
《あらすじ》
翌朝警護に現れたのは、ウンジェではなくて、ケビン・チャン代表だった。
ムヨルはキム室長に噛みついた。
「なんで相談もなしに交代なんか!」
「交代できない理由は?」
「理由なんか……」
そう、別に理由なんかないのだけれど……。
「ジョンヒとはどうなってるんだ?」
ドンスに聞かれたムヨルは、正直に答える。
「実は寸前までいったんだけど……。猫が怒ってさ」
「おいおい、そこで終わり?天下のパン・ムヨルが?何か問題でもあるのか」
ムヨルはジョンヒを今でも好きだし、会いたくなる。
でも、会って話すのは昔のことばかり。
昔の出来事や思い出、当時の気持ち。話題はそればかり。
笑っていても、ふと寂しくなる。
離れていてこいしく思っていた方がよかったのかも。
ムヨルにも、自分の気持ちがよくわからない。
ユニは同僚のドンアのことを逆に探ろうとしているようだ。
こっそりバッグを探り、身分証を見ている。
ドンアは、自分の過去を彼に話した。
高1の時、両親が交通事故で死んだ。
加害者が富豪だったので、賠償金が山ほど出た。
それでお金には困っていないの。
ドンアは、色仕掛けでユニに接近しようとキム室長に提案するが、彼は、
「ダメです!ドンアさんは、きれいじゃないから!」と口走ってしまう。
不本意な発言をどうにかしようとあせったキム室長は、
とうとうドンアに交際を申し込んだ。
ムヨルは、球団の決めた社会奉仕24時間をこなすため、河原のゴミ拾いに。
面倒くさいファンたちや新聞記者が取り囲む中、仕事に努めるが、
なぜかウンジェの声が幻聴のように聞こえる。
あいつだったらこんな時、こんな風に悪態をつくだろうな、と
考えているからだろうか?
ふと思いたって電話をしてみるが、ウンジェは電話に出ない。
ウンジェの方も、ムヨルの足ふきマットを洗ってみたり、
電話番号を消去しようとしてみたり……。
ウンジェは思い立って、ある花屋にやってきた。
そこは、ある女性が経営している小さな店だった。
白菊の花束を注文するウンジェ。
女性は弔問用に花を包みながら、ふと視線をあげる。
「ウンジェ?」
女性は、ウンジェの母だった。
昔、父さんや私を捨てて男と逃げたお母さん。
「どうしてここが?」
「捜そうと思えば簡単よ。ってことは、お母さんだって私たちを捜せたはずなのよ」
「そう?」
お母さんが、どうしているのか見てみたかった。
お父さんに新しい女ができたのよ。
捨てた相手でも、とられたら悔しい?
「何が言いたいの?」
ウンジェは少し黙って、言葉を継いだ。
「今まで、お母さんのこと理解できなかった。
死ぬまで理解できないと思った」
娘の様子に、何か言いたげな母。
「……やっと会えたけど、これが限界」
「何か、あったの?」
自分を気づかう母の言葉に、思わず背を向けてしまうウンジェ。
「理由はどうあれ、私を言い訳にしないで」
母の言葉は厳しいが、正しい。
菊の花束は、お母さんにあげる。
「私の中でお母さんはとっくに死んでたけど、
今ようやく悲しみが生まれた」
店を出て行くウンジェを心配そうにみやってた母は、
かつての夫に電話をすると、
「あの話はなかったことにします」
と電話を切った。
ウンジェは自分の携帯から、ムヨルの電話番号を削除した。
病欠明け、ウンジェは離婚訴訟中の妻の警護にあたることに。
チャン・ケビン代表に、ふとムヨルの様子を聞いてみる。
ちょっとやせたけど、ちゃんと食べてるのかな……。
一方ムヨルは、代表にウンジェのことを聞いてしまう。
なぜ休んでたの?
代表とはいつから知り合い?
昔はどんな子だった?
あいつを好きになった男子はいなかったのか?
ウンジェに話しかけるように、思わず代表に話しかけてしまったりして。
とうとうムヨルはウンジェに直接会いに行った。
と、そこで離婚訴訟中の夫がウンジェにつかみかかっている場面に遭遇。
もちろんウンジェはわざとそうさせていたのだが、
ムヨルは逆上して男の首根っこをつかまえて脅かした。
「殺すぞ!彼女に悪態なんかつきやがって!」
ウンジェはそんなムヨルを迷惑そうに見ている。
「おい!あんな悪態つかれてなんで黙ってるんだ!」
「あんただってタコ女とかいうじゃない」
「俺とは違う」
「何が違うの?」
「とにかく俺にだけいじめられろ!くそ、困ったタコ女だな!」
ムヨルはウンジェをつかまえて、ヘッドロック。
「仕事は終わりだろ、焼き肉食いに行くぞ」
ウンジェはため息をつきながら、仕方なくついていく。
上等の国産牛を食べさせてくれるムヨルだが、
ウンジェはさっぱり食欲がない。
病み上がりだろうとムヨルは心配してくれるのだが、
そんな気遣いは的外れ。
「俺のことなんてちっとも考えてなかったろ?」
「なぜ来たの?」
「会いたくて」
「そんな関係でもないでしょ」
「別れの挨拶もいらないってか?」
「SPと依頼人なんてそんなものよ」
「なんで急に冷たくなった?」
ウンジェは答えに困ってしまう。
「別に」
「たとえ仕事上の関係でも、戦友の情があるだろ?違うか?」
何を言われても、ウンジェはうつむき加減で元気がない。
「普通依頼人を捜しに山までこない。そうだろ?
気持ちは同じさ。正直に言え。
俺が好きだろ?俺も好きだ」
思わずウンジェは彼を見つめてしまう。
「本当に?」
「最初は抵抗があったけど、かわいいとこもあるし、
こんな妹がいたらいいな、と思ってる。
こないだから何を怒ってるんだ?
俺のことはヒョンだと……いやオッパだと思って何でも言ってみろ」
「あんたみたいなお兄ちゃんは嫌よ!」
「何だと?」
「お兄さんじゃ嫌なの」
「なんで俺じゃダメなんだ?」
「身勝手で、乱暴だし、すぐ人を殴るし、バカだし、
未練がましくていつまでもひきずってる!
人の気も知らずに何がお兄さんよ!」
ムヨルは怒って箸を置いてしまう。
「おい!さっきの話は取り消しだ!
お前みたいな妹なんか俺だって嫌だ!
もう食うな!」
その頃、ジョンヒは掃除のために外へ出していた猫がいなくなり、
必死で探し回っていた。
6年もかわいがっていたショート……。いったいどこへ?
「人の好意を無視するからタコ女だってんだ!」
ムヨルは店の外に出てもムシャクシャして怒っている。
「乱暴者に言われたくないわ。あいつが人の神経を逆なでするからよ」
代表はウンジェをたしなめる。
「あいつ?あいつって俺のことか?」
「忘れたかったのに。どうして来たりするのよ」
ムヨルをあいつ呼ばわりしたウンジェを代表も叱るが、
「もう依頼人でもないでしょ!」
とウンジェは叫んでしまう。
「もうお前との関係は終わりだ。他人だ他人!」
「元々他人でしょ」
「赤の他人だ!二度と会うのはよそう」
「ええ、死ぬまでね!」
そこに、ジョンヒから電話がかかってきた。
電話に出たムヨルの慌てる様子に、ただならぬ気配を感じたウンジェは、
代表と一緒に車に飛び乗った。
電話口から、ジョンヒの金切り声の悲鳴が聞こえる。
「しっかりしろ!カン・ジョンヒ!息を吸え、ゆっくり吐いて!」
彼女の愛猫ショートが、殺されて箱に入れられ、家の前に置かれていたのだ。
駆けつけたムヨルは、パニックになっているジョンヒを抱きしめ、
必死で落ち着かせようとする。
そんなムヨルをみているウンジェは、家に帰って落ち込むばかり。
「嫉妬してる。不憫な女性に焼きもちを焼いてる。
最低ね、ユ・ウンジェ」
猫を殺したのは、マンション内のセキュリティシステムよく知っている人物。
警察は警戒を強めるくらいのことしかできないだろう。
ムヨルは、倫理研修があってそばについていてやれない。
そこでムヨルがとった行動とは?
「コルトン、話がある。家の前に来てる。開けてくれ」
昨晩泣き疲れて眠ってしまったウンジェは電話で飛び起きた。
「ちょ、ちょっと待ってて!」
寝癖を直して服を着替えて腫れぼったい目を生肉で冷やして……。
身ぎれいにしてムヨルを家にあげてやる。
「あの、ジョンヒさん、どう?」
「よくない。デリケートな子だから、心配だ」
「二度と会わないんじゃなかったっけ?」
「それどころじゃない。お前がジョンヒの、警護をしてくれ」
意外な申し出に、ウンジェは目が点。
(つづく)
あらら……ムヨルはジョンヒと途中でやめちゃったんだ……。
ふーん。猫が怒るから?
いやいやそれは理由にならないでしょー。
どう考えてもウンジェのことが引っかかってますよね。
定番と言えば定番だが、それでイイ!
しかし正直前回までは、ムヨルがジョンヒを遠ざける理由もないし、
8年もたってるのにラブラブだし、
いったいどんな感じでウンジェに心が移っていくのか心配だったんですよね。
でも今回のムヨルの発言で目からうろこが。
「会っていても昔の話ばかり」
そう!それだ~!
単細胞のムヨルだから、大好きだった女性と再会して、
どうやら障害もなくなったようで万々歳!と単純に考えているかと思いきや、
意外にナイーブに自分の心を感じ取っていたようです。
そうか~、楽しいけど、そのちょっとした違和感が気になるのか~。
いいぞいいぞー。
ウンジェのことが、どうしてそんなに気になるのか、
これもちゃんと考えればいいんだけど、そこは兄と妹で落とし込んじゃう。
ここがムヨル脳の限界ですかね。
彼女のために、あんなに怒れる、ということがポイントなんですけどね。
「俺だけにいじめられろ」というのが、所有欲なんですけどね。
俺はお前にとっての特別であるべきだ、という願望の表れなんですけど……。
ムヨルはたいていいつもこんな王様的態度なので、
自分でもよくわかっていないんですねー、きっと。
もちろん恋愛経験の浅いウンジェにもわからない。
だってやっと、お母さんのことふっきれて、一歩階段を上ったばかりなんですから。
ウンジェはずっと、「お母さんに捨てられた子ども」だったんだと思うんです。
そのことを恨んで、お母さんを憎んで、
でもそう感じるのは、お母さんを大好きだから、ということからは目を背けて、
ずーっと生きてきた。
でも、今回、人を愛するどうしようもない気持ちを理解して、
やっとお母さんに会ってみようという気になれた。
もちろんお母さんを許せるわけじゃないけれど、
自分がお母さんを大好きで、いなくなって本当に悲しかったんだ、と認めることができた。
やっとこさですよ、大人への第一歩。
大人になるって、人を好きになることなのかもしれないですね……。

ちょっと大人な表情……かな?
でもまぁ、なんだかんだ言っても子どもっぽいウンジェなので、
嫉妬心にはなかなか打ち勝つことはできません。
大人なら隠せるそんな感情も、むき出し。
でもそれが、ジョンヒの姿を見て少し変化します。
自分の嫉妬心の醜さに、嫌気がさしたんですね。
ジョンヒはかわいそうだったし、
そもそも彼女の嫉妬なんて、する筋合いもないものじゃないですか。
ふたりはもともと恋人同士だったんだし、いまでもお互いを好きで……。
お前ひとりがお邪魔なだけだろって話ですよ。
SPという職業に就いた、ウンジェの本能もあるかもしれないですね。
弱い者、かわいそうなものを守ってあげたいという気持ちがあるのかも。
だからといって、ジョンヒの警護を引き受けるのかどうか。
ビミョーですが、大好きなムヨルのために引き受けるでしょう。
これまでの罪滅ぼし……なんてことは考えないと思う。
そこまでかわっちゃったらウンジェじゃなくなっちゃう。
多少恋をして、傷ついて、反省しても、
相変わらず性格はちょっとゆがんだウンジェでいて欲しいです。
ひねくれ者万歳。
ジンさんは相変わらず、チーム内では浮いた存在、というのが強調されてますね。
若手にフォームの修正を助言したら「へたくそのくせにうざい」と陰口をたたかれ、
かつての恩師には、「逸材だったのに早々と引退か……」とつぶやかれ、散々です。
アマで活躍した人が、プロではそうでもないというのはよく聞く話ですが、
こんなに人徳がある人がそんな扱いでいいわけ?

しかもこんなにかっこいいのよ!
しっかりフォローしろよ、後輩!
