たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

問題4 スズメバチ事件の顛末その4 駆除の基準

2016-10-21 | 生物とのおつきあい

問題4 スズメバチを駆除する方法など基準があるか

まず駆除については、問題1で述べましたように、法律で定めているのが森林病害虫等防除法くらいで、それ以外は駆除自体を規制の対象としていませんので、基準もないといってよいと思います。自治体によっては補助制度の中で基準を定めた要綱があるかもしれませんが、その規定が直ちに法的拘束力があるとはいえないでしょう。

では、まったく自由にやってよいかというと、生態系保護や生物保護の観点からの制約、たとえば合理的必要性がないの駆除はできないと考えるのが基本だと思います。方法についても駆除の目的に必要最小限度の方法といった抽象的な目安は考えられると思います。なによりも駆除の際、駆除の方法(たとえば有毒性の薬剤など)によって他の人の健康被害を発生させないようにしないといけないことはもちろん、駆除対象が人を殺傷するような事態を回避することも求められるでしょう。

スズメバチの駆除で言えば、まずは人への殺傷の危険が相当程度、差し迫っている場合である必要があると思います。巣があれば殺してもよい、と言うわけにはいかないでしょう。駆除する場合でも、すべてのスズメバチを殺す必要性は認められないと思います。巣を壊せば、十分で、飛んでいるハチを追いかけて殺すことは避けるべきではないかと思います。巣の壊し方もいろいろあると思いますが、ま、これはある程度は自由かなと思うのです。他方で、周囲の人に危険が及ばないように、駆除作業中は、それが分かるよう警告表示をするのが望ましいと思います。もちろん作業する人は、防護服で体全体をしっかり覆うことを確認し上で、殺傷されないよう注意が必要ですね。

駆除とは異なりますが、イルカやクジラ、マグロなどの捕獲については、世界的に議論になっていますね。捕獲すべきか否か、捕獲のあり方など、それぞれ考え出すと奥が深く、ディープ・エコロジーといった見方を持ち出すまでもなく、議論がつきないと思います。

そういった激論になりやすい問題は少し横に置いておきたいと思っています。

で、問題5の駆除行為によって他人に健康被害を受けた場合について、駆除の基準を含めて検討してみようと思いますので、次に具体の裁判例を取り上げます。