日本民藝館
日本近代が古い日本の制度や文物のいわば蛮勇を振った清算の上に建設されたことは、
あらためて注意するまでもない陳腐な常識であるだろう。
だがその清算がひとつのユニークな文明の滅亡を意味したことは、
その様々な含意もあわせて充分に自覚されているとはいえない。
充分どころか、われわれはまだ、近代以前の文明はただ変貌しただけで、
おなじ日本という文明が時代の装いを替えて今日も続いていると信じているのではなかろうか。
つまりすべては、日本文化という持続する実体の変容の過程にすぎないと、
おめでたくも錯覚してきたのではあるまいか。
(「逝きし世の面影」渡辺京二著)
日本近代が古い日本の制度や文物のいわば蛮勇を振った清算の上に建設されたことは、
あらためて注意するまでもない陳腐な常識であるだろう。
だがその清算がひとつのユニークな文明の滅亡を意味したことは、
その様々な含意もあわせて充分に自覚されているとはいえない。
充分どころか、われわれはまだ、近代以前の文明はただ変貌しただけで、
おなじ日本という文明が時代の装いを替えて今日も続いていると信じているのではなかろうか。
つまりすべては、日本文化という持続する実体の変容の過程にすぎないと、
おめでたくも錯覚してきたのではあるまいか。
(「逝きし世の面影」渡辺京二著)