いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~

2011年12月02日 | 韓国映画
このところ忙しくって心が殺伐としてきたので、
「キャー!」な感じを求めて「西洋骨董洋菓子店 ~アンティーク~」を観ました。

私は原作が好きなので、映像化したものはどうなのか?という心配は有り。
しかも異国でしょ~。
2001年に日本でもテレビドラマ化したんですよね。
橘圭一郎(椎名桔平)小野祐介(藤木直人)
神田エイジ(滝沢秀明)小早川千影(阿部寛)という配役。

どうしても橘役が桔平さんなのが納得いかなくて、当時は観ませんでした。
今思えば、いいとこの息子感たっぷりで悪くないのですが、
ちょっと骨太すぎるイメージだったのよね。
欲を言ったらきりは無いが、もう少し細いあごの方希望だったの。当時は。
でもDVDのジャケット写真がなかなかよかったので、
観とけばよかったなー、と後悔。

今回、韓国版を観ようと思ったのは、
橘役がチュ・ジフンでイメージがぴったりだったから~。
日本版ドラマとは反対で、その他配役はイマイチ納得できなかったけど、
とにかくジフニだったらほんっとにばっちりだわ!観ねば!という気分でした。
(※配役に関する感想には個人差があります)

というわけで以下ネタバレありの感想になりますので、
未視聴の方はお気をつけください。



1回目スルスルスルーっと観た感想は、
「ちょっとごちゃごちゃした感じだったな」
で、一度原作を読んでからもう一度観よう、と思い立ち、
マンガをひっぱり出して読んでみました。

2回目の後は、
「あらー、意外とすっきりまとまっていたんだわ」
もう初見とは間逆の感想になってしまった……。

しばらく読んでいなかったので原作の流れを忘れていたんですね。
映画が基本、橘のエピを中心に進んでいくのに対し、
原作は小野、エイジ、千影、それぞれの話を織り交ぜながら進みます。
そのため、原作を読んだ後に観ると
わりとすっきりした感じに仕上がったという印象。

初見でごちゃごちゃした感じに思えたのは、
画面が分割されて流れていく映像が多かったせいかも。
橘がケーキの必死に勉強をして、
店が軌道にのっていくシーンと、クリスマスのケーキ配達シーンの
ミュージカル風演出は、とってもよかったです。

ジニョク(橘)がソヌ(小野)のケーキを試食して、
「甘い」しか言わなかった後、トイレで吐く、という一連のシーンは
衝撃的でした。
それまで軽いテンポで進んできた物語に、
いきなりジニョクのトラウマというかダークな部分が顔を出して
「あっ!」って思ったのね。
とても印象深くて、好きなシーンです。

ジニョクの子ども時代回想シーンもよかった。
胸の引き出しを開けて、恐ろしさのあまりとっさに
引き出しに鍵を閉めて、飲み込んでしまうところ。
ミュージカルっぽい演出の2場面もそうなんですけど、
「チャーリーとチョコレート工場」みたいな
夢の世界みたいに甘くてカラフルでふわふわしてる中に
ちょっと毒というかダークさが漂ってる感じが好きだなぁ、と。

ソヌに関しては、正直「魔性~?」という感想でしたが、
原作でも橘は最初そういってゲラゲラ笑っちゃうんですよね。
「だってそのぼっとした顔が魔性!?
気の弱そーなメガネが魔性!?
サルっぽいアタマが魔性!?」
それを読んだ後は、あーこのキャスティングでいいんだーと納得。

ゲイクラブでのいきなりのダンスとかはいかにもな演出でしたが、
やはりマイノリティーとして生きることに対する引け目とか、
そうは言えども、ついつい愛欲に負けちゃうはっちゃけぶりとか、
「いつか刺されるぞ」とジニョクに言わしめてしまういい加減さが
入り混じったソヌの性格造詣は良い感じに表現できてたと思います。

雨中のエロティック(?)なポージングには噴出してしまいましたが、
そこは原作でも「ありえねー(笑)」って感じだったです。
てか監督さん、脚本家さん、すごい原作読みこんでる気がする。
ジャンとの空港での別離シーン、
「オーナーがいるから、もう戻ってくることはあり得ないね」みたいに
ジャンのセリフとして言わせていて、
原作よりかソヌの気持ちをはっきり形にして描写してるんだな、と思いました。

ギボムの生い立ちはわりとさらっと描かれていましたが、
「しらねー、俺孤児だし」なんて、うまく言わせたなと思いました。
ジニョクがからかい気味にきいた言葉に
「ボクシング」ってボソッと返事したのは、
これまたズキンときましたね。
ギボム(役者はユ・アイン君)の見せ場だー。
食べる姿があんまり美しくないのが、ちょっと残念。

スヨンに関しては、ピュアピュアしいのはいい感じなのですが……。
私のイメージでは、スッとしてるけど、どこか抜けてるのが良かったのに、
なーんか猫背でおどおどしてる感じが残念でした。
そのほうが見た目わかりやすいからかな。
彼の場合も、ジャンに痛めつけられて自虐的な発言をしたソヌに対し、
自分の母(夫の暴力の犠牲になっていた)のことをはっきり口にして泣きます。
このへん、原作の解釈をまたはっきり描いたな、と感じました。
(原作では千影の発言は「そんな悲しい事言わないで下さい……」にとどまる)

