にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

2012 Sheila's workshop report vol.1

2013年05月11日 | 2012 Sheila's workshop re
1st, April.2012, 14:00~1800 at le club jazz KYOTO,

Sheila Jordan シ―ラ・ジョーダン  ( vocal )
Peter Mihelich ピーター・ミケリッチ ( piano )
Chikako Sakakida 榊田千佳子 (interpreter,vocalist) 通訳・ヴォーカリスト

(ワークショップが始まる前に、録音、撮影, facebookでの内容紹介などすべてOKである旨、参加者に伝えられました。)


Sheila:
" I just want to say that what I said before, is ..this music is a total dedication,and you won't get rich."

―以前にもお話したことですが、音楽は全的な献身であって、あなたは決してお金持ちにはなれないということを言っておきたいと思います。
音楽のほうがあなたをサポートしてくれるまで、あなたはずっと音楽をサポートしなければいけません。
でもそれは、歌ってはいけないということではなくて、歌う場所があればどんどん歌っていいのです。

ここに集まっている人はみんな音楽が好きですよね。好きじゃない人はいますか?

チャーリーパーカーが誰だか、みんな知っていますよね。誰か、チャーリーパーカーが誰だか知らないひとはいますか?

・・・いませんね。素敵です。

それでは、以前にもお話しましたが、あなたの曲をあなたのキ―で歌うという、大切な作業をいっしょにやっていきたいと思います。
一緒に演奏してくれる演奏者のひとと問題が起こらないように、
どうやっていくかということをお話したいと思います。

そんなに難しいことではありません。とてもシンプルで簡単です。

でもそこにはすべてがつまっています。

ピアニストと一緒に演奏するのなら、ピーターのようにたくさんの曲を覚えているピアニストと演奏することもあれば、ピアニストが知らない曲の楽譜をあなたが書いて演奏してもらう機会もあるでしょう。

これは、とても楽しく、ほとんど恋をしているようなものです。
恋に落ちるより楽しいかもしれません(笑)
なにか質問はありますか?
質問がなかったら答えもありませんよ(笑)

どうかわたしの言うことをきいてください。
わたしを怖がらないでくださいね。
べつにあなたをとって食おうというのじゃないんですからね(笑)

わたしはみなさんが音楽を勉強するのを助け、あなたがどれだけ音楽を愛しているかに気がつくチャンスを与えたいのです。もしあなたが音楽を愛しているなら勉強を続けるでしょうし、愛していなければ続けることはできないでしょう。

怖がらないでください。
わたしがかわりに怖がりますから(笑)

ではウォームアップをしましょう。
ブルースを歌います。

はじめに、このなかで英語を話さないひとはどれくらいいますか?
遠慮なく手をあげてください。

(数人が手を挙げる)

Sheila:
わたしがいつも言っていることは、この音楽(ジャズ)を勉強するときに必要なことが4つあるということです。
一つは、耳をよくすること。
ヒアリング(hearing)とリスニング(listening)、それからあなたの心(heart)と感情(emotion)、そしてタイム感覚(timing)。
そして、英語(English)です。

英語を勉強してください。

勉強の手助けはわたしがします。
でも、いますぐに英語で歌うことは難しければ、日本語で歌ってもいいのです。
リラックスしてください。

まあ、なんて素敵な赤いブーツ!(参加者のかたの赤いブーツを指して。)
わたしのめがねをかけたらぴったりね!(シ―ラさんはこの日赤い縁のメガネをかけておられました。参加者を笑わせてリラックスさせようとしておられるのが伝わってきました。)

物理的にというよりも、こころをウォーミングアップしてほしいのです。

(ブルースのコードにあわせてシ―ラさんが歌い始めました。実際は英語ですが、大意です。)


~♪あなたのことを歌ってください。
あなたが歌いたいのはジャズでしょう?
あなたの名前はなんですか?
もし英語を話せなくても心配しないで。
日本語でもいいのよ~♪




それから、ひとりひとり、ピアノにあわせて自己紹介をしていきました。
英語のかたもいれば、英語の途中から日本語(関西弁)で歌われた方もいて、楽しいブルースができあがりました。
ブルースのあとは、ひとりひとりに対しての指導になります。
続きはvol2でお伝えします♪

