「開封後は早めにお召し上がりください。尚、品質管理には万全を期しておりますが…」
11月18日。日曜日の午後、居間で家族でくつろいでいたら、唐突に息子の大きな声。
私は図書館で借りてきたばかりのグラフィック集を見、妻は新聞を読んでいた。息子は「ポケモン図鑑」を熱心に見ていた、はず。音がなかったところに、唐突な息子の大声。
しかし、このときはもう驚かなくなっていた。きょう一日だけで、唐突な「音読」に慣れてしまった。
◇
前日に児童クラブでもらってきたお菓子の袋。その裏に記載された、クレーム受け付けの文章を読み上げていた。
小学3年生。学校にいく度に新しい字を教えてもらえる。読める文字が次々と増えていくことが、うれしくてたまらない。
新聞の折り込み広告、ホットカーペットの取り扱い説明書、単行本の帯に書いてある推奨文。それと前述の菓子袋。今日だけでも、これだけの唐突な「音読」があった。
なにしろ文字が並んでいるものは、手当たり次第に「音読」の対象となる。
◇
「一番好きなのは音楽。次が算数。一番最後は国語」。夏ごろはそう言っていた。
教科としての「国語」が好きになってきたかどうかは分からない。実際、夏までは好きだったはずの「音楽」だが、このところは嫌い。音符の読み方などを習っているらしいが、音楽教室ですでに習ってしまった息子にとっては、少々退屈な時間らしい。音楽はもちろん好きだが、教科としての「音楽」は嫌い、というところだ。
ともかく、文字や文章への興味が湧いてきたことに、元もの書きの父親としては少しうれしくなった。
◇
が、息子がいま読んでいるのはチラシや取扱説明書。学校の教科書じゃない。習っていない漢字のオンパレードだ。分からない漢字に行き当たれば、そばにいる私に質問してくる。
例えば、本の背表紙にあった印刷会社の住所。「東京都文京区、うま…、く…、いり…?」
何のこっちゃ?
「お父さん、馬に文句の句、しんにょうに入るは?」
「 ? ……、 ! こまごめ、駒込だ」ってなことになる。
◇
なんだかクイズや頭の体操みたいだが、私も息子も楽しみながらやっていた。
ただ、困ったことも。息子が見たこともない部首などはヒントが出せない。
「見たこともない漢字だから、お父さんが見て」
で、私が読もうとする。が、「すまん。お父さんは字が見えない」。
息子はまだならっていないので読めないが、私は老眼で読めないのだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます