181017 浅知恵と艱難辛苦 <マングース 鹿児島・奄美移入40年、最盛1万から激減50匹>などを読みながら
沖縄・奄美地域は、豊かな自然と希少な動植物が多いのも魅力です。でもその動物が危機的な状況が長く続いていました。私が日弁連の生態系調査で沖縄・やんばる地域を訪れたのは2000年頃でしたか、森林伐採や野生生物の現状などが主な調査目的だった記憶です。沖縄には何度も調査に訪れているのですが、それぞれもう記憶が曖昧になっています。
で、昨夕の記事で奄美地域でのマングースの捕獲が話題になっているのを読んで、そういえば沖縄でも話題になっていたなと思い出したのです。
関連記事で9月20日付けでは<マングース追い詰めた 沖縄・ヤンバルクイナの保護へ駆除進み、捕獲年100頭切る>と、沖縄を扱っていました。まずそこから入ってみようかと思います。
マングースは沖縄・奄美地域には生息していませんでした。なぜ生息したかといえば人間が持ち込んだわけです。それは
<マングースは1910年、猛毒を持つハブの退治を目的にインドから輸入されて本島南部に放された。>たしかにハブはマムシなんかに比べると顔・形状からしてどう猛な感じです。私自身、これまで一度も生きているハブと遭遇したことがないので、実際はどうなのか分かりませんが。マムシは結構遭遇の機会があり、用心している限りさほど尾そるに足りませんけど・・・
ま、怖いハブの退治のためにマングースをわざわざインドから持ち込んだというのですが、一体どの程度裏付けがあったのでしょうかね。コブラには有効だったのでしょうか?ともかく人間の浅知恵でしょうね。
というのは<ハブは夜行性、マングースは昼行性と行動時間が異なるためほとんど役に立たず、むしろ別の在来種を食い荒らした。>このことをやんばる地域を調査したとき、結構聞かされました。
その結果、<当初17頭だったマングースは増殖して北上。やんばる地域は元々は肉食の哺乳類がおらず、ヤンバルクイナなど希少生物が独自の進化を遂げていたが、次々とマングースに襲われた。>
だいたい外来生物の輸入等を規制する外来生物法が成立したのが、生物多様性保護が宣言されたリオサミットの92年から10年以上経過した2004年ですからね。
自治体独自に駆除・捕獲を行っていたでしょうけど、本格的な措置を講じだしたのは法施行後ではないかと思います。
さて沖縄ですが、当時、ヤンバルクイナなどが絶滅の危機に瀕していることが大きく報じられていました。当時の環境庁もレンジャーの役割を果たすような人員が十分でなく、有効な対策を講じられないもどかしさを感じていました。
< このままではヤンバルクイナなどが絶滅してしまうと恐れ、県は00年度から、国は01年度からマングースの捕獲事業をスタート。エリアを分けて駆除している。>ということですが、私たちが調査したときは、あまり効果が上がっていなかったと記憶しています。
やはりお金と民間の力が必要でしょう。外来生物法をはじめその後保護策が充実していったと思います。
その結果<わなや北上を防ぐための柵、自動撮影カメラなどを設置し、08年には民間に委託して捕獲に当たる「マングースバスターズ」も結成。国と県で合わせて年間約2億円を出費しており、これまで計5638頭を捕獲し、国頭村(くにがみそん)与那から安田にかけたライン以北では完全に駆除できたとみられている。>
マングースが減れば、当然捕食されてきたヤンバルクイナはじめ地元の動物が増えることになるでしょう。
<NPO法人「どうぶつたちの病院 沖縄」の長嶺隆理事長によると、マングース捕獲に伴って、05年ごろには約700羽だったヤンバルクイナは約1500羽に増え、分布域も順調に回復してきている。>
でも成果が上がりここまでに至るには、大変な苦労・努力をし、長い間失敗を繰り返しながらも、あきらめず持続的に捕獲事業を継続してきたからでしょう。
<長嶺理事長は「無数のわなを仕掛けるなど血のにじむような努力の結果、効果が出てきている」と評価する。>
さて昨夕の毎日記事に戻ると<マングース鹿児島・奄美移入40年、最盛1万から激減50匹 「希少種守れ」駆除作戦、根絶目前>と、駆除作戦が実り50匹まで激減したとされています。こちらはアマミノクロウサギなどの保護が主たる目的となっています。
その捕獲方法に特徴があります。
<「探せ!」という捕獲の合図で、探索犬がマングースの臭いを追い始める。奄美大島の森の中。痕跡をほえて知らせ、木の穴や岩の隙間(すきま)などに追い込んで行く。捕獲者が追いつき、逃げ込んだマングースを煙幕で窒息死させ捕まえるという。>
マングースは結構賢くて、罠がかからないと以前は聞かされていましたので、探索犬とはなかなかのアイデアと思うのです。ま、うまくいったからでしょうか。
アメリカの湿地保全対策事業として、湿地バスターズ(Swampbuster)という制度がありますが、民間団体はネーミングも受ける印象です。今後も頑張って欲しいです。
簡潔に終わる話題をと思い、選択しましたが、それでも50分かかってしまいました。今日はこれでおしまい。また明日。