製パン王キム・タック 最終話

イルチュンは青山工場に電話をかけ、タックの所在を確認する。
事情を知らない秘書は、残されたタックの上着を見て
「代表ならこちらにいらっしゃいますよ」と誤った情報を伝える。
コソンか、タックか、問いかけは宙に浮き、
ハン室長はコソンを去る。
屋上に連れて来られたタック。
ハン室長は策を弄して会社へ戻り、因縁の対決を迫る。

陰謀の証拠、裏帳簿を密かに持ち出していたマジュンは、
会長室にかかってきた電話に応答する。
それは、タックの行方不明を知らせるものだった。

タックを道連れにしようと襲い掛かるハン室長。
ハン室長を見かけて戻ってきたジングは、
タックを助けるため屋上へ向かう。
なんとかタックを救い出したジング。
室長は、マジュンの通報で駆けつけた警察に連行された。

マジュンは、拘置所のハン室長に面会に行く。
涙を流しながら、別れの挨拶をするマジュン。
スンジェは、息子の言葉に泣き崩れた。

イルチュンに突き放されたインスクは、
酒に溺れるが、
ユギョンは攻撃の手を緩めず、彼女を追い詰める。
勝者のはずが、同じように酒に逃げるユギョンを見て、
マジュンは心を痛める。
自分に向かって恨みをぶつけるユギョンを抱きしめ、
「お前を本当に愛してる」と、やっと真心を伝えるマジュン。
母の呪縛から解き放たれ、幸せになる道を探す決意をした
マジュンは、ブレスレットを置くと振り返らずに家を後にした。

理事会では、タックの代表就任投票が行われる運びとなった。
満場一致で代表に推されるタックは、
新代表として姉ジャギョンを推薦する。
とまどう理事会の面々と、当のジャギョン。
タックの持ち株とあわせ、マジュンが賛同し、議決は過半数に。
突然のことに戸惑うジャギョンだが、
弟達に後押しされ、代表就任を決めた。

マジュンは、ユギョンと共に欧州を回る旅へ。
タックは会社を後にし、ミスンの待つパルボンベーカリーへ。
それぞれがそれぞれの道を歩いてゆく。
ベーカリーは営業を開始した。
タックの秘書だったジュニョンも見習いとして仲間入り。

パルボン先生の第３の課題を、一生かけて
追求していくキム・タック。
今日もこの世で最も幸せなパンを焼く。

（終）


めでたしめでたし！

しかしタック、よく生きてたねー。
まさか死んじゃうわけは無い、とわかってはいたが驚いた。
「コソンか！キムタックか！どちらかを選べ！」と
大見得を切ったハン室長の背水の陣がまるっきり不発なのにも驚いたが。
なんだったんですか、あの問いかけは！

地上波ではカットだけど、
屋上での対決シーンは、ふたり結構しゃべってるんだよねー。
そこでハン室長の生き方というか人生観が披露されるんだけど、
「人生、勝つか負けるかしかない」という古臭いというか
みもふたもないというか、
新世代とは相容れないハングリー精神なわけね。
「みんなが幸せに暮らしましたとさ、なんて幻想だ！」みたいな。
そういう人にとってあの２択は必須なんだろうけど、
あの華麗なるスルーは、
そんなの意味ないんだ！という作品のメッセージかもしれませんね。

ジングヒョンの活劇シーンもあって、
最後大活躍でしたね。
そういえばタックはジングが会長のために動いていたとは
よくわかっていなかったわけで、最後に手をつかむのをちょいと
ためらったのはそのせいですね。
大丈夫、ここで本当にタックのわだかまりは無くなったことでしょう。

前回帳簿がなくなってて驚いたけど、
結局マジュンが盗んでいたんですねー。
彼もユギョンと同じように、
生きるために父親を警察に突き出してしまうんですね。
面会のシーンは感動的でした。
最後までのアジョッシ呼び。
でも彼を許すと決めたマジュン。
形はどうあれ、室長の愛は本物だもんなぁ。
逮捕の際のマジュンの苦悩が、
この面会シーンを引き立たせているよね。

