ブロブロガー@くつログ

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Brofessional な職業人の安息の日誌

◇財政政策の効果を棄損するもの~米五輪ユニホーム騒動からの考察

2012-07-13 | 経済学

> もうすぐロンドン五輪開幕というのに、米議会ではここに来て五輪選手団の
> ユニホームについて騒動が起こっている様です!


▼米五輪ユニホームは中国製 「全部燃やせ」大統領選にらみ政治問題化
http://sankei.jp.msn.com/london2012/news/120713/otr12071315300002-n1.htm

米国製造業のプライドの問題もあるのでしょうけど、世界的なデフレ環境下で、
欧州に限らず、米国でも雇用問題は深刻ですからね。
騒ぐ気持ちは理解できます。

> でも、本家グローバリズムの米国の議会での騒動ですからね!
> 何か奇妙な感じがします…。


リーマンショック後の現在でも、未だ米国がグローバリズムに固執していると
考えるのは早計だと思いますよ。
米国では既に保護主義勢力が台頭して来ています。
だから日本のTPP参加についても、慎重な姿勢です。

> そう言えば、自動車などの特定分野では貿易摩擦が再燃している様ですね。
> TPPは既に「ブロック貿易体制」だとの意見も聞かれます。
> グローバリズムの理念は、どこに隠れちゃったのでしょうか…?


結局、グローバリズムの恩恵は、産業資本ではなく、金融資本において大きい
と云う事です。市場原理がより有効に機能しますからね。
産業資本の場合、生産設備はともかく、労働市場がグローバル化できない限り、
その効果は限定的です。結局、国際競争力に大きく影響してしまいますから。

> 労働市場が閉鎖的な日本の産業にとって、TPP参加は不利との結論ですか、
> でも、日本は資産国なので、全体的には有利ですよね…?

日本の資産は、そのほとんどが低金利の日本国債に化けていますからね…。
真に有効な活用がされているとは言い難い。
米国の様にフロンティア精神の旺盛な国情でも無いし…特に、戦後はね…。

> う~む…。
> 円高環境下でのTPP参加は、日本の金融資本には有利だと想うのですが?

現代の生産要素は、土地・労働・資本そして情報ですからね。
ネットの時代になって、情報と資本は完全にグローバル化しています。
しかし、土地と労働のグローバル化は困難です。

尖閣諸島を中国に売り払う訳には行きませんから。
結局、土地集約的、労働集約的な産業にとって、円高環境下でのTPP参加は
不利になります。


> なるほど…。
> ところで、日本の五輪選手団のユニホームは中国製ではないでしょうね?

JOC公式パートナーのミズノ、アシックス、デサントの3社から提供される
みたいですよ。


▼ロンドンオリンピック日本代表選手団のオフィシャルスポーツウエアを発表
http://www.joc.or.jp/news/detail.html?id=1568

> いやしかし、これら3社の生産工場は日本国内に在るのでしょうか?

3社とも国内に生産工場を持っていますが、中国や台湾などにも生産拠点が分
散していて、原材料なども含めると、やはりサプライ・チェーンをグローバル
化させています。
結局、IBMのパソコンが中国で組み立てられていて、その中身を覗くと、世
界中の多種多様なメーカーの部品から構成されているのと同じ事で、既に工業
製品は、その大多数が多国籍化
していますよね。

> 「国産」と云う言葉自体の意味が、既に変質してしまっている訳ですね!


そう、日本でも円高が顕著になった80年代以降は、生産拠点の海外展開が進
んで、「産業の空洞化」が懸念される状況になりました。
結局、国内製造業の売上が伸びていても、それが直接的に雇用を生み出すとは
限らない
のです。
付加価値の多くが海外の所得に移転されてしまう事態は生じているはずです。

> では、日本でグローバル化が進展した80年代後半のバブル期以降は、財政
> 出動しても、その国内産業への波及効果は、かなり海外に「水漏れ」してい
> た訳ですね!


その可能性は大きいですね。
90年代の日本の財政政策の効果が、期待どおりに顕在化しなかった理由は、
通常「巨額の不良債権」の存在で説明されているのですが、どうもこれだけで
は説明不足な気がしていました。
産業連関分析をグローバルな視点で行って、この点を再検証してみる必要があ
るかもしれません。


> 消費税増税を前にして、これから財政出動によるデフレ脱却の試みが始まろ
> うとしています。
> 我々の血税を、効果的に国内雇用の創出に繋げるためにも、是非この点の再
> 検証を実証的に行ってみて欲しいですね。
> 貧乏な財政を支出する訳ですから、確実に景気浮揚効果を招来させて、最終
> 的に「緊縮ではなく、税収増による財政再建」を達成する必要があるのです
> から!



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【AI時代の錬金学Ⅱ】

https://note.com/zen_kawakami/m/m612f486eeab8

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