161119 まちづくり考(その2) コンビニは「コンビニ」エント!?
今朝の天気予報はいつどこで雨がどの程度降るのかといった疑問に答えられない、自然の妙を伝えていたように思えます。どちらにしても一週間休んだので、体は快調に近い。多少の雨は竹藪伐採に影響なしです。ところが、生暖かいためか、ブヨがまとわりつき、4時間近くの作業中、かまれ放し。スズメバチは襲わない限り普通は襲ってきませんが、ブヨは関係なくずっと私がいいえさと思ったのか、立ち去るまで攻撃してきました。そして昼間の汗をかいた後のビール一杯がいい気分にしてくれ、しばらく休憩。
さて昨夜のNHKクローズアップ現代だったと思います(途中から見ました)が、猛烈な勢いで増え続けるコンビニの、影の一面、ある経営者の惨状を取り上げていました。そういえば、昨年でしたか、アルバイト従業員の長時間残業を強いるということで、ブラック企業の一つとしてマスコミで報道していたかと思います。
NHK番組は、コンビニのフランチャイズ契約がフランチャイジーたる本部に一方的に有利となっていて、フランチャイズの店舗側経営者に不利となっている状況を主に取り上げていたかと思います。このような問題は、この種の契約がアメリカで生まれ、また、日本に導入されてきたとき以来、本質的な問題として議論されてきたかと思います。このような場合の基本的な基準となるのが独禁法ですが、公取委がフランチャイズ・システムに関する毒気本上の考え方(ガイドライン)では、以下の3点を含む平成14年に定め平成23年に改訂されるなどしています。詳細に規定していますので、これらのガイドラインに抵触する場合は勧告や排除命令の対象となり、実際、過去に実例があります。
公取委ガイドライン http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html
① ぎまん的顧客誘引 (本部の加盟店募集に当たっての十分な情報開示の必要性)
② 優越的地位の濫用(本部が加盟店に不当な不利益条件等)、
③ 抱き合わせ販売、拘束条件付取引、再販売価格維持
番組で取り上げた経営者の方の場合、もう少し実情を調べないとはっきりとはいえませんが、上記①ないし③のガイドラインの個別規定に抵触する疑いのある事例の可能性が高いと思われます。ただ、番組では、経営者を労働者として捉えるべきとして、団交権などを訴える店舗経営者グループを取り上げていました。この点、フランチャイズ契約自体が一定程度、ブランド力を維持するため、統一基準で詳細に作業手順を定めていることから、本部との関係では労働者的な地位に類似することは間違いないと思いますが、具体的な契約の実態を見ないと判断は分かれるかと思われます。
ところで、私自身は、コンビニについては、土地あるいは店舗の貸し主側、店舗経営者側、労働者側、あるいは万引き加害者側などの仕事をしたことがあります。本部の立場での仕事はありませんが。それぞれの立場で、いろいろ見方が変わってきますが、コンビニの一面を垣間見た体験を少し語ってみたいと思います。
コンビニの立地は、敷地を賃貸借する場合(これは本部直営が多いかもしれません)、建物の賃貸借する場合のいずれかがほとんどで、前者が多いように思います。そして賃料はというと、通常の相場よりは高いことが多いのではと思います。ただ、通常契約期間が最短にして、更新時は下がる場合が結構多いのではないかと思います。いわゆるドミナント効果で、競合店も増えるだけでなく、同じチェーン店を身近に立地させ、上記番組でも経営者が批判していましたが、チェーン店同士で競争するため、多くは収益が下がっていく、他方で地価上昇という20年以上経験のない異例な事態が起こらない限り、値下げ交渉になると思われます。ただ、私が関与したケースの中に、タバコ小売り販売業許可をもっていたことから、元々家賃も高めで、その後も安定的な家賃交渉ができたケースもありました。
ところで、上記番組では経営者の苦難が取り上げられていましたが、働く人も、サービス残業はもちろんで、100時間を優に超える長時間残業が日常化して、過労死寸前で働かされるケースもあり、それは24時間営業で、しかも立地拡大を極端に推し進めた結果、労働者にしわ寄せが行っているのではないかと思います。
とはいえ、労働者側にも、いろいろあり、本来、勤務時間を終えると帰宅してよいのに、自宅まで遠いからとか理由を付けて、店舗内で宿泊して、残業扱いにするといった人もいます。また、番組では売上がわずかな金額となっていましたが、最近のコンビニは、公共料金の収納代行やATM取扱などで、一日の現金が100万円ないし数百万円を優に超える状況のところも少なくないと思います。その現金取扱の問題も結構デリケートです。金融機関の職員のように現金取扱の厳格な指導を受けていれば別ですが、なかなかそこまで管理する経営者はそういないのではと思います。するとトラブルが発生する事態になります。
話は変わって、コンビニの将来について少し語ってみたいと思います。コンビニは、「価格破壊」により流通市場を凌駕したスーパーマーケットに対して地域商店街の要望で生まれた大店法のため、立地できなくなった巨大スーパーを尻目に、飛躍的に拡大してきました。
その後緩和された大店立地法の規制も関係ないかのように、その立地拡大は止まることを知らないかのようです。それはコンビニ自体のさまざまな営業開拓、たとえば公共料金の収納代行や代引きなどの事業獲得、電子マネーの利用拡大など。またコンビニは、酒、タバコ、常に規制緩和をロビー活動で商品・サービス拡大を成し遂げ、それがますます消費者・地域の支持を受けて、都市圏はもちろん農地法や農振法など厳しい別の土地利用規制もうまくかわして拡大してきたのです。ある意味、都市計画とか交通計画、まちづくりの統合的な考え方を無視して、拡大してきたように思います。むろんそれは消費者が、地域が支持してきたからだと思います。
ではそれでよいのかです。あまりに商品・サービスの授受する場として、無機質化してきたのではないかと言う点です。たしかに店員にはマクドナルドのように、一定のサービスマニュアルがあり、言葉や対応は、一応悪くないと思います。が、人間味を感じる雰囲気は遠ざかる一方ではないかと懸念します。
すでにコンビニの立地は頭打ちとも言われています。とはいえまだまだ商品開拓やサービス提供の面で市場はあると思います。しかし、それではコンビニは将来の地域社会にとって有用なものになっていかないと懸念するのです。単なる商品・もの・サービスの便利さだけだと、ほんとに地域に住む人にとって必須の場所・空間にはならないように思うのです。
いま地域は、潤いを感じる場所を欠いていないでしょうか。私たち日本人は、イギリスならパブといった場所を、江戸時代には髪結いや風呂場などに求めていたように思います。戦後初期から70年代まで、喫茶店といったところもその一つだったのではないでしょうか。
夜遅くまで開いているから、地域の不良のたまり場になるとか、せっかく大勢の人が利用しているのに、単に一瞬をもの・サービスだけの提供を受ける場に陥ってしまうことは、なぜか巨大スーパーマーケットの盛衰のように、いずれコンビニも一時的な存在となってしまうのではないかと愚考しています。テーマに近づけないもどかしさを感じつつ、筆を置きます。
補足
何を言いたかったか、最初に思っていたことから脱線したのに今、気づきました。コンビニは便利だと言いますが、上記の経営者、労働者の使い捨て、そして賞味期限を理由とする商品の廃棄、24時間営業によるエネルギーの過剰消費、などなど、とても便利を裏付ける構造は、真の便利さとはほど遠いと感じるのは私だけではないと思うのです。もう少し掘り下げるのは別の機会にします。
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