ケロッピも想いが伝わってよかったね。
タック、あんたは不器用どころか恋愛上級者ですよ。
彼女への気持ちは恋じゃないけどね、
ながーく続く愛情だね。

さて、心配されていたユギョンですが、
なんとか正気にもどった様子。
こちらも初見では、なんかあっさり氷解したー！？てな
感想でしたが、じっくり観るとまぁ納得か。
一度は「ふたりで穏やかに暮らす」と決めたユギョンが、
不実なマジュンの態度に傷つけられ、
再び復讐の炎を燃え上がらせていたわけですから、
マジュンの愛情が本物だと信じられれば
無理することもなかったのでありましょう。
結婚以降の奥様への攻撃は、
マジュンへの復讐という側面が強かったかと思います。



はい、ふたりはヨーロッパをまわるそうですよ。
あの新開発のパン、ユギョンのために作っていたのね！
第３の課題に対する、それもひとつの答えね。
会長のためかとも思ったけど、両親から解放されたマジュンだし
それはあり得ず。
タックのため？とも思ったけど、やっぱりふたりはライバルでもあるしね。
ユギョンのためかー。ああ、腑に落ちたわい。

ねー、地上波はカットですので、もったいないシーンですね。
その他の人々の近況もあげておきましょう。

ドクターユンはお医者さんに戻りました。
お手伝いさんとタックオンマの秘書は仲良く梨を食べ、
ユギョン父は青山工場で工場長と一緒に真摯に働いております。
ジングヒョンは妹をパルボンベーカリーに連れてきました。
ガプスアジョッシのはしゃぎっぷりが目に浮かびますね。
ジャギョン姉さんは代表としてバリバリと活躍中。
チェギョン姉さんも食品会社の面接を受けてました。自立するのね。
タックはもちろん、Wミスンの待つお家へ。

さて問題はこの人ですが……。



「何もいらないわ。私はコソンの女主人、ソ・インスクなの。わかる？」
と、ひとり孤独にだだっ広いお屋敷にたたずんでおりました。
奥様らしいわ～。
まるで「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラのようです。
全編通しての悪女っぷりは見事。
男を振り回すだけ振り回して捨てちゃうところも悪女の鏡です。

でもこの方、酔っ払って立てなくてタックにおぶわれたんですぜ。
地上波ではカットでしたが、助けようとするタックに
「けがらわしい！」とか言って
「けがらわしかろうが何だろうが今は僕の背中しか頼るものがないでしょう」
とタックに言われていました。
ベッドで「ひどい子」とつぶやいた真意はなんだったんだろうなー。
「夕飯食べていらっしゃいよ」という姉たちの申し出を断って
「今日は家でお母さんと食べます」ってタックが言ったから？
とうとう家族として受け入れようとしたのに
あっさり断って行っちゃったから？
自分を憎まず、許そうとするタックが気に入らないのかな。
いろんな解釈があるんでしょうねー。
ともあれ、なんかこのやりとりで奥様は
自分の立ち位置を自覚して立ち直ったように思うわ。

マジュンはヨーロッパで自分のやりたいことを探しながら、
ユギョンと一緒に心を癒していくんだね。
しかしその発想がやっぱブルジョア。
パン作りに戻ってくるかはわからないなー。
「僕はお前の弟じゃないんだ」って言ったマジュンに、
「何言ってんだ、俺たちは兄弟だ。会長がいる間は絶対にな」と
返答したタック。
血がつながっていないのは一応わかってる、ということか。
ほんの数ヶ月年長なだけなのに強烈に兄貴キャラ。
前も書いたけど、マジュンより背が低いのに
この兄貴キャラなのが自分的には萌です。


なんかびっくりしたのが、
営業停止処分騒動から５０日しかたっていないってこと。
本当にいろんなことがあったので、
もっと長かったように感じましたよ。
制作者の思惑通り、ハラハラドキドキの３０話でした！