原作ファンとしては、橘の特訓好きな性格(完璧主義?)とか、
「なぜ尻に手をまわすんだ!」などの細かいセリフなど、
生かしてもらえて、楽しかったです。
ジニョクが、同じように傷を持つ彼女に何かを食べさせようとして、
そのままキスシーンになっちゃうところは、いやらしすぎて恥ずかしかったです。

そういえば、犯人を見張るために警察が隠しカメラで店内を監視するシーンで
不可思議なカットがありましたね。



ここでジニョクとソヌがガラス越しにキスしているようなのですが、
常連女子高生の鏡越しの妄想カットって感じ?
監視カメラの映像構成でパタパタ動いていくシーンなのですが、
見過ごせるはずもなく、何度か確認してしまいました。

さて、かつてジニョクを誘拐監禁した犯人についてなのですが……。
原作では、飲み屋をやってるとおぼしき年増女性の安アパートで
居候している犯人が、彼女の家を出て行ってしまいます。
とうに死んでしまった息子の亡霊と共に生きているという設定は原作どおり。
そして彼女の家を出て行ってしまった後から、
再び少年の誘拐致死事件が発生しだす、という展開になっています。

ここで読者としては、また彼が犯行を重ねだしたのではないか?と感じるわけですね。
橘が最後乗り込んでいく女の家の2階には、彼がいるのではないか?
というミスリードにつながります。
女は「2階にいるのはわたしの子どもなの」と言って、橘を止めようとします。
まさに2階にいるのは、昨今の誘拐殺人犯である彼女の息子がいるわけで、
決して嘘をついているわけではないのですが、
「あなたが聞いた、キャーという叫び声は私の子どものものなのだ」と
彼女が言い訳をしているようにも受け取れるセリフです。
この時点で読者も、橘も、2階にあの犯人がいるかも……という疑いは
持ち続けられるので、最後まで緊張感が持続します。

ところが映画では、ジニョクを誘拐した犯人は、自分の家に住んでるのね。
飲み屋のママとおぼしき人も一緒に住んでいて、
彼女の方が家を出て行く、という構図になっているため、
ジニョクが乗り込んでいくお家は、過去の誘拐犯の家ではないことが
はっきりわかっちゃってるわけよ。
そんなこともあって、ジニョクは部屋から出てきた犯人を
かつて自分を誘拐した犯人(黒い影)として叩きのめしちゃうのね。
はっと気付くとそれは若い男で、自分を誘拐した犯人ではないのだけれども。

ここはどうなんでしょうね。
監督としてはサスペンス色を出したいわけではないので……ということだったのかしら?
刑事さんのプロファイリングで
「犯人はそんなに年をとった人間ではない」と一度言わせているので、
???と(ジニョクも観客も)感じつつドラマは進むのですが。
ジニョクが監禁されていた場所と、犯人が今住んでいる場所が同じほうが
観客にわかりやすい(そもそも劇場公開用の映画で、リピート視聴前提ではない)から?
あんまり安っぽい映像を差し込みたくないから?
犯人を世話してる飲み屋のママっぽい人もすごく美人で
ドレスもステキだったし、案外そういう理由での設定変更かも。

どこもかしこもあまり韓国っぽくない映像でしたね。
(じゃあ、韓国っぽいってどんなの?と聞かれると困るんですが)
厨房もお洒落でリアルっぽくなくてよかった。
ジニョクの住んでいる家もモダンだわ~。
で、引き戸をあけて外に出ると、そこだけは韓国の町並みって感じだった。

ラストの、ジニョクがぴょいって足で表戸を閉めたところ、
すごく軽い感じでとてもよかったです。

あと、なんてことないシーンだけど、
お母さんとおばあさまがお店に来るところ。
ギボムとソヌが並んで立っていて、ジニョクがしゃべりながら
ふたりを触るでしょ。
その時、ぺれって感じでジニョクの手を払いのけるギボムの仕草が
なんだかツボでした。

映画のポスターはジフニの髪が短くて、
なんか違う~と不満でしたが、本編はいい感じに伸びててカッコよかった。
ひさびさに「キャー!」な感じを満喫。



こんなケーキ屋さん、近所にできないかなー。



ついつい再視聴してしまった時の感想記事はこちら→





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2 コメント

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Unknown (ハクにゃ)
2019-04-24 17:14:12
私も今更、2回目の韓国ドラマハマってます。
顔も去ることながら、私は俳優さんの声が好きで、チュ・ジフンの声は椎名桔平ですね。
ちなみにヒョンビンは織田裕二似の声です。
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知らなかった~ (ビスコ)
2020-05-31 22:04:32
吹き替えで観たことないからわかんなかったな~。
椎名桔平は日本版のドラマにも出てましたねー。
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