その植物が出す化学物質が,他の生物に,何らかの作用をもたらす現象を,『アレロパシー』というらしい。
口に出して言うと,れろれろして,舌がもつれそう。
セイタカアワダチソウのアレロパシーは,cis-DMEという化学物質を出して,他の植物(特にイネ科)の成長を阻害するもの。
セイタカアワダチソウが北米からやってきた後,あたり一面がセイタカアワダチソウだらけになる風景が見られるようになったのは,このアレロパシーのため。
この作用で,一番影響を受けたと思われるのがススキで,一時は,セイタカアワダチソウに駆逐されてしまったのか,と,心配になるほど,見かけなくなっていた。
それが,近年,ススキの群落が,かなり復活してきて,結構,見かけるようになってきた。
ついに,耐性ができたか,と思ったが,そうは断言できないようだ。
cis-DMEは,一定の濃度を超えると,セイタカアワダチソウ自身の発芽を抑制する作用もあるようなので,自家中毒を起こしているらしい。
残念ながら,ススキの逆襲により,ススキが完全勝利した,とは言い切れないが,結果として,ススキの群落が復活してきた,というのは,嬉しいこと。
こういうことを知ると,セイタカアワダチソウとススキのせめぎ合いが,とても興味深く,見える景色が変わってくる。
これから先,どうなっていくのかも,とても興味深い。
普通に考えると,セイタカアワダチソウが蔓延る(はびこる)時期と,ススキだらけになる時期とが,一定サイクルでやってきそうだが,どうなんだろう。
ススキに,cis-DMEへの耐性ができてきているなら,話しはまた別。ススキの勝ちになる。
ちなみに,セイタカアワダチソウの原産地の北米では,ススキの方が,侵略的外来種に指定され,駆除の対象となっているらしい。
セイタカアワダチソウの方が,保護される側。
最後,話しは変わるが,これを書いていたら,八神純子さんの「せいたかあわだち草」を,無性に聴きたくなってきた。
ススキの方は,やっぱり,定番,吉田拓郎さんの「旅の宿」かなぁ。
(2024/10/20 セイタカアワダチソウ,ススキ)
「史前帰化種」って切り口,面白いですね。
今,ネットで調べたら,植物は,「帰化植物のうち,有史以前に稲や麦などの栽培植物とともに日本にもたらされた植物」ということ。
どこまで遡るかによりますが,人間だって,史前には一部地域にしか生息していなくって,もしかすると,在来種を駆逐しながら拡大してきたのかもしれません。
スズメも,元々,アフリカのサバンナに棲息していたのが,人間の麦・米の栽培とともに全世界に広がったと言われています。
少なくても,日本のスズメは,人間や田んぼに依存しているので,「あぁ,なるほど」と納得した記憶があります。
セイタカアワダチソウなど外来種を毛嫌いする方向にありますが,種の移り変わりの,大きな流れの中で,ほんの一瞬の出来事なのかもしれません。
新しい視点を教えていただき,ありがとうございました。
セイタカアワダチソウとススキの関係をそういった視点からみたことがありませんでした。なかなか面白い記事でした。
昨今の世界レベルでの迅速な流通の中で、物資に紛れていろんな生き物が世界中を旅してますよね。益々こういった現象に拍車がかかるでしょう。
一方で、昆虫ではモンシロチョウなんかは、童謡にもなっていますが、昔昔に外国からの侵入種と言われているようです。こういった生き物を「史前帰化種」というようですが、周りを見るとこの「史前帰化種」だらけかもしれません。侵入初期は敵対関係にあってもいつの間にか自然に折り合いを付けながら共存していく種も多いのかな、と思います。勿論、在来種(と言われている種)の生存を脅かす種には注意が必要ですが、人智の及ばないことも多いかと思います。薄学な推論で、的はずれかと思いますがご容赦ください。
ススキの復活が不思議だったので,調べてみたら,そういうことでした。
人間が調べて,理屈づけしているのですが,生き物は理屈なしで,いろんな不思議なことをやっているのが,ほんと不思議です。
まだ,まだ,不思議が溢れているのが,楽しいですよね。
そういえば以前よりはセイタカアワダチソウが少なくなったかなと思っていました。
勉強になりました。
いつも情報をいただき,ありがとうございます。
以下、それについて書いた記事です
葭原が大豚草原になったよう
http://tinnunculus.blog61.fc2.com/blog-entry-4501.html