ウンジェを気に入ってるドリーマーズのサードに期待したいところです。
あの人、人は良さそうだもんね。
ユニは、どうもドンアを疑っている様子。
彼女の語った身の上話は本物?だよね。
作り話をしそうなタイプなので、私もちょっと疑ってしまいました。
エキセントリックな彼女だけど、悲しいこともいっぱいあったんだね。
以前、
「なぜみんな盲目的に明日を信じられるの?
必ず明日が来るとは限らないのに」
と言って、ウンジェになんともいえない目で見つめられていましたね。
「そんな目で見るなら友達やめるよ」
とドンアが言ってたっけ。
どういう意味なのかな、と思っていましたが、
彼女の身の上に同情したウンジェの哀れみの視線が嫌だったのかな……。
ドンアとキム室長が一緒にいるところを見られてしまい、家まで知られてしまいました。
大丈夫かな~。
ふたりはつきあうことになって、これからが楽しみですけどね。
ぼけっとした女性が事故にあったときいて、即座にドンアのことを
思い浮かべるキム室長が好きだ。
「携帯を買ってはどうですか」
「キム室長を心配させたい」
そう答えるドンアは、天然で恋愛の達人だ~。
ドンアの勢いに押されて、キム室長は、らしくない失策を犯したと思います。
そもそもなぜ、ドンアがユニに身の上話をする経緯にいたったのか?
そこをきちんと追求しとけば、ユニの興味が恋心だとは思えないはずなんですけどね。
「ドンアさんは美人じゃないから!」
と訳のわからないことを言い出したキム室長は、無理矢理お茶をごちそうになりに、
ドンアの部屋へ上がり込みます。
「お茶!……をいっぱいいただきたい」
「え?家にお茶はないですよ」
「コーヒーでもいいです」
「飲まないんです。眠れなくなるから」
「……」
「ゆず茶ならありますけど、平気ですか?」
「何でもいい」
食い気味にかぶせてくるキム室長。
賞味期限を3ヶ月も過ぎてるお茶だとわかって、即座にカップを置く仕草が好きだ!
ガチャッて。
お茶と名前がついていますが、ゆず茶ってゆずのジャムだよね。
あれを溶かして甘い溶液にして飲むんだよね。
ホットレモネードみたいな感じ。
「おなか変になりました?」
「お茶を飲みに来たのではありません」
「じゃ何?」
「ドンアさんを、口説きに」
笑っちゃうドンア。
「つきあってください。返事は?」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
これでおつきあいの約束は完了……。
すごいふたりだよ。
そして恋人同士で譲れない数々の約束。
ふしだらになって本に書いてあったすべてをキム室長と試す!と豪語していたドンアですが、
やってることはかわいいもんです。
あだ名で呼び合う……。
一体キム室長のあだ名はどんなものなのだろうか……。知りたい。

何かを予感し、冷や汗をかくキム室長。テレパシーは……存在する!
反面、遅々として進まないムヨルとウンジェ。
目の前で、お兄さんじゃ嫌なの!と叫ばれて、気づかない方も気づかない方ですが、
それがモロに告白だと意識しない方も意識しない方です。
小学生並みのふたりは、鈍い!鈍すぎる!
最終的にはハッピーエンドになるだろうとは思ってますけどね~。
ムヨルを狙う犯人は、とうとう小動物殺害まで犯してしまいました。
こわいよ~。猫かわいそう。
掃除の時に外に出しちゃうってのがあり得ませんが……。
まさか、絵をやめてしまったジョンヒに再び才能を取り戻そうと、
スヨンさんがそんなことを?
いやいや、手をくだしたのは、ムヨルを脅迫していた犯人なわけですから。
あれ?それとも、後輩のくせに夫より成功したムヨルを妬む気持ちで?
ずっと前からムヨルを狙っていた?
いやいや、それじゃまるきり二重人格じゃないですか。
いくらなんでも演技であんなにムヨルと仲良くできないでしょ。
じゃあやっぱりジンさん?いやいや、それならムヨルのためにあんなに
がんばれないはずだよね。
コ記者も犯人を知りたくて行動してるわけだし、彼でもない。
じゃあやっぱり犯人は、何かとジョンヒに冷たい家政婦さん?
ユニとの関係は?
もしかして本当はユニのお母さん?
いやいやいやいや~。
ロマンスとサスペンス、コメディとシリアス、
うまいあんばいで進んでいってるドラマだと思います。
はやくウンジェが元気になってくれるといいなー。
いいかげんムヨルへの思いは吹っ切ってしまえ!