2013 Sheila's workshop in Kyoto report vol.5

2013年05月11日 | 2013 Sheila's worksh
16th, April. 2013 13:00~17:00 at le club jazz
 
Sheila Jordan(vocal)
Peter Miherich(piano)

2013 Sheila's workshop report vol.5


4月におこなわれたシーラさんのワークショップレポート、最終回です。
ほかの参加者のかたが歌われた曲のリストです。

・Day by day
・My romance
・Prelude to a kiss
・I remember you
・All the things you are
・Goodmorning heartacke
・Confirmation
・The shadow of your smile


★シーラさんが個人個人に対して指導されたことをまとめると以下のようになります。

1)発音、英語に関して

・三人称や複数形の”s”を、つけ忘れたり、逆に要らない時につけてしまったりすることが多いので気をつける。

・”L””R"の発音に気をつける。
・歌詞を話すように歌う。話すときと歌うときの発音が違っている(話すことと歌うことが分離している)ことがあるので、気をつける。


2)カウントの出し方

・リズムパターンに応じたカウントの出し方を覚える。
(シーラさんの友人で、素晴らしい歌手、教育者であるJay Claytonさんが書かれた”Sing Your Story"という教材の中で、さまざまなリズムパターンのテンポの出し方や、イントロ、エンディングの種類が紹介されています。
日本語版もあり、楽器店などで入手できます―筆者注)。

3)Rubatoに関して

・Rubatoを歌う時に、間をとり、緩急のめりはりをつける。
・Rubatoからテンポをつけるときに、カウントを出さずに、いきなり歌に入ってテンポを示す。


★そのあと、みんなでホレス・シルヴァーの”Song for my father"を歌い、
歌詞をみんなで歌ったあと、8小節ずつスキャットでソロをまわしました。


★最後に、シーラさんから参加者全員にお話がありました。


Sheila:
今日みなさんに配った楽譜は、今日の練習のために配ったわけではなく、
どんどん自分のライブでも歌って、この音楽を生かし続けてほしいのです。
マイルスも、ジョン・ヘンドリックスも、ホレスも――ジャズはほんとうに素敵な音楽ですから。

みなさん全員が、とてもいいフィーリングを持っていますし、
わたしはみなさんのスキャットのシラブル(音遣い―筆者注)に感動しました。
誰一人、シュビドゥビと言っている人はいませんでしたね。

シュビドゥビというシラブルや”S”を使ったシラブルはなるべく使わないほうがいいと思います。
Sをたくさん使うと、英語の”shit(「くそったれ」というような意味―筆者注)"を何度も言っているように聴こえてしまうからよ(笑)

タイミング(time)、聴くこと(listen)と、心(heart)、この三つはみなさんはもうすでにできています。
あとは、英語を勉強してくださいね。
それから、見やすい楽譜をつくるように努めてください。

それでは最後に、みんなでワークショップブルース(シーラさんが作った、短調のブルース。歌詞はなく、メロディーのみ)を歌いましょう。


――全員でワークショップブルースを歌い、スキャットをまわして、
そのあとアドリブで歌詞をつくりながらまわしてワークショップが終了しました。
最初に比べるとみんなリラックスして、アドリブで冗談をいう余裕もでき、
シーラさんも大爆笑しておられました。


~the end~


(筆者より)

シーラさんのワークショップを受けていつも感じるのは、最初はみんな緊張していても、終わったあとはリラックスしてとても仲良くなることです。

緊張している参加者の方に、「みんなあなたを愛していますよ。敵じゃないから安心してね」とよくシーラさんがおっしゃるように、わたし自身も含め、緊張していたり、自信がなかったりすると、周りのひとが怖くみえたり、攻撃されているような気持ちになったことのある方も多いと思います。

シーラさんは、ワークショップを通して、具体的な技術はもちろんのこと、音楽をするときの、人や世界に対する向き合い方をいつも身をもって教えてくださり、ヴォーカリストたちの間に、友情を育んでおられるように感じます。

シーラさんの許可を得て、いままでに受けたワークショップもこのブログでレポートしてきましたが、やはり活字では伝わらない部分も多いので、機会があればぜひシーラさんのワークショップを受けてみてほしいと思います。

