170907 法律相談とは <NHK総合診療医 ドクターG「熱があってだるい」>を見ながらふと思う
いま当地では地鳴りがするような雷様の雷鳴です。こういうときは早く帰るのがよいと思いつつ、ブログが残っていました。そんなわけで、30分程度で書き上げて6時半には帰宅の途につきたいと思っていますが、どうでしょう。
昨夜<NHK総合診療医ドクターG「熱があってだるい」>を見ました。眠気を催しながら、なんと当地の市民病院医師が3人の研修医の一人となって難問に取り組むとあって、これはなんとか最後まで我慢してみようと、眠気を押さえながらやり遂げました?
このドクターGでは、患者の症状を診察していくシナリオで、3つのフェイズにわけ、それぞれの段階で研修医に診断名という回答を求め、それが実際の症状と病名とが符合しないかどうかを議論しながら、次々と展開していくのです。当地の女性研修医は、たしか副腎不全と回答したのですが、どうやら症状と符合しない点が指摘され、次のフェイズでは別の診断面を回答し、でも最後は副腎不全で続発性と診断し、正解をしっかり回答したのです。途中で寝ていれば、彼女の頑張りを見届けることができませんでした。そしてミネラルコルチコイドが不足していることが原因と言うことで、それを点滴投与したら舞台の早変わりみたいに、あっという間に患者は元気になりました。不思議なものですね、人間の体は。
で、ここで特徴的な話として、患者はこれまで整形外科医に変形性膝関節症と診断されて治療を継続していましたが、最近になって体全体の具合が悪くなったのです。で、専門医のこの診断を前提にあれこれ研修医は考えていたのです。専門医のベテランが判断したから正しいと。しかし、それは正しくなかったのです。整形外科の場合多くはわずかの時間で診察し検査結果を中心に判断する傾向があるかもしれません。TVのように日常的な患者の様子を知るよしもありません。これが家庭医なら別でしょうが。
私も医療事件を30年近く(最近はまったくですが)取り扱ってきて、そんなことは考えません。専門医であろうが、誰であろうが、その診断の合理性が証拠で確認できるかを常に追求するのは他の事件と同じです。そして、医療は素人ですので、プロの知見、それも複数の知見を得て、問題があるのか亡いのか判断します。それも試行錯誤です。
ともかくこのドクターGは、弁護士会を含め各種の団体が主催する法律相談というものについて、改善策を提示しているようにも思えるのは飛躍がありすぎでしょうか。
一般にこの種の法律相談は、時間が短ければ20分、多くて1時間でしょうか。私は障害者の法律相談を長くやっていましたが、基本1時間ですが他に相談者がいなければ2時間とかやっていました。それは別として、通常この限られた時間で一回限りです。
それでも現在弁護士会が勧めようとしている専門家による法律相談というのは、それなりに意味があるとは思います。だいたい相談者自体が、この相談の専門家をと希望される傾向が増えている印象です。たしかに広告規制が緩和して、なんとか専門家的な宣伝文句がネットでも踊っていますね。それは慣れれば、それなりにその分野の知識が増え、スピードも速くなるでしょうから、そういう人というか、弁護士事務所が専門性をうたうのも結構かもしれません。
とはいえ、その専門性を合理的に担保するものがあるかといった心配は、相談者はもちろんのこと、弁護士会においても当然、懸念されます。それで研修制度で各種の専門分野を学ぶ機会を用意し、その研修を受けた弁護士に専門性を付与するといった方式を始めつつあるように思います。
たしかに研修制度はそれなりに経験の積んだ弁護士が懇切丁寧に講義したりするので、専門知識を獲得する一つの手法でしょう。
しかし、ほんとうに専門性を獲得できるかとなると、やはり実戦経験を積まないと難しいことがほとんどでしょう。ただ、一つの事件でも一生懸命深く掘り下げるのであれば、弁護士なりたてでも、ベテランの専門弁護士と渡り合うことは可能だと思うのです。
四大公害訴訟の担い手はそういった若手弁護士が活躍したことはいまも語りぐさです。ベテラン弁護士は、それは法的に成り立たないとか、難しいとか弁解して、大抵、依頼を断っていたのではないかと思います。
と、ここまでが前置きで、法律相談そのものについて、あと10分でまとめたいと思います。
法律相談を一回限りが当たり前というのが普通の相談実務です。むろん一回で回答ができるような法律問題は、あまり紛争にもなりません。だいたい電話相談だけで十分かもしれません。昔、日弁連の旧会館時代、全国からの電話相談を受けていましたが、一人15分くらいで、一応ですが、回答処理していた記憶があります。どちらかというと、問題処理の振り分け役みたいだったかもしれません。
でも、相談者が真剣に相談するのは、何年もいろいろな人が関与したり、いろいろな手段を講じた結果どうにもならずやってくる人も少なくありません。また急に発生した問題でも、何が問題かもわからないものも少なくありません。これを一回限りの相談で対応することに無理がないでしょうか。とりわけ有料相談の場合はそういうケースが多いように思うのです。その場合、継続相談を念頭に置いて、調査して回答する方式を一つの重要なパターンにしてもよいのではと思っています。
私自身はそういう継続相談方式をとったことはさほどあるわけではないですが、はじめからそういう方式があるんだと理解していたら、相談者もゆっくりと落ち着いて、相談するのではないでしょうか。また、専門性といったことも、継続相談であればある程度調査時間をとれば補完できる場合が少なくないと思います。
急に思いついた愚策ですが、これで45分過ぎ、帰る時間となりました。本日はこれにて閉幕です。
補足
今朝、昨日のブログで書いた法律相談の話で、取り上げた理由というか、書こうと思ったことをうっかり失念したことを思い出しました。
時折このブログでも取り上げているAIとディープランニングを法律相談業務として、プログラミングすることを日弁連がプログラマーなりに依頼、あるいは業者と提携して開発してもらいたいと思ったのです。
基本的な問題の把握、確認すべき事実、裏付ける資料、そして適用可能な法令・通達(最近は通知でしょうか)など、さらに裁判例は、その中でフローチャートやチェックリストのように、次々とPC画面に出てくるようにして、迅速・的確に相談対応することがほとんどの分野で可能になるというのはどうかと思うのです。
新たに生起してくる様々な問題は、その都度、取り扱っている弁護士の中からチームを作り、そのプログラミングに協力してもらう、日弁連のサービス業務としてはどうかと思うのです。その利用は各弁護士会が行う法律相談では担当弁護士が無料で利用でき、弁護士ないし弁護士法人が利用する場合はリース利用としてはなんて考えてみたのです。日弁連も新たな収益となり、公共サービスにも資するのでは・・・医療分野では違った意味で相当進んでいるような印象ですが、どうでしょうかね。
すでにAIは多様な分野に取り込まれ、どんどん進化しています。法曹界で利用している判例データベースはそれなりの有用性があっても、限定的な機能しかないですね。AI機能を使う取り組みを期待したいと、つい思いついた次第です。おわり。