そうすると逆にムヨルが気にしてくれるようになる……かもね。
翌朝警護に現れたのは、ウンジェではなくて、ケビン・チャン代表だった。
ムヨルはキム室長に噛みついた。
「なんで相談もなしに交代なんか!」
「交代できない理由は?」
「理由なんか……」
そう、別に理由なんかないのだけれど……。
「ジョンヒとはどうなってるんだ?」
ドンスに聞かれたムヨルは、正直に答える。
「実は寸前までいったんだけど……。猫が怒ってさ」
「おいおい、そこで終わり?天下のパン・ムヨルが?何か問題でもあるのか」
ムヨルはジョンヒを今でも好きだし、会いたくなる。
でも、会って話すのは昔のことばかり。
昔の出来事や思い出、当時の気持ち。話題はそればかり。
笑っていても、ふと寂しくなる。
離れていてこいしく思っていた方がよかったのかも。
ムヨルにも、自分の気持ちがよくわからない。
ユニは同僚のドンアのことを逆に探ろうとしているようだ。
こっそりバッグを探り、身分証を見ている。
ドンアは、自分の過去を彼に話した。
高1の時、両親が交通事故で死んだ。
加害者が富豪だったので、賠償金が山ほど出た。
それでお金には困っていないの。
ドンアは、色仕掛けでユニに接近しようとキム室長に提案するが、彼は、
「ダメです!ドンアさんは、きれいじゃないから!」と口走ってしまう。
不本意な発言をどうにかしようとあせったキム室長は、
とうとうドンアに交際を申し込んだ。
ムヨルは、球団の決めた社会奉仕24時間をこなすため、河原のゴミ拾いに。
面倒くさいファンたちや新聞記者が取り囲む中、仕事に努めるが、
なぜかウンジェの声が幻聴のように聞こえる。
あいつだったらこんな時、こんな風に悪態をつくだろうな、と
考えているからだろうか?
ふと思いたって電話をしてみるが、ウンジェは電話に出ない。
ウンジェの方も、ムヨルの足ふきマットを洗ってみたり、
電話番号を消去しようとしてみたり……。
ウンジェは思い立って、ある花屋にやってきた。
そこは、ある女性が経営している小さな店だった。
白菊の花束を注文するウンジェ。
女性は弔問用に花を包みながら、ふと視線をあげる。
「ウンジェ?」
女性は、ウンジェの母だった。
昔、父さんや私を捨てて男と逃げたお母さん。
「どうしてここが?」
「捜そうと思えば簡単よ。ってことは、お母さんだって私たちを捜せたはずなのよ」
「そう?」
お母さんが、どうしているのか見てみたかった。
お父さんに新しい女ができたのよ。
捨てた相手でも、とられたら悔しい?
「何が言いたいの?」
ウンジェは少し黙って、言葉を継いだ。
「今まで、お母さんのこと理解できなかった。
死ぬまで理解できないと思った」
娘の様子に、何か言いたげな母。
「……やっと会えたけど、これが限界」
「何か、あったの?」
自分を気づかう母の言葉に、思わず背を向けてしまうウンジェ。
「理由はどうあれ、私を言い訳にしないで」
母の言葉は厳しいが、正しい。
菊の花束は、お母さんにあげる。
「私の中でお母さんはとっくに死んでたけど、
今ようやく悲しみが生まれた」
店を出て行くウンジェを心配そうにみやってた母は、
かつての夫に電話をすると、
「あの話はなかったことにします」
と電話を切った。
ウンジェは自分の携帯から、ムヨルの電話番号を削除した。
病欠明け、ウンジェは離婚訴訟中の妻の警護にあたることに。
チャン・ケビン代表に、ふとムヨルの様子を聞いてみる。
ちょっとやせたけど、ちゃんと食べてるのかな……。
一方ムヨルは、代表にウンジェのことを聞いてしまう。
なぜ休んでたの?
代表とはいつから知り合い?
昔はどんな子だった?
あいつを好きになった男子はいなかったのか?
