アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

双葉高の姪

2012-03-17 | Weblog


 昨年6月から郡山市のわが家に住んでいる高校1年生の姪が、3月末でいわき市に引っ越すことになった。


 双葉高校がいわき市に統合されるためだ。


           ◇


 昨年3月、中学を卒業し地元・双葉町の双葉高校に進むことが決まっていた。


 そこに地震と津波。3月11日のうちに逃げた。さらに原発事故が続き、生まれて中学卒業まで過ごした家に帰れなくなってしまった。


 「いつかきっと帰れる」なんて、言わないでほしい。虚ろな言葉は不誠実だ。


           ◇


 何度か居所を替えた末に、私の家にやって来た。


 入学式は行われなかったが、高校生になったことは間違いない。


 避難者の多い県内の主要都市にサテライト校が設置され、6月になってから、遅ればせながら新たな高校生活がスタートした。


           ◇


 7人家族で一緒に暮らしていたのが、いくら親戚とはいえ、いきなり1人(この場合は「独り」か)。


 震災と津波を見てしまったことでのPTSD。高校生でいられるのかどうかを含めて生活への不安、そしていきなりの孤独。


 詳述は避けるが、いくつかの困難があった。そうして、2月くらいから、ようやく笑顔を見せるようになった。


 郡山に住み始めた当初、「彼女が何十年か後に自分の人生を振り返ったとき、震災後の困難な時期でも一緒に住んで良かったと思えるような接し方をしたい」と考えた。が、いま、彼女がもうすぐ引っ越すときを迎えて、その考えが実現したとは思えない。


           ◇


 現在、3月17日、土曜日、午後5時。きょうの夕食は近くの焼き鳥屋さんだ。


 妻に聞いたら、姪の小さな頃からの好物だそうだ。


 私と妻と息子と姪、この4人では最初で、そして多分、最後の外食。6時に姪が部活から帰ってきたら、一緒に出かける。


 「4月からも頑張れよ」などとは言うまい。


 笑顔を見せられるようになっただけでも大きな歩みだったのだ。


 多くの困難を乗り越えた彼女に対して、今はかける言葉はない。それに言葉がないほうが、今はきっといい。


 ただ、神様にお願いしたい。


 この子の人生には、今後、幸福だけが訪れますように。
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