アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

ニコンF3-P

2025-01-19 | Weblog
 20代半ば、社会部に配属されたのを機にかねてからの憧れだったニコンF3=写真=を購入した。


 それまで使っていたFM2もアポロ計画で採用されたほどの名機で、この頃の新聞記者の多くが使用していた。

 性能がよく、なにしろ頑丈だった。

 木の廊下で釘が出ていたら金槌がわりに釘を打っても大丈夫とさえ言われていた。


 そして、F3はその上位機種にあたり、FM2の頑丈さを維持しながらさらに性能を向上させた、当時のニコンのフラッグシップモデルだった。


 その後フラッグシップの地位はF4に譲ったが、デジカメが主流となるまでの約10年間、私はこのカメラが仕事のみならず生活全ての相棒だった。


 「入浴時以外は肌身離さずそばに置いておけ」

 先輩記者からの言いつけをずっと守っていた。

 
 昨年、郡山市美術館で開かれたカメラマン平間至さんの展覧会を見に言った際、平間さんがかつて使用していたというF3が展示されており、「そういえば家のどこかにあるなぁ」と思い出して実家を整理した際の荷物の中から引っ張り出してきた。


 報道関係者専用モデルのF 3-P。

 Pは「PRESS」のP。ストラップには「Professional Services」の文字が縫い込んである。

 レンズは28〜85ミリ。現場記者としては一番使い勝手がいい。

 ストロボはこの機種専用でフィルムまき取りレバーの上にジョイントするSB 17。

 ボディは古傷だらけだ。

 不眠不休の日々が蘇ってきた。自分の職業に誇りをもっていたから仕事が楽しくてしょうがなかった。


 その後、利益追求や組織運営の一端を担う職種を経験するうちに、自分の収入や組織内の身の処し方などに気が行ってしまうようになり、仕事も人生も無味乾燥としたものになっていってしまった。


 ほぼ30年ぶりの愛機との邂逅。

 青春時代の熱が胸に湧いてくる。微熱だけれど。


 今更ではあるけれど、F 3を持って走り回っていた頃の気持ちもたまには思い返してみたい。

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