ウンジェに話しかけるように、思わず代表に話しかけてしまったりして。
とうとうムヨルはウンジェに直接会いに行った。
と、そこで離婚訴訟中の夫がウンジェにつかみかかっている場面に遭遇。
もちろんウンジェはわざとそうさせていたのだが、
ムヨルは逆上して男の首根っこをつかまえて脅かした。
「殺すぞ!彼女に悪態なんかつきやがって!」
ウンジェはそんなムヨルを迷惑そうに見ている。
「おい!あんな悪態つかれてなんで黙ってるんだ!」
「あんただってタコ女とかいうじゃない」
「俺とは違う」
「何が違うの?」
「とにかく俺にだけいじめられろ!くそ、困ったタコ女だな!」
ムヨルはウンジェをつかまえて、ヘッドロック。
「仕事は終わりだろ、焼き肉食いに行くぞ」
ウンジェはため息をつきながら、仕方なくついていく。
上等の国産牛を食べさせてくれるムヨルだが、
ウンジェはさっぱり食欲がない。
病み上がりだろうとムヨルは心配してくれるのだが、
そんな気遣いは的外れ。
「俺のことなんてちっとも考えてなかったろ?」
「なぜ来たの?」
「会いたくて」
「そんな関係でもないでしょ」
「別れの挨拶もいらないってか?」
「SPと依頼人なんてそんなものよ」
「なんで急に冷たくなった?」
ウンジェは答えに困ってしまう。
「別に」
「たとえ仕事上の関係でも、戦友の情があるだろ?違うか?」
何を言われても、ウンジェはうつむき加減で元気がない。
「普通依頼人を捜しに山までこない。そうだろ?
気持ちは同じさ。正直に言え。
俺が好きだろ?俺も好きだ」
思わずウンジェは彼を見つめてしまう。
「本当に?」
「最初は抵抗があったけど、かわいいとこもあるし、
こんな妹がいたらいいな、と思ってる。
こないだから何を怒ってるんだ?
俺のことはヒョンだと……いやオッパだと思って何でも言ってみろ」
「あんたみたいなお兄ちゃんは嫌よ!」
「何だと?」
「お兄さんじゃ嫌なの」
「なんで俺じゃダメなんだ?」
「身勝手で、乱暴だし、すぐ人を殴るし、バカだし、
未練がましくていつまでもひきずってる!
人の気も知らずに何がお兄さんよ!」
ムヨルは怒って箸を置いてしまう。
「おい!さっきの話は取り消しだ!
お前みたいな妹なんか俺だって嫌だ!
もう食うな!」
その頃、ジョンヒは掃除のために外へ出していた猫がいなくなり、
必死で探し回っていた。
6年もかわいがっていたショート……。いったいどこへ?
「人の好意を無視するからタコ女だってんだ!」
ムヨルは店の外に出てもムシャクシャして怒っている。
「乱暴者に言われたくないわ。あいつが人の神経を逆なでするからよ」
代表はウンジェをたしなめる。
「あいつ?あいつって俺のことか?」
「忘れたかったのに。どうして来たりするのよ」
ムヨルをあいつ呼ばわりしたウンジェを代表も叱るが、
「もう依頼人でもないでしょ!」
とウンジェは叫んでしまう。
「もうお前との関係は終わりだ。他人だ他人!」
「元々他人でしょ」
「赤の他人だ!二度と会うのはよそう」
「ええ、死ぬまでね!」
そこに、ジョンヒから電話がかかってきた。
電話に出たムヨルの慌てる様子に、ただならぬ気配を感じたウンジェは、
代表と一緒に車に飛び乗った。
電話口から、ジョンヒの金切り声の悲鳴が聞こえる。
「しっかりしろ!カン・ジョンヒ!息を吸え、ゆっくり吐いて!」
彼女の愛猫ショートが、殺されて箱に入れられ、家の前に置かれていたのだ。
駆けつけたムヨルは、パニックになっているジョンヒを抱きしめ、
必死で落ち着かせようとする。
そんなムヨルをみているウンジェは、家に帰って落ち込むばかり。
「嫉妬してる。不憫な女性に焼きもちを焼いてる。
最低ね、ユ・ウンジェ」
猫を殺したのは、マンション内のセキュリティシステムよく知っている人物。
警察は警戒を強めるくらいのことしかできないだろう。
ムヨルは、倫理研修があってそばについていてやれない。
そこでムヨルがとった行動とは?
「コルトン、話がある。家の前に来てる。開けてくれ」
昨晩泣き疲れて眠ってしまったウンジェは電話で飛び起きた。
「ちょ、ちょっと待ってて!」
寝癖を直して服を着替えて腫れぼったい目を生肉で冷やして……。
身ぎれいにしてムヨルを家にあげてやる。
「あの、ジョンヒさん、どう?」
「よくない。デリケートな子だから、心配だ」
「二度と会わないんじゃなかったっけ?」
「それどころじゃない。お前がジョンヒの、警護をしてくれ」
意外な申し出に、ウンジェは目が点。
(つづく)
あらら……ムヨルはジョンヒと途中でやめちゃったんだ……。
ふーん。猫が怒るから?
