ブロブロガー@くつログ

Proと呼ばれたい...そして日々悪戦苦闘する
Brofessional な職業人の安息の日誌

◇サルコジ仏大統領敗北とマルクスの予見

2012-05-09 | 政治

> 現職陣営の苦戦が伝えられていた仏大統領選でしたが,とうとうサルコジ氏
> が敗北してしまいましたね!
> 国際金融市場も動揺して,不安定化している様子です。


結局,以前この@くつログでも書いたとおり,世界経済が未だにリーマンショ
ック
の影響下から完全に脱しきれていない事の現れだと感じます。
メルケル独首相とのコンビで推進してきた「緊縮財政路線」では,経済成長は
不可能だし,長期のデフレ不況は国民経済を破綻の道へと導くのみ
です。


> メルコジ体制ギリシアをはじめ,EC諸国全体の財政危機と対峙しながら,
> 懸命に現体制を支えてきた事は事実ですが,肝心の足元から体制が崩壊した
> 結果になりましたね!


表面的には「国際金融危機の回避」を大義名分としながらも,結局はEC圏を
中心とした国際金融資本の既得権益の防衛に奔走していた訳で,国民経済を犠
牲にして,一般労働者を疲弊の極に追い込んでいただけの皮肉な結果でした。


> 今回の仏大統領選挙は,「21世紀版の階級闘争」だった訳ですかね?


マルクスの時代の様な「武装革命」の形態は現代的では無いにせよ,本質的に
は同じものだと感じますけどね。

> Broは「マルクス主義経済学」が大嫌いじゃなかったっけ?


弁証法的唯物史観と云う「方法論」が嫌いなのです。
頭から毛嫌いしている訳ではなく,一応学生時代に「資本論」は読破しようと
チャレンジしましたが,とても難解で,かつ「科学的」とは感じられなかった
ので途中で挫折してしまいました。
そもそも,「運命論的歴史観」などは宗教臭くて嫌いだ。

> 結局,Broの頭脳には難解すぎて,理解できなかった訳ですよね?


と云うより,もっと分かり易く説明するべきでしょう?
少なくとも,一般労働者階級のための本ならば!


> 結局「資本論」の難解さを利用して,一部の知識階級によって権力打破の道
> 具として利用されてしまった訳ですかね?

西洋史的な前後関係については詳細には知りませんが,マルクス以前にも社会
主義的な反体制勢力は存在していたのだと想いますよ。
少なくとも「マルクスの経済学」「マルクス主義者の経済学」は別物でしょ
うね。マルクス自身も積極的な活動家ではあったみたいですが。


> 今回のサルコジ氏の敗北がマルクス的な運命論の必然的な帰結では無いのだ
> とすれば,単なる偶然の結果と云う感想ですか?


いえ,「方法論が嫌いだ」と云う事と,マルクスの着眼や分析がまるで的外れで
無意味だと云う事とは次元の異なる話です。
実際,以前書いたように,資本主義のシステムの内部に「自己破壊」的な要素
や機構が内在している
と云う着眼は鋭いと感じるし,実際,ケインズ以前の資
本主義経済の動態や,現代の格差社会における市場原理主義的な社会システム
の問題点をよく捉えていると感じるのです。
マルクスの限界は,ニュートン物理学の様に必然性の支配する古典的機械論的
な「時計仕掛けの世界観」から脱却できなかった点だと思う。



> 我々の未来は偶然が支配しているので,予測は不可能との意味ですか?


例えば,自分の体内に「癌の存在」が確認された患者であっても,医学的な治
療技術でこれと闘って,克服できる可能性は存在するでしょう?
同様に,我々の社会システムの問題点も,改善や克服は可能なはずです。
「癌の存在=死」の様な,単純な必然的因果関係ではない訳です。

> でも,「死」が避ける事のできない「運命」である事は事実ですよね?

我々の社会システムも,その維持に必要な「資源」を失うならば「死期」を迎
える事でしょうね。病気の進行が進めば,死期は早まるはずです。

> 何か,やはりBroの嫌いな「マルクス主義経済学」「市場原理主義」も,
> 根底は同じ様な気がしてきました。
> Broの支持する「ケインズ主義者」は,患者と対峙する医師の様に,病気への
> 治療方針と処方箋を提示するシステム工学技術者の様な立場ですね?
> 一方で市場原理主義者達は,人間の自然治癒能力を信じる「医者嫌い」の人々
> である様な気がします。


確たる根拠も無いまま自然治癒能力を信じ続ける態度は,宗教の成せる技でし
ょう?たとえ経済社会が「自然発生的現象」であったとしても,それをシステ
ム論的にアプローチして,工学的(政策的)に対処する事は可能なのです。
医学の様にね。

> よく分かりませんが,この「世界的なデフレ病」の病を治療してくれる名医
> の登場に期待しています。そうすれば,国際市場も安定すると想う。

「自由主義の頭脳」と「市場経済と云う心臓部」を残してくれる名医なら,
私は文句は言いません。



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