平田オリザ演劇展vol.5『走りながら眠れ』@こまばアゴラ劇場
衝撃的な内容だった…。80分間、夫婦の日常が描かれている。
「ただいま」「おかえりなさい」が4場。たったそれだけの芝居。
そのあいだに子どもが生まれ、翻訳の仕事が進んでいく。
シンガポールやフランス、インド洋での旅のエピソードがあっけらかんと語られ、
同じようにあっけらかんと投獄や尾行や検閲の話が織り込まれる。
会話のトーンは至極現代的だ。
とても愛に溢れていて、とてつもなく自由だ。
フランクでウェットに富み、上質な大人の対話である。
24年前の戯曲と聞いて、ハッとした。
平田オリザの演劇論がすべてココに集約されている…と思った。
日常の対話の細かいディテールだけで、
登場人物の背景や人物像、置かれている状況、
また襲ってくるであろう悲劇を予感させている。
それこそ、対話における「間」の置き方ひとつで、
湧き上がる感情を想起させている。
80分間隙なく秒単位で演出が施されている。
完璧とは、このことを言うのだ。
扱っている人物にまた、脳天直撃の衝撃を受けた。
「大杉栄」と「伊藤野枝」の夫婦である。
アナキスト大杉がフランスの監獄から強制送還され、
関東大震災のドサクサに夫婦ともども撲殺されるまでの2ヶ月間における、亀戸の自宅での話。
ドラマは舞台の外で繰り広げられている。
それも相当苛烈で激動のドラマである。
そのような背景をまったく説明せず、対話だけで醸し出す戯曲。
ここまで先鋭的な作家だとは思わなかった。
今も震えが止まらない。
平田オリザは、日本の宝だ。
衝撃的な内容だった…。80分間、夫婦の日常が描かれている。
「ただいま」「おかえりなさい」が4場。たったそれだけの芝居。
そのあいだに子どもが生まれ、翻訳の仕事が進んでいく。
シンガポールやフランス、インド洋での旅のエピソードがあっけらかんと語られ、
同じようにあっけらかんと投獄や尾行や検閲の話が織り込まれる。
会話のトーンは至極現代的だ。
とても愛に溢れていて、とてつもなく自由だ。
フランクでウェットに富み、上質な大人の対話である。
24年前の戯曲と聞いて、ハッとした。
平田オリザの演劇論がすべてココに集約されている…と思った。
日常の対話の細かいディテールだけで、
登場人物の背景や人物像、置かれている状況、
また襲ってくるであろう悲劇を予感させている。
それこそ、対話における「間」の置き方ひとつで、
湧き上がる感情を想起させている。
80分間隙なく秒単位で演出が施されている。
完璧とは、このことを言うのだ。
扱っている人物にまた、脳天直撃の衝撃を受けた。
「大杉栄」と「伊藤野枝」の夫婦である。
アナキスト大杉がフランスの監獄から強制送還され、
関東大震災のドサクサに夫婦ともども撲殺されるまでの2ヶ月間における、亀戸の自宅での話。
ドラマは舞台の外で繰り広げられている。
それも相当苛烈で激動のドラマである。
そのような背景をまったく説明せず、対話だけで醸し出す戯曲。
ここまで先鋭的な作家だとは思わなかった。
今も震えが止まらない。
平田オリザは、日本の宝だ。