7月26日に両親の墓参をして帰ろうとしたところ、寺の駐車場脇に一輪のホタルブクロを見つけた。
キキョウ科の多年草。
花を下向きに咲かせ、昔は子どもらがホタルを入れて遊んだことからその名が付けられた、ともいわれる。
提灯花ともいわれたらしいが、華美でなく、清楚なうつむき加減の乙女のようなその姿にその名は無粋だ。
いわき市では6月半ばから7月初旬ごろにかけて野や山でよく見かける。
子どもの頃から一番好きな花だ。
通常はたくさんの花が群を成しているが、この日は一輪だけ。
一部の葉は変色しているし、多分、この暑さで花期が早まって、この一輪だけが取り残されたのだろう。
私がこの花を好きだったことを知っていた母は、生前、自宅の庭にホタルブクロを植えてくれていた。
花が咲く前は他の雑草と見分け難いのだが、母はきちんと残してくれて、私は毎年、里帰りの楽しみにしていた。
母が施設に入ってからの3年。自宅の庭は世話をする人がいなくなってしまった。
今では人の手に渡ってしまった。
「おかあちゃん!」
振り返って墓碑に一礼した。
取り残されていたんじゃない。残っていてくれたんだ。
改めて、自分の不孝を噛みしめた。
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