いやいやそれは理由にならないでしょー。
どう考えてもウンジェのことが引っかかってますよね。
定番と言えば定番だが、それでイイ!
しかし正直前回までは、ムヨルがジョンヒを遠ざける理由もないし、
8年もたってるのにラブラブだし、
いったいどんな感じでウンジェに心が移っていくのか心配だったんですよね。
でも今回のムヨルの発言で目からうろこが。
「会っていても昔の話ばかり」
そう!それだ~!
単細胞のムヨルだから、大好きだった女性と再会して、
どうやら障害もなくなったようで万々歳!と単純に考えているかと思いきや、
意外にナイーブに自分の心を感じ取っていたようです。
そうか~、楽しいけど、そのちょっとした違和感が気になるのか~。
いいぞいいぞー。
ウンジェのことが、どうしてそんなに気になるのか、
これもちゃんと考えればいいんだけど、そこは兄と妹で落とし込んじゃう。
ここがムヨル脳の限界ですかね。
彼女のために、あんなに怒れる、ということがポイントなんですけどね。
「俺だけにいじめられろ」というのが、所有欲なんですけどね。
俺はお前にとっての特別であるべきだ、という願望の表れなんですけど……。
ムヨルはたいていいつもこんな王様的態度なので、
自分でもよくわかっていないんですねー、きっと。
もちろん恋愛経験の浅いウンジェにもわからない。
だってやっと、お母さんのことふっきれて、一歩階段を上ったばかりなんですから。
ウンジェはずっと、「お母さんに捨てられた子ども」だったんだと思うんです。
そのことを恨んで、お母さんを憎んで、
でもそう感じるのは、お母さんを大好きだから、ということからは目を背けて、
ずーっと生きてきた。
でも、今回、人を愛するどうしようもない気持ちを理解して、
やっとお母さんに会ってみようという気になれた。
もちろんお母さんを許せるわけじゃないけれど、
自分がお母さんを大好きで、いなくなって本当に悲しかったんだ、と認めることができた。
やっとこさですよ、大人への第一歩。
大人になるって、人を好きになることなのかもしれないですね……。

ちょっと大人な表情……かな?
でもまぁ、なんだかんだ言っても子どもっぽいウンジェなので、
嫉妬心にはなかなか打ち勝つことはできません。
大人なら隠せるそんな感情も、むき出し。
でもそれが、ジョンヒの姿を見て少し変化します。
自分の嫉妬心の醜さに、嫌気がさしたんですね。
ジョンヒはかわいそうだったし、
そもそも彼女の嫉妬なんて、する筋合いもないものじゃないですか。
ふたりはもともと恋人同士だったんだし、いまでもお互いを好きで……。
お前ひとりがお邪魔なだけだろって話ですよ。
SPという職業に就いた、ウンジェの本能もあるかもしれないですね。
弱い者、かわいそうなものを守ってあげたいという気持ちがあるのかも。
だからといって、ジョンヒの警護を引き受けるのかどうか。
ビミョーですが、大好きなムヨルのために引き受けるでしょう。
これまでの罪滅ぼし……なんてことは考えないと思う。
そこまでかわっちゃったらウンジェじゃなくなっちゃう。
多少恋をして、傷ついて、反省しても、
相変わらず性格はちょっとゆがんだウンジェでいて欲しいです。
ひねくれ者万歳。
ジンさんは相変わらず、チーム内では浮いた存在、というのが強調されてますね。
若手にフォームの修正を助言したら「へたくそのくせにうざい」と陰口をたたかれ、
かつての恩師には、「逸材だったのに早々と引退か……」とつぶやかれ、散々です。
アマで活躍した人が、プロではそうでもないというのはよく聞く話ですが、
こんなに人徳がある人がそんな扱いでいいわけ?

しかもこんなにかっこいいのよ!
しっかりフォローしろよ、後輩!
ウンジェを気に入ってるドリーマーズのサードに期待したいところです。
あの人、人は良さそうだもんね。
ユニは、どうもドンアを疑っている様子。
彼女の語った身の上話は本物?だよね。
作り話をしそうなタイプなので、私もちょっと疑ってしまいました。
エキセントリックな彼女だけど、悲しいこともいっぱいあったんだね。
以前、
「なぜみんな盲目的に明日を信じられるの?