ワークショップ情報はシーラさんのウェブサイトに掲載されています。7月と8月には、毎年アメリカで2週間、1週間のワークショップも開催されています。
興味のあるかたはぜひチェックしてみてください。











2013 Sheila's workshop in Kyoto report vol.4

2013年05月10日 | 2013 Sheila's worksh
16th, April. 2013 13:00~17:00 at le club jazz
 
Sheila Jordan(vocal)
Peter Miherich(piano)

2013 Sheila's workshop report vol.4
"Dream a little dream of me" lyrics by Kahn/music by Andre,Schwandt


参加者:
Dream a little dream of meを歌います。
キーはCで、2コーラス歌います。
2コーラス目は後半から歌います。
最後の2小節を3回繰り返します。

Sheila:
Tag endingね。
イントロはどうしますか?

参加者:
4小節です。

Sheila:
それではテンポをだしてください。

(参加者が歌う)

Sheila:
すごくいいですよ。
一番大切なのはリズム感(time)です。
ここにいる皆さんは、みんな素晴らしいリズム感を持っていますね。

それから、英語をすこし勉強してください。
あなたは、自分が歌っている歌詞の意味がわかっていますか?

参加者:
はい。

Sheila:
それでは、歌詞を読んでください。

(参加者が歌詞を読み、birdsとblueという単語の発音を訂正される。
Fのブルースに合わせて、参加者が何度も注意された単語を歌う。)

Sheila:
英語の発音を勉強するともっとよくなると思います。
それから、もうすこしリラックスしたほうがいいわね。
マイクをずっと固く握りしめていましたから、あなたがとても緊張していたことがわかりましたよ。
きっとマイクは、「きゃー助けて~。わたしを殺す気~??」と叫んでいるわね。
(シーラさんが甲高い声でマイクの心境を代弁してみせ、一同爆笑)

マイクをスタンドにおいて、手は自然にね。

歌もリズム感もとてもいいので、英語も一緒に勉強してくださいね。
birdの発音も、気をつけてね。

他の参加者:
ものすごく緊張しているときは、マイクスタンドを使ったほうがいいですか?

Sheila:
そうね。緊張すると、マイクを握りしめてしまいますからね。
もし緊張したら、座って、ゆっくり深呼吸するよう努力してくださいね。
そして自分にこう言い聞かせるの。

「わたしは歌わなくちゃいけない。なにがあっても。
歌うことはわたしの人生の一部で、存在の一部なんだから。」

そして深く息をしてくださいね。

わたしはいつも歌い始める前にそうしてるんですよ。
この音楽を歌い始めてから60年になりますが、今でも緊張することはあるのよ。
もちろん、ものすごく緊張するというわけではないけれど、それでも初めのうち、少しはね。

だから、きちんとした楽譜を用意することが大切なんです。
楽譜さえきちんとしていれば、他の心配をする必要がないのよ。

これはわたしの経験なんだけど・・・昔きちんとした楽譜を準備していなくて、共演者が間違ったコードチェンジを弾いたの。

これはみんなに言えることです。

初めてバンドで歌い始めたとき、わたしは自分のキーをわかっていなくて、バンドがオリジナルキーで演奏を始めたこともあったわ(楽器奏者が演奏するキーは曲によって大体決まっていますが、ヴォーカリストは自分の声域に合わせてキーを変えるので、自分のキーを把握している必要があります―筆者注)

今日みなさんにお話していることは、全部わたしが経験してきたことにもとづいているんですよ。
そのときは、ほんとにぞっとするような経験で、ずいぶん傷ついたわ。

それからテンポね。自分がどのテンポで歌いたのか、きちんとわかっていること。

これも昔ね、共演者に「どんなテンポだい?」と聞かれて、「なんでもいいわ」と言ったら、
ものすごいスピードで演奏されたことがあったのよ(笑)

だから、あなたが歌う歌について、自信をもって、きちんと自覚していてくださいね。
あなたたちみんな素晴らしい歌を歌えるんですから。




~vol.5に続く~

2013 Sheila's workshop in Kyoto report vol.3

2013年05月06日 | 2013 Sheila's worksh
16th, April. 2013 13:00~17:00 at le club jazz
 
Sheila Jordan(vocal)
Peter Miherich(piano)

