子の引渡しをめぐる執行制度改正の動き
http://mainichi.jp/articles/20161023/ddm/003/010/053000c
昨日の毎日新聞は、「離婚後ルール、検討 子の引き渡し明確化へ」との見出しで、現行民事執行制度が子の引渡を想定した制度がないため、法制審議会での改正審議の対象となっている旨報道しています。
報道だけでなく裁判例からも、外国人との間の監護権濫用や子どもの引渡をめぐる訴訟はかなり増大していることが分かります。ところが、仮に子どもの引渡命令の裁判を得ても、現在の状況は、執行官の運用に委ねられ、その執行を適切かつ迅速に実現する方法がないため、余り利用されていません。
そのため、子どもの利益を図りつつ、いかにその引渡を実現するか審議されています。まず、間接強制という、引渡をしないと一日当たり相当の金銭の制裁金を課す制度の導入が議論になっていて、それでも引渡に応じないと、直接執行を検討しているとのことです。
たしかに制裁金は一定のインセンティブにはなりますが、お金がある人は意に介さないかもしれません。お金がない人も、実は、制裁金を払う資産・収入がなければ実効性が担保されませんので、あまり効果がないかもしれませn。
それよりも子どもの心への影響などを考慮すれば、現在、任意に行われている児童心理の専門家を含め、新に教育や福祉などと連携してチームでのサポートを得ながら、執行官が行うなど抜本的に改められる必要があるように思うのです。
離婚をめぐる子どもの問題は、養育費の現行算定基準があまりに低い点、その支払を怠った場合の強制執行手段が実効的でないことなど、大きく改善する必要が以前から声があがっていますが、審議会での審議を期待したいものです。