったのでしょう。
フレンチやイタリアンの高級店にわざわざ自分で足を運ぶことは恐らくなかったと思います。
誰かの結婚式に…
会社関係の人達との食事会に…
おそらくそういった機会にふれたくらいの経験だと思います。
店内にある僕が描いた絵、僕が選曲したBGMなどを褒めまくり…。
「おまえは、本当に好きなことばっかりをやってきた。そうか…この店には、おまえがやってきた好きなことが詰まっているのか。そうだったのか…おまえのやりたいことって、こういうことだったのか…」
「好きなことばっかりをやって、それを貫き通す人生もあるんだなぁ~。でもそれをやるのは大変だろ? 絶対に折れずに曲がらない夢がなければ出来ないな…」
父は、ポツンとそう言いました。
こんなことを僕に言ったのは、もちろん初めてのことでした。
1杯のグラスのビールも飲めないはずなのに…
ワインを数杯も飲んで、すべての皿の上の料理は綺麗に食べつくされていました。
食べている時に顔を下に向けて目頭を押さえて動かなかったのを見たとき。
『もっと早く食べに来ていれば、もっともっと色々なことが話せたのに…』
そう思いました。
店でのあの数時間、本当に嬉しそうに…
父のその笑顔は、輝いて見えました
今まで、あんな嬉しそうな父の顔をみたことがありません。
仕事一筋で頑固で曲がったことは大嫌い。
趣味は、500円の馬券を3点買いの競馬の予想。
趣味と割り切って、その予想に自信があったとしても決して500円以上は買わなかった人。
そんな父が4月30日の午前2時48分に逝きました。
享年76歳。
突然の出来事でした。
僕がお店を休める可能性のあるゴールデンウィークにあわせるかのように…。
お店に訪れたのは、ひと月ちょっと前。
本当に元気に見えました。
今思うと…
何で突然に自分から率先して僕のところへ来たのか…。
たぶん…
自分の人生の残りの時間がわかっていたのかもしれません。
父と僕との親子の間柄を知っている人たちは…
「良かったね~!最後に親孝行ができたじゃない…。本当に嬉しかったんだね!」
…と。
僕がなにをしても…
理解を示そうともしなかった父。
頑固なまでに自分の好きなことだけをやり続けてきた息子。
頑固な親と頑固な子供。
でも、親はいつも子を案じているものですよね。
それは、僕にもわかっています。
その後、お店に来たことが本当に嬉しかったらしく…
その時の食事の事を自慢げに話し…
「一緒に食べに行こう!」と皆を誘っていたそうです。
人は誰でもいつか逝きます。
魂は天にのぼり…
肉体は地にかえります。
僕は、大丈夫です。
悲しくないと言ったら嘘になりますが…
僕は、短時間の間に…
落ちる所まで落ちて…
悲しむだけ悲しんで…
次の日には、切りかえるようにしています。
美味しいものを作ること。
笑顔であふれるお店を作ること。
それが、父への供養だと思います。
*-*-*-*
GWの営業日程の変更などご迷惑をおかけいたしました。
そして、ご心配をおかけした皆さまへ…
とりあえずのご報告として書きました。
死因は、肺炎との診断。
危篤から死に至るまでの時間が11時間
納得が出来ない不可解な点が多く残っていることは確かです。
しかし…
納得が出来ても…
戻ってくるわけではありません。
病院での出来事。
お通や とお葬式での出来事。
火葬場での出来事。
今の時代、ありえないことが沢山ありますね。
正直、驚きました。
機を見て、皆さんの今後の参考になると思う。
そんなありえなかったことを書こうと思います。
長文にお付き合いくださり…
本当にありがとうございました。
今後とも宜しくお願いいたします。