必ず明日が来るとは限らないのに」
と言って、ウンジェになんともいえない目で見つめられていましたね。
「そんな目で見るなら友達やめるよ」
とドンアが言ってたっけ。
どういう意味なのかな、と思っていましたが、
彼女の身の上に同情したウンジェの哀れみの視線が嫌だったのかな……。
ドンアとキム室長が一緒にいるところを見られてしまい、家まで知られてしまいました。
大丈夫かな~。
ふたりはつきあうことになって、これからが楽しみですけどね。
ぼけっとした女性が事故にあったときいて、即座にドンアのことを
思い浮かべるキム室長が好きだ。
「携帯を買ってはどうですか」
「キム室長を心配させたい」
そう答えるドンアは、天然で恋愛の達人だ~。
ドンアの勢いに押されて、キム室長は、らしくない失策を犯したと思います。
そもそもなぜ、ドンアがユニに身の上話をする経緯にいたったのか?
そこをきちんと追求しとけば、ユニの興味が恋心だとは思えないはずなんですけどね。
「ドンアさんは美人じゃないから!」
と訳のわからないことを言い出したキム室長は、無理矢理お茶をごちそうになりに、
ドンアの部屋へ上がり込みます。
「お茶!……をいっぱいいただきたい」
「え?家にお茶はないですよ」
「コーヒーでもいいです」
「飲まないんです。眠れなくなるから」
「……」
「ゆず茶ならありますけど、平気ですか?」
「何でもいい」
食い気味にかぶせてくるキム室長。
賞味期限を3ヶ月も過ぎてるお茶だとわかって、即座にカップを置く仕草が好きだ!
ガチャッて。
お茶と名前がついていますが、ゆず茶ってゆずのジャムだよね。
あれを溶かして甘い溶液にして飲むんだよね。
ホットレモネードみたいな感じ。
「おなか変になりました?」
「お茶を飲みに来たのではありません」
「じゃ何?」
「ドンアさんを、口説きに」
笑っちゃうドンア。
「つきあってください。返事は?」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
これでおつきあいの約束は完了……。
すごいふたりだよ。
そして恋人同士で譲れない数々の約束。
ふしだらになって本に書いてあったすべてをキム室長と試す!と豪語していたドンアですが、
やってることはかわいいもんです。
あだ名で呼び合う……。
一体キム室長のあだ名はどんなものなのだろうか……。知りたい。

何かを予感し、冷や汗をかくキム室長。テレパシーは……存在する!
反面、遅々として進まないムヨルとウンジェ。
目の前で、お兄さんじゃ嫌なの!と叫ばれて、気づかない方も気づかない方ですが、
それがモロに告白だと意識しない方も意識しない方です。
小学生並みのふたりは、鈍い!鈍すぎる!
最終的にはハッピーエンドになるだろうとは思ってますけどね~。
ムヨルを狙う犯人は、とうとう小動物殺害まで犯してしまいました。
こわいよ~。猫かわいそう。
掃除の時に外に出しちゃうってのがあり得ませんが……。
まさか、絵をやめてしまったジョンヒに再び才能を取り戻そうと、
スヨンさんがそんなことを?
いやいや、手をくだしたのは、ムヨルを脅迫していた犯人なわけですから。
あれ?それとも、後輩のくせに夫より成功したムヨルを妬む気持ちで?
ずっと前からムヨルを狙っていた?
いやいや、それじゃまるきり二重人格じゃないですか。
いくらなんでも演技であんなにムヨルと仲良くできないでしょ。
じゃあやっぱりジンさん?いやいや、それならムヨルのためにあんなに
がんばれないはずだよね。
コ記者も犯人を知りたくて行動してるわけだし、彼でもない。
じゃあやっぱり犯人は、何かとジョンヒに冷たい家政婦さん?
ユニとの関係は?
もしかして本当はユニのお母さん?
いやいやいやいや~。
ロマンスとサスペンス、コメディとシリアス、
うまいあんばいで進んでいってるドラマだと思います。
はやくウンジェが元気になってくれるといいなー。
いいかげんムヨルへの思いは吹っ切ってしまえ!
そうすると逆にムヨルが気にしてくれるようになる……かもね。
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