2013 Sheila's workshop report vol.3
"As long as I live" Harold Arlen/Ted Koehler


Sheila:
それでは各自の歌を歌ってもらいます。
よく聴いてくださいね。
前に出て、自分の曲について、マイクを通して説明してもらいます。
わたしたち全員は、ピアノ奏者やベース奏者、ドラム奏者になったつもりであなたの説明を聴きます。

たとえば、わたしがいまからConfirmationを歌うとしますね。
わたしはピアノ奏者に、
「わたしはいまからConfirmationをBbで、イントロは8小節で、何コーラスか歌います。最初のテーマのところは歌詞をつけて歌います。歌詞をつけて歌うのは2コーラスです。」
と伝えます。

それから、いくつかの終わり方があります。
ストレートに終わる終わり方、Tag endingといって、終わりをひきのばして終わる終わり方、それから、楽譜にrit.と書いて、最後をゆっくりにして終わる終わり方。

それから、vamp(2種類のコードを交互に演奏する)というものもあります。

(シーラさんの指示でピーターさんが、vampを弾き始め、シーラさんがMy favorite thingsを歌い、歌詞を即興でつける。)

そして、終わる時には、あなたが歌うのをやめてください。
どんどん続けようとしないでね。
あなたが歌をやめないと、共演者も演奏をやめられないので、2時間以上もずっとvampを演奏する羽目になってしまいます(笑)

Peter:
まあ一種の修業だね(笑)

Sheila:
ほんとにそうね(笑)
ジョン・コルトレーンがvampを演奏していて、「終われない」と言ったら、マイルスが「サックスを口から外せ」と言ったのよ(笑)


(一番目の参加者が前に出る。)


参加者:
わたしはAs long I liveをBbで、ミディアムスウィングで歌います。こんなふうに(と言いながら、指を鳴らしてテンポを出す。)

Sheila:
歌についての説明を全部終えるまで、テンポはださないほうがいいわ。
歌の説明が終わる頃には、共演者がテンポを忘れる可能性があるからよ。

もし楽譜にMedium Swingと書いているのなら、あらためて共演者に伝える必要はないわ。
何コーラス歌うの?

参加者:
2コーラス歌って、Tag endingで歌います。

Peter:
Tag endingはどんなふうにやるのかな?
なにか特別な構成はある?

参加者:
3-6-2-5です。

Peter:
わかった。

(参加者がカウントを出し、歌う。)

Sheila:
とっても素敵よ。心がこもっていて、いいフィーリングを持っているわね!

参加者:
とても緊張していて、ラインを忘れてしまいました。

Sheila:
気にすることないわ。
これはワークショップなんですよ。
それがわたしたちがいまここでやろうとしていることなの。
わたしはこの年になってもまだ学んでいるんですよ。
だから、どうぞ、「OK」という気持ちでいてくださいね。

ところで、あなたは2コーラス歌うと言いましたが、実際には2コーラス歌ったあと、
ピーターが1コーラスソロを弾いて、そのあとあなたが1コーラス歌いましたね。

それなら、「合計で4コーラス」と伝えるか、「2コーラス歌って、1コーラスソロを弾いてもらって、
最後にもう1コーラス歌います」と伝えたほうがいいわ。

いまは、ピーターが、あなたが考えていることを察して演奏してくれましたが、いつもそうとは限らないからです。

あなたの英語はとてもいいわ。
でも、サビの部分がすこし苦しそうだったのだけれど、1音あげてみたらどうかしら?

(ピーターさんが1音あげて演奏し、参加者が歌う。)

Sheila:
どうかしら?

参加者:
すこし高いですけど、サビの部分は歌いやすいです。

Sheila:
途中で転調してもいいかもしれないわね。

それから、そんなに力をいれずに、もうすこし楽に歌ったほうがいいと思います。
そのほうがグルーヴ感が出ると思うの。
こんなふうにね。

(シーラさんがすこし歌ってみせる)

Sheila:
もうすこし、フレーズの前に間をあけたほうがいいと思うわ。
なにはともあれ・・・・

(シーラさんがそういいながら前にでて、As long as I liveのメロディーに合わせて、
”You are wonderful~"と言いながら、参加者をハグする。一同拍手。)



~vol.4に続く~