今日、久しぶりにバイトに来たスタッフ
彼女は、音楽大学に通い声楽を専攻している。
オペラ歌手を夢見て頑張っている明るい娘。
「今日、小澤征爾(おざわせいじ)さんの稽古を見てきたんです」
「へぇ~。凄いね!で…どうだった?」
「シェフは、小澤征爾さんって知ってますか?」
「世界の小澤でしょ?世界でトップの指揮者でしょ?」
「あっ!知ってるんだ…」
「知ってるよ。クラッシックのことはよくわからないけど…小澤征爾さんの名前くらいは知ってる」
「やっぱり、凄かったですよ…。凄く温かい器の大きい人ですね」
「そうだろうなぁ~。なにしろ世界の小澤だからなぁ~。でも良い大学に通ってるね。小澤征爾さんの練習風景を見られるなんて…」
「えっ?大学じゃないですよ。私一人で行ってきたんです」
「はぁ?大学じゃないの?えっ~?どうやって見られたの?」
「電車の中でお会いしたので、声をかけたんです…」
「電車?え~!?小澤征爾さんも電車に乗るんだ…。なんて声かけたの?」
「『失礼ですけど、小澤先生ですか?私は音楽大学で声楽を学んでいるものですが、先生の稽古を拝見したいと思っているのですが、宜しいでしょうか?』って声をかけたんです」
「いきなり会って稽古を拝見したいっていう君も凄いけど…。でも快くOKしてくれたでしょ?」
「そうなんですよ。『いいよ。遊びに来なさい。来る時はここに連絡して僕がどこにいるか聞いてから、来るんだよ。いつでもいいから…』っておっしゃって…。本当に温かく普通にそう言ってくれました」
「凄いな…。さすがは世界の小澤だな…。でも、電車の中で小澤征爾さんに気がついた人は他にいなかったでしょ?」
「そうなんですよ。誰も気づかなかったです。小澤征爾さんを知っている人って少ないんですね」
「そうだろうな…。クラッシックに興味をもっている人なんかだったら、わかるかもしれないけど…。名前を聞いただけでは、わからない人も多いかもね」
やっぱり凄い!…と彼女は、何度も言った。
「小澤征爾さんは、本当に凄く勉強しているし、稽古も穏やかで温かな感じで、何度も何度も同じところを繰り返し丁寧にやってました。世界のトップはやっぱり凄いですね。あんなに凄い人なのに少しも偉そうにする所もないし、本当に温かくむかえてくれて…」
「狭い世界で俺が一番!なんて言ってる井の中の蛙とはわけが違うだろうね。頑張れよな…。電車の中でそう簡単に会える人じゃないぞ!ましてや普通は、『小澤征爾さんですか?お会いできて光栄です』で終わるところを、稽古まで見られるチャンスを頂いたんだから、神様は、おまえを応援しているんじゃないか?小澤征爾さんに会いたい人なんて、どれだけいるかわからんぞ!」
「そうですよね。『また、いつでも遊びにおいで…』って温かく言ってくれました」
「本当にマジスゲエ!これがロック界だったら、ミックジャガーに会えるフリーパスを貰ったようなもんだぞ」
「えっ?なんですか?肉じゃが?」
「ミックジャガー!!!ニクジャガじゃねぇ!ミックジャガーだ。ローリングストーンズのボーカル」
爆笑!
それにしても…
やはり世界のトップを走る人は凄い!
彼女もその人間の器の大きさに感嘆していた。
僕は『世界の小澤征爾』も電車に乗るのかと…少し驚いた。
見も知らぬ電車の中で出会った娘を快く招待して、オーケストラの練習風景を見せる。
あのカラヤンを師匠とし、カラヤンが認めた小澤征爾。
正真正銘の本物は、その人となりに接した時、人に大きな夢を与え、温かく人を包み込んでいく…。
彼女は、音楽大学に通い声楽を専攻している。
オペラ歌手を夢見て頑張っている明るい娘。
「今日、小澤征爾(おざわせいじ)さんの稽古を見てきたんです」
「へぇ~。凄いね!で…どうだった?」
「シェフは、小澤征爾さんって知ってますか?」
「世界の小澤でしょ?世界でトップの指揮者でしょ?」
「あっ!知ってるんだ…」
「知ってるよ。クラッシックのことはよくわからないけど…小澤征爾さんの名前くらいは知ってる」
「やっぱり、凄かったですよ…。凄く温かい器の大きい人ですね」
「そうだろうなぁ~。なにしろ世界の小澤だからなぁ~。でも良い大学に通ってるね。小澤征爾さんの練習風景を見られるなんて…」
「えっ?大学じゃないですよ。私一人で行ってきたんです」
「はぁ?大学じゃないの?えっ~?どうやって見られたの?」
「電車の中でお会いしたので、声をかけたんです…」
「電車?え~!?小澤征爾さんも電車に乗るんだ…。なんて声かけたの?」
「『失礼ですけど、小澤先生ですか?私は音楽大学で声楽を学んでいるものですが、先生の稽古を拝見したいと思っているのですが、宜しいでしょうか?』って声をかけたんです」
「いきなり会って稽古を拝見したいっていう君も凄いけど…。でも快くOKしてくれたでしょ?」
「そうなんですよ。『いいよ。遊びに来なさい。来る時はここに連絡して僕がどこにいるか聞いてから、来るんだよ。いつでもいいから…』っておっしゃって…。本当に温かく普通にそう言ってくれました」
「凄いな…。さすがは世界の小澤だな…。でも、電車の中で小澤征爾さんに気がついた人は他にいなかったでしょ?」
「そうなんですよ。誰も気づかなかったです。小澤征爾さんを知っている人って少ないんですね」
「そうだろうな…。クラッシックに興味をもっている人なんかだったら、わかるかもしれないけど…。名前を聞いただけでは、わからない人も多いかもね」
やっぱり凄い!…と彼女は、何度も言った。
「小澤征爾さんは、本当に凄く勉強しているし、稽古も穏やかで温かな感じで、何度も何度も同じところを繰り返し丁寧にやってました。世界のトップはやっぱり凄いですね。あんなに凄い人なのに少しも偉そうにする所もないし、本当に温かくむかえてくれて…」
「狭い世界で俺が一番!なんて言ってる井の中の蛙とはわけが違うだろうね。頑張れよな…。電車の中でそう簡単に会える人じゃないぞ!ましてや普通は、『小澤征爾さんですか?お会いできて光栄です』で終わるところを、稽古まで見られるチャンスを頂いたんだから、神様は、おまえを応援しているんじゃないか?小澤征爾さんに会いたい人なんて、どれだけいるかわからんぞ!」
「そうですよね。『また、いつでも遊びにおいで…』って温かく言ってくれました」
「本当にマジスゲエ!これがロック界だったら、ミックジャガーに会えるフリーパスを貰ったようなもんだぞ」
「えっ?なんですか?肉じゃが?」
「ミックジャガー!!!ニクジャガじゃねぇ!ミックジャガーだ。ローリングストーンズのボーカル」
爆笑!
それにしても…
やはり世界のトップを走る人は凄い!
彼女もその人間の器の大きさに感嘆していた。
僕は『世界の小澤征爾』も電車に乗るのかと…少し驚いた。
見も知らぬ電車の中で出会った娘を快く招待して、オーケストラの練習風景を見せる。
あのカラヤンを師匠とし、カラヤンが認めた小澤征爾。
正真正銘の本物は、その人となりに接した時、人に大きな夢を与え、温かく人を包